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第三章

ヨシュアはハイトを逃がしたい

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最初アイラから聞いた時の感想は「流石ハイト!やっぱ人間じゃなかったか、ハハ!」だった。

「ヨシュア様。私、真面目にお話しているのですけれど?」

「いや、わかってんだけどよ?ハイトが大樹の核から出来てて、ハイトの家はその核をずっと封印してた一族で?アイラの家も実はハイトの家を代々守って来てたとか言われても、リアクションのしようがなぁ?大昔からの話だろ?それ。なんで今更、核が人間になるんだよ」

「それが、一度封印が解かれそうになった事があったらしく、その時ハイト様のお母様が術をかけ直したらしいのですが、結界内で流産しかけたらしいのです。その時何故か彼女の体に核が入り込んだようで。20年前この国から魔力が一時的になくなったのも、この核がその魔力を吸い込んだからではと考えられています」

へぇ?じゃあ別にハイト人間なんじゃねぇの?
まぁでも大体話はわかった。

「で、それを俺も守れと?嫌だね!」

「・・・ヨシュア様」

「今問題なのは、その事をずっと皇家に隠していた所為でセルシス様が危険な目にあっている事だ。陛下のここ最近の変わりようは普通じゃない。あれは操られてるだろ?原因はなんだと思う?」

「仮説に過ぎませんが。大樹の木に触れたか、その一部を所有しているのではないかと。実は、その代の皇帝陛下は一時期大樹に精神を蝕まれたと噂されていたと、父が教えてくれました」

全く。セルシス様もヤンチャだからなぁ。どうすっかな。

「この話。仲間に話す」

「ヨシュア様?」

「アイラ。悪ぃな?ずっと隠してたのによ?俺自分の事もそうだけどよ。生まれがどうとか、体が普通と違うとか関係ねぇんだよ」

そうだよな?きっと逆でも同じだろ?俺の事、魔力持ちだからってお前ら手加減なんかしねぇもんな?鬼畜共め!

「アイツはサンチコア騎士団の副団長ハイト・ゼクトリアム。それだけだ、それ以上もそれ以下もない。もし、仲間に危害を加えるなら俺達も容赦はしない。その為に俺は最善を尽くしたい」

「・・・・はい」

「ハイトは、渡さない。陛下も助ける」

「・・・・はい」

ハイト、お前が隠したいなら好きにしてろ。
こっちはこっちで好きにするからな?

「陛下のあの様子だと時間がねぇな。急がねぇと。フィクスは事情を全部知ってるのか?」

「陛下が操られている事には気付いてないかと、ただセルシス様が大樹に疑問を持たれていた事は気がついておりました」

「・・・・デズロ様でもあの木をどうにも出来ないならハイトがここから離れるしかないな。一度ハイトをこの国から逃す」

「ハイト様が、了承するでしょうか?」

しないかもな?でも、関係ねぇぞ?アイツの意見は聞くつもりねぇから?

「ハイトにバレないように監視する。陛下は必ずハイトに接触してくる。そのタイミングでハイトを逃す」

「何故そのタイミングで?もっと早くてもいいのでは?」

「出来るだけ成功率を上げたい。後、準備も。アイツ追い詰めないと絶対動かねぇだろ?」

そこからの俺の働きっぷりを皆んなにも、お見せしたかった。俺、ここ一年分ぐらいの働きをしたと思うぞ?
丁度ギャドもハイトの事情をどっからか仕入れてたから、かなりスムーズに準備は出来てたんだ。


それなのに。それなのによお?


「マジかー!!大樹の根が襲って来るとか、なんなんマジでぇぇぇ!」

「コレは怒らせちゃったかもね?強奪、拘束、長年の放置で大樹もかなり限界みたいだったしね?」

ハイトお前!呑気だな?やっぱお前はお前だな?心配なんかしてねぇけど心配して損した!!

「うお!!ヤベェな!住民避難させねぇと!」

「さっきラットとエリスが異変を察知して避難させてたよ?でもこりゃ街が潰れちゃうね?あーあ。減給だなコレ」

「あのぉ?突然の事でよく分からないんですけど取り敢えずハイトさん外に逃げればいいんですよね?この枝どうしましょ?」

「げ!持って来ちゃったのか?ラットかエリス見つけてパスしようぜ!うわっと!!」

しつけえ!!てか、なんでいきなり襲いかかってくんだよ!今まで大人しくしてただろうが!!

「おーい!何遊んでんだお前ら。俺も混ぜろや」

「あ!ラット!はい!」

「は?何?げ!!」

ティファ、躊躇ねぇな?やっぱお前実は性格悪いだろ?

「ティファ!そのままハイトと国境目指せ!街の外に馬用意してあるぞ!」

「了解です!ハイトさん!一度カスバールに避難しましょう!ササラさんが相手の国に連絡してくれてたみたいです!」

「ちょっと僕、事態が飲み込めてないんだけど?え?僕この国を出るの?」

「はい!でも一時的です!私も一緒に行きますので!」

そうそう。ティファがそう言えばハイト拒否出来ねぇだろ?有り難く思えよ?あとデズロ様に殺されない様にな!

「もしかして、皆んな知ってたの?いつから?」

「私はついさっき聞きました。ハイトさんって植物から出来てたんですね?驚きです!」

ん?んー?ティファそれは違うと思うんだが、まぁいいか。

「まぁ?俺達も最近知った。ハイト、人間離れしてると思ってたけど、やっぱ人間じゃなかったんだな?」

「今更驚かねえな。見た目も俺達と変わんねぇしなぁ?」

「なぁなぁ?ティファと上手くいったって本当なのか?そこだけ教えてくれよ!!俺達頑張ったご褒美としてさ!」

「メルローさん?私、今剣を装備してますが?」

おいおい緊張感ねぇな?お前ら遊んでんじゃねぇぞ?
ほら、ハイト怒るぞ!ここで揉めてる暇は・・・・・。

「ハッ!アハハハハハハハ!!」

え!?ハイト?ど、どうした?何故そこで爆笑?

「あーあ。おかしい。本当めちゃくちゃだよ!なんなの?お前ら!」

あれ?ハイト壊れた?お、おい!足を止めんなよ!

「ティファ」

「はい!どうしました?」

ちょっと待てハイト!ここは公衆の面前だぞ!!一体ティファに何を!!ぎゃあああああ!!お、おまー!!

「僕を信じて。ティファ」

「・・・・・え?」

ーーーーーーーーードッ!

・・・・・・は?

「「「ハイト!!!」」」

なんだそれ?・・・・・なんだよ、なんで。

なんでお前・・・・・胸貫かれてんの?


「は、は?・・・・ハイトさ・・・・・」

「くそ!!待て!離しやがれ!連れていくな!」

「マジかよ!!洒落になんねぇぞ!ハイト!起きろ!!」

「コイツ!!硬い!!」

どうなってんだよ?途中まで確かに上手くいってただろ?
陛下も元に戻って、お前はしばらく国を離れて、その間に大樹をなんとかすれば、それで良かったんじゃねぇのかよ?

「・・・・待って・・・ハイト、さん・・・」

なんであそこで止まったりしたんだよ。なんで・・・・。

「いやです!!連れて行かないで!!!やだぁぁぁ!!」

一度ぐらい俺の言う事聞けよ!!本当に、本当にお前は、自分勝手だよな!!!・・・・・くそったれが!!!
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