転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

怖い笑顔

「……あれから、ハルクと接触したのですか？」　

　にっこりと微笑むセルドア。……だけど何故だろう。背筋が寒い。
　なんか、なんか、目が笑っていないような。

「え、ああ、まあ。その、マンドラゴラの成長が。気になるとか、そんな感じで何度かここに」

「そうですかーーー。よくもまあ、初対面であんな無礼な態度を取っておいて、厚かましくもこの牧場に訪れることができましたね。そしてそんな無礼な男を受け入れて、結界内にまで招き寄せようとしているリッカは、本当ーにお優しいですね」　

　優しいってほめられてる感じなのに、ほめられてる感じがしない。なんか、目が責めてる。

　……怒ってるよね？　これ、セルドア、怒ってるよね？　なぜに？

「あのー……セルドア様は、ハルクのこと、嫌いなんですか？」

　このあいだ一緒に会いに行った時は、そこまで険悪な感じはしなかったのだけど……いや、ハルクの態度がアレだったし、それなりに腹は立ててくれてる感じはあったけど、そこまで引きずるようにも見えなかったんだけど。

　私の言葉に、セルドアはにっこりと笑った。

「正直言えば、どうでもいいと思ってましたが。……今、この瞬間、嫌いになりました」

　って、ええー……。

「いや、その……確かに精神年齢お子ちゃまだし、態度は悪いしと色々駄目なところ丸出しな奴ですが、話してみると意外といい奴ですよ」

「そうですか。もっと嫌いになりました」

　にこにこ

　………………。

「え、と、その。植物に対する熱意は、間違いなく本物ですし」

「リッカがフォローすれば、するほど、益々嫌いになってます」

　にこにこにこにこ

　………………………………。


　……笑顔が、怖い。
　どんどん笑みは深まっているのに、何故かますます怖くなっていってるよ。セルドアさん。