転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

リッカは考えるのをやめた

　……うーん？　
　つまりは、ゲームの主人公的なあれ？

【運命に縛られながらも、君の未来は未知数だ。そして、君が何を選択しどう行動するかにより、私達の未来も無限に分岐する。君が、この世界を動かしているんだ】

　お、重い。重いけど……これ、やっぱりゲームの主人公的なあれだな。
　時々出てくる謎の選択肢とかによって、こう展開が変わる奴だな。時々、結構無視してるけど。

　…………そう考えると、選択肢無視とか、結構恐ろしい話だな。その結果、世界の何がどう変わったか分からないけど、わりとチャレンジャーというか、改めて考えると、とても怖い。

　ーーまあ、でもそれでもやっぱり不本意な選択肢しかなかったら、無視すると思いますが！
　選択肢に従った結果だってどうなるか分からないし！

「……なんか、世界を背負わされている感じで、超重いんですが。私は具体的に何をすれば良いのですかね？」

　私の言葉に青いドラゴンは、愉しげに目を細めた。

【ーー何も？】

「え？」

【何もしなくても良いし、何をしても良いんだ。君は、世界に縛られながらも、同時に自由じゃ無ければならない。それこそが、この世界の存在証明になるのだから】

「そ、存在証明？」

【そう。君はこの世界を現実として、固定する存在。君なこの世界で、自由に生き、縛られた運命をもとに未来を展開させることは必然であり必要なことなんだ。だから、君はただ好きに生きればそれで良いんだ】

　……よく、分からなくなってきたぞ。
　私が生まれる前から、この世界は存在するはずなのに、何で私を中心に世界が動いている話になっているんだ。

「……この世界は、私が生まれたと同時に発生したということですか？　私が生まれる前の過去の世界なんか、本当存在しなかったと？」

【いいや。過去は存在するよ。君という存在は、あくまで核。君が未来に発生する前提で、過去は現在へと流れ、そして今、未来へと流れている。君は、あくまで必然の存在だっただけに過ぎない】

　うん。えっと。……さーっぱり分からん。

　もう深く考えるのはやめておこう。