転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

一緒に家ごはん

「……本当は、面会が終わったら一緒にお昼をと思ってたのですが、リッカもお疲れのようですからね。今日はこの辺りにしておきましょうか」

　そう言って浮かべたセルドアの笑顔は、なんだか少しぎこちなかった。
　……恐らくは自分が城に連れて行ったせいで、ハミルさんと遭遇してしまったことを気にしているのだろう。

「それじゃあ、私はこれで……」

「ーー待ってください。セルドア様」

　咄嗟にセルドアの服の袖を、掴んでいた。

「良かったら……お昼ご飯作りますから、一緒に食べていきませんか？」

　ラドが眠ってしまっている今、どうしても一人でごはんを食べたくなかった。



「……あー、やっと服脱げた。やっぱり、普段のこきたない服が一番落ち着くよね。うん」

　さっさと脱いだ服をセルドアに押し付けて（洗浄魔法をしたうえに保管管理までしっかりしてくれるらしい……なんて素敵なクリーニング屋さんなのかしら）エプロンをつける。
　……よしよし。今日はワーショクの朝ごはんにして、コメをたくさん炊いたから、まだ余ってるな。ちょっと乾燥してるけど、なら逆にちょうどいい。

　ハムも、ネギも、当然コカトリスの卵もある。この世界では無名な、私の定番料理チャーハンを作ろう。

「ハムとネギを細かく切ってー、強火でざっと炒めたら、あらかじめ卵液と絡めたごはんをざざっとと入れてさらに炒めてー」

　最後は、塩コショウと、ショーユで味つければ完成ー。うん、みんな知ってる、一般的なチャーハンのレシピ（卵パラパラ主婦の工夫バージョン）だね☆　
　こんなシンプルなのに、なんでこの世界じゃ発明されてないのか謎だよ。味も家族には好評だったから、けしてこの世界受けが悪いわけじゃないと思うんだけど。

「後は朝の残りのスープ温めたのと、葉っぱちぎっただけのサラダ添えておけば完璧完璧」