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セルドアイベント?18

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「--大丈夫ですか。リッカ」

 目を開くと、心配そうにこちらをのぞき込むセルドアの顔があった。
 どうやら膝の上に横抱きにされているようだ。
 まだどこか剥離しているかのように、若干鈍い動きの手を動かし、自身の今の体の状態を確かめる。

 何だか、リアルな夢を見ていたようだ。
 けれど、あれが夢なんかじゃないことは、私が一番わかってる。

 とりまく、空気が違う。
 口を通り、喉から肺に移動し、血液を循環する酸素や二酸化炭素が、先ほど感じていたそれと何かが決定的に異なっている。

 戻ってきた。
 そして、もうあの世界に戻ることはないのだ。
 きっと、永遠に。

 そう思った瞬間、つと涙が頬を伝い、それに気づいたセルドアの顔が苦しげに歪んだ。

「……ごめんなさい。私にもっと力があれば、もっと貴女をあの世界でとどめられたかもしれないのに」

「謝らないで。セルドア……十分、十分だよ」

 自らの身の危険の可能性を知っていながら、ここまでしてくれたセルドアには感謝の念しかない。
 本当だったら、死んだ時点でもう二度と会えなかった兄ちゃんに、一瞬とはいえ再び会えることができたのは、セルドアのおかげだ。
 震える手を伸ばして、先ほどまで兄ちゃんにしていたようにセルドアの体を抱きしめる。

「ありがとう。セルドア。--おかげで、前に進める」  


 兄ちゃん。

 父さん。

 母さん。

 ……ばいばい。

 加藤梨花として生きた人生は短かったけど、それでも皆のおかげで、すごく幸せだったよ。

 みんなのことが、すごくすごく大好きだったよ。

 私は、リッカ・カートとして、この世界を強く生きていくから。

 世界は変わっても、みんなのことは絶対忘れないから。

 どうか。……どうか、幸せで。



 加藤梨花として生きてきたのと同じだけ、リッカ・カートとして生きてきた。
 それでも、今までは心のどこかで自分が加藤梨花だという自負が消せずにいたけど、今は違う。
 私は、リッカ・カート。この世界に生まれて、この世界で生きて、死ぬ。
 
 だから、もう逃げないよ。

 リッカ・カートである私を、愛し慈しんでくれた、大切な家族のみんなから。

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