110 / 144
第二章
閑話その4
しおりを挟む
「ヨシュア様と婚約?」
「ああ、向こうの家から是非アイラをヨシュアの相手にと話が来ている。お前の意見を聞きたい」
ちょっと待って下さいませ。
このタイミングであちらの家からお話が?あり得ませんわ。これは、明らかに。ヨシュア様の差し金ですわね?
一体何故?
「・・・・私は構いませんわ。そのままお話を進めて下さいませ。お父様」
「・・・・本当に、良いのだな?」
「はい。かまいませんわ」
酷い。
私の気持ちを知っていて。一度拒絶した癖に!!
私は、ヨシュア様にこんな事を望んだわけではありませんわ。私は、私はただ・・・・。
「アイラ。ヨシュアが迎えに来たぞ」
「はい。今参ります」
「お久しぶりでございます。本日は彼女に付き添う事をお許し頂き有難うございます」
「いいや。君の話は二人から聞いているのでね?安心してアイラを預ける事ができるよ」
ヨシュア様に私を好きになって貰いたかったのです。
たとえ、それが私と同じ感情じゃなかったとしても良かったのですわ。
「アイラ。手を」
この手を取れば、私の欲しいものは決して手に入らなくなりますわ。貴方の本当の心。それが。全て偽りで覆い隠されてしまいますから。
「アイラ?」
相変わらず綺麗な目。
貴方がこんな事をするなんて似合いませんわ。
礼儀正しい静かなヨシュア様なんて気持ち悪い。
口が悪くてヒステリックで、でも、とても真面目で優しいのがヨシュア様でしょう?
こんな事の為にあの家に帰ったのですか?
「宜しくお願い致しますわ。ヨシュア様」
「ええ。貴方の様な美しい方をエスコート出来る私は幸せ者ですね」
気持ちが悪いですわ。
今、貴方も私も偽りの仮面を被ってますわ。
誰にも知られない様に上っ面を取り繕って自分を偽っています。それが、私達の役・割・だから。そこに愛など存在しませんわ。
「おい。アイラ怒ってんのか?なんださっきの間は。俺一瞬思考が止まったぞ?」
「・・・・・・」
「無視かコラ。お前嫌だったなら、この話受けんなよ」
「・・・・・私が断れないと知っていて、この婚約話を持ち込んだ貴方に、そんな事言われる筋合いございませんわ」
「なんだよ。何が気に入らなかった?」
なにが、気に入らないか、ですって!!
「全てですわ!!この話がアルカディア家からである事!これがヨシュアの仕組んだ企みである事!そして、それを断らなかった自分自身に対してですわ!!」
「なんだよ。全部わかってんじゃん?」
「酷い!!私の事拒絶したのは貴方ですのに!!」
何がいけなかったのです?
確かに弱みに付け込んでヨシュア様に近付きましたわ。
でも、本当に嫌がることはしていない筈です。
もしそうなら、ヨシュア様はちゃんと口に出して注意してくれますもの。
「拒絶なんてしてねぇだろが。ただ、やり方が好きじゃないっつったんだよ。俺達、仮にも貴族だぞ?お前はその辺りを俺より熟知してた筈だろが?何で、そのお前が暴走するかな?」
意味が分かりませんわ!!全く理解出来ませんわ!!
「ヨシュア様が私の事、嫌いな事は知っております!!」
「え?俺そんな事お前に言ったか?」
「口になど出さなくとも、ヨシュア様の態度で分かりましたわ!!ヨシュア様わかり易いですから!!」
「・・・・・ふーん?で、俺に嫌われてるからなんなの?諦めんの?」
ムギギギギギ!!腹が立ってきましたわ!!本気でブチ切れそうです!私淑女なのに!!一応ですけれど!
「絶対に諦めませんわ!!貴方を私に屈服させて、毎日撫で回してやりますわ!!」
「へぇ?ふーん?」
キィーーーー!!!何ですかその余裕!普段はハイト様やギャド様にメタメタにやられてる癖に!!私全部知ってるんですからね!!
何ですか!!隣に座らないで下さいませ!馬車の中狭いのですから、距離が近くて私の酷い顔が見えてしまいますわ!嫌!
「お前。本当に分かってねぇの?何で俺がこんな事したのか」
「は?何・・・・」
え?ヨシュア様顔が近っ・・・・。
「お前ばかり俺を撫でくり回すなんて不公平だろ?俺にも少しは触らせろ」
え?それは一体どういう?というか今、頬に何が柔らかいものが触れた様な?・・・・え!?
「まさか、その為だけに?最低ですわ!!」
「・・・・・お前。なんでティファ化してんの?」
不埒な振る舞いをしたのはヨシュア様なのに、何故貴方がそんな呆れた顔で私を見るのですか!!納得出来ませんわ!!
「こりゃ思ったより時間がかかりそうだな」
「なんです!言いたい事があるならハッキリ仰って下さいませ!!」
「あ、そう?お前本当に可愛いよな?」
「ハァーーー?!馬鹿にしているのですか?!」
もう、もう、ヨシュア様なんて、最っっっ低ですわ!!
大、大、大っっっ好きですけど!嫌い!!
「ああ、向こうの家から是非アイラをヨシュアの相手にと話が来ている。お前の意見を聞きたい」
ちょっと待って下さいませ。
このタイミングであちらの家からお話が?あり得ませんわ。これは、明らかに。ヨシュア様の差し金ですわね?
一体何故?
