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モノクルイケメンは変態モノクルイケメンでした

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 ……盗み聞きとは、良い趣味してんな。
 そんなに他人の不幸が面白いか。

「……はい。そうですね。幼い頃からずっと、父の手伝いをしてきましたから」

「コカトリスは凶暴で、恐ろしい生き物ですけれど、貴女は平気なのですか!?」

「平気も何も……生まれた時から身近にいる生き物ですから、今さらって感じですね」

 私の言葉に、モノクルイケメンは、考え込むように顎に手を当てた。

「お嬢さん……爬虫類は、平気ですか」

「コカトリスの尻尾を何だと思っているのですか。貴方」

 蛇だぞ。蛇。しかも毒持ちで、鳥部分と同じくらい凶暴な。
 あれが平気なのに、今さら爬虫類苦手も何もないだろう。

「……コカトリス級の危険な生物の世話に精通していて、爬虫類も苦手ではない、うら若き乙女。……こんな、適役はそうそういないぞ」

 ……なんか、一人でぶつぶつ言い出したぞ。
 イケメンなのに、何だか危なそうな雰囲気がプンプンする。
 これ以上もう、関わらんとこっと。

「……それじゃあ、私はこれで……」 

「待って下さい! 最後に一つ。最も大切なことを一つお聞きしてよろしいですか?」

 ……えー、まだあるのー。
 イケメンのはずだったのに、必死な顔がだんだん気持ち悪く思えて来たんだけど。

「……何でしょう」

「貴女は、処女ですか?」

 

 一瞬、その場の空気が凍りついた気がした。

 ……ちょ、ちょっと待って。今の、聞き間違い?

「……あ、あの、今なんて……」

「貴女が、男性と性行為をしたことがない、清らかな乙女かと聞いているのです」



 え。あ……うん……その……。

 ーー変 態 だ。

 初対面の女の子に、処女かどうか聞くなんて、変態以外の何物でもない!

「……それじゃあ、私、帰りますんで!」

「ちょ、ちょっと待って下さい! どうか私の質問に……」

「ぎゃあ、変態! 触らないで、近寄らないで! 気持ち悪い!」

 肩に置かれた手を思わず振り払うと、変態モノクルイケメンは、一瞬何が起こったのかわからないかのようにポカンとした後、すぐに顔を真っ赤に染めた。

「わ、私は変態ではありません!」

「初対面の女の子に、処女かどうか聞いといて、よう言うわ!」

「仕方ないでしょう! ドラゴンは純潔の乙女にしか、育てられないのですから!」

 ……え? ドラゴン?


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