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パックイベント8

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「……というか、リッカちゃん。ごめんね」

「はい?」

 突然のパックさんの謝罪に、変な声が出た。……パックさんに謝られるようなこと、何もないと思うんだけど。

「まだ暗くなる前から夜行性のトレントが起きだして拘束するなんて、間違いなく僕の体質のせいだな。リッカちゃん一人なら、普通に帰れたかもしれないのに巻き込んじゃった」

「いやいやいや、元はと言えば私がうっかり落ちたのが原因ですし。パックさんは何も悪くないですよ。気にしないでください」

 どう考えても巻き込んじゃったのは私の方で、パックさんは被害者だ。
 むしろ天然たらし体質のパックさんがいるからこそ、この好待遇かもしれないので、感謝すべき状況だと思う。……たとえ、扱いが対野良猫に対するそれだとしても。

「……なら、いいんだけどね」

 そう言って自嘲するように笑うパックさんの顔は、何だか少し暗かった。

 ……あれ、パックさんって、意外と……。

「……もしかしなくても、パックさん、結構自分の体質のこと気にされてます?」

 開き直ってひょうひょうと体質を利用しているように思ってたけど、意外とその辺り気を病んでいたのかもしれない。
 私の言葉にパックさんは苦笑した。

「そりゃ、ね。この体質が原因で、色々あったから。小さい頃は、子を亡くした魔獣に攫われかけたりしたし。今は体質を利用して僕の方がだいたいの状況で優位に立てるようになったけど、意思疎通が難しい獣相手だと途端に無力になっちゃうんだよね。ただ一方的に好かれるだけで」

 そこで一度パックさんは言葉を切って、口元に笑みを浮かべたまま除きこむように、私を見た。

「……リッカちゃん。君は以前僕の体質のデメリットについても言及してたけど、君は僕をかわいそうだと思う?」

「え?」

「こんな体質を持って生まれた僕は、不幸なのかな?」

→【かわいそう】
 【そんなことはない】
 【なんて返してほしいんですか?】
 
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