「・・・・私は構いませんわ。そのままお話を進めて下さいませ。お父様」
「・・・・本当に、良いのだな?」
「はい。かまいませんわ」
酷い。
私の気持ちを知っていて。一度拒絶した癖に!!
私は、ヨシュア様にこんな事を望んだわけではありませんわ。私は、私はただ・・・・。
「アイラ。ヨシュアが迎えに来たぞ」
「はい。今参ります」
「お久しぶりでございます。本日は彼女に付き添う事をお許し頂き有難うございます」
「いいや。君の話は二人から聞いているのでね?安心してアイラを預ける事ができるよ」
ヨシュア様に私を好きになって貰いたかったのです。
たとえ、それが私と同じ感情じゃなかったとしても良かったのですわ。
「アイラ。手を」
この手を取れば、私の欲しいものは決して手に入らなくなりますわ。貴方の本当の心。それが。全て偽りで覆い隠されてしまいますから。
「アイラ?」
相変わらず綺麗な目。
貴方がこんな事をするなんて似合いませんわ。
礼儀正しい静かなヨシュア様なんて気持ち悪い。
口が悪くてヒステリックで、でも、とても真面目で優しいのがヨシュア様でしょう?
こんな事の為にあの家に帰ったのですか?
「宜しくお願い致しますわ。ヨシュア様」
「ええ。貴方の様な美しい方をエスコート出来る私は幸せ者ですね」
気持ちが悪いですわ。
今、貴方も私も偽りの仮面を被ってますわ。
誰にも知られない様に上っ面を取り繕って自分を偽っています。それが、私達の役・割・だから。そこに愛など存在しませんわ。
「おい。アイラ怒ってんのか?なんださっきの間は。俺一瞬思考が止まったぞ?」
「・・・・・・」
「無視かコラ。お前嫌だったなら、この話受けんなよ」
「・・・・・私が断れないと知っていて、この婚約話を持ち込んだ貴方に、そんな事言われる筋合いございませんわ」
「なんだよ。何が気に入らなかった?」
なにが、気に入らないか、ですって!!
「全てですわ!!この話がアルカディア家からである事!これがヨシュアの仕組んだ企みである事!そして、それを断らなかった自分自身に対してですわ!!」
「なんだよ。全部わかってんじゃん?」
「酷い!!私の事拒絶したのは貴方ですのに!!」
何がいけなかったのです?
確かに弱みに付け込んでヨシュア様に近付きましたわ。
でも、本当に嫌がることはしていない筈です。
もしそうなら、ヨシュア様はちゃんと口に出して注意してくれますもの。
「拒絶なんてしてねぇだろが。ただ、やり方が好きじゃないっつったんだよ。俺達、仮にも貴族だぞ?お前はその辺りを俺より熟知してた筈だろが?何で、そのお前が暴走するかな?」
意味が分かりませんわ!!全く理解出来ませんわ!!
「ヨシュア様が私の事、嫌いな事は知っております!!」
「え?俺そんな事お前に言ったか?」
「口になど出さなくとも、ヨシュア様の態度で分かりましたわ!!ヨシュア様わかり易いですから!!」
「・・・・・ふーん?で、俺に嫌われてるからなんなの?諦めんの?」
ムギギギギギ!!腹が立ってきましたわ!!本気でブチ切れそうです!私淑女なのに!!一応ですけれど!
「絶対に諦めませんわ!!貴方を私に屈服させて、毎日撫で回してやりますわ!!」
「へぇ?ふーん?」
キィーーーー!!!何ですかその余裕!普段はハイト様やギャド様にメタメタにやられてる癖に!!私全部知ってるんですからね!!
何ですか!!隣に座らないで下さいませ!馬車の中狭いのですから、距離が近くて私の酷い顔が見えてしまいますわ!嫌!
「お前。本当に分かってねぇの?何で俺がこんな事したのか」
「は?何・・・・」
え?ヨシュア様顔が近っ・・・・。
「お前ばかり俺を撫でくり回すなんて不公平だろ?俺にも少しは触らせろ」
え?それは一体どういう?というか今、頬に何が柔らかいものが触れた様な?・・・・え!?
「まさか、その為だけに?最低ですわ!!」
「・・・・・お前。なんでティファ化してんの?」
不埒な振る舞いをしたのはヨシュア様なのに、何故貴方がそんな呆れた顔で私を見るのですか!!納得出来ませんわ!!
「こりゃ思ったより時間がかかりそうだな」
「なんです!言いたい事があるならハッキリ仰って下さいませ!!」
「あ、そう?お前本当に可愛いよな?」
「ハァーーー?!馬鹿にしているのですか?!」
もう、もう、ヨシュア様なんて、最っっっ低ですわ!!
大、大、大っっっ好きですけど!嫌い!!
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
公爵家の半端者~悪役令嬢なんてやるよりも、隣国で冒険する方がいい~
石動なつめ
ファンタジー
半端者の公爵令嬢ベリル・ミスリルハンドは、王立学院の休日を利用して隣国のダンジョンに潜ったりと冒険者生活を満喫していた。
しかしある日、王様から『悪役令嬢役』を押し付けられる。何でも王妃様が最近悪役令嬢を主人公とした小説にはまっているのだとか。
冗談ではないと断りたいが権力には逆らえず、残念な演技力と棒読みで悪役令嬢役をこなしていく。
自分からは率先して何もする気はないベリルだったが、その『役』のせいでだんだんとおかしな状況になっていき……。
※小説家になろうにも掲載しています。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる