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episode22
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「ニーナ姫。中庭は今立入禁止となっています。話なら私が伺いましょう。」
カミル殿下の様子から察するに、私のことを中庭に近づけたくない理由がありそうだわ…。
一体どうして…。
「カミル殿下。サーバスについてですが…」
「ニーナ姫!その話は私の部屋で伺いましょうか。」
話を遮る様にカミル殿下はそう言うと、腰に手を当てて通路を歩く様促した。その所作に、少しの不安を覚えながら、カミル殿下の部屋に入ると、殿下はそのまま部屋の鍵をかけた。
「…あなた。カミル殿下では無いわね…!?誰?名乗りなさい!」
「何をおっしゃるのです?ニーナ姫。私はカミルです。」
「いいえ。カミル殿下は私と2人の時、扉の前に衛兵を立たせます。それに、鍵をかけたりはしなかったわ。貴方は誰?」
そう言ったと同時に、背筋が凍りつくのを感じ、護身用にドレスの中にひそませている短剣をカミル殿下に向けた。
「バレたかぁ。」
聞き覚えのある声…まさか…
「チト?!」
「正解ですよ。お姫様!」
カミル殿下は焼かれた人形の様に頭から溶けていき、その影から捻れる様に出てきたのはチトだった。
「!!?何…どうゆうこと?」
「説明は苦手なんですよねぇ。まぁ、一つだけ教えましょうか。私は貴方に言いましたよねえ。噴水を覗き込むな。と。」
「そうね。聞いたわ。覗き込んでいない!」
「なぜ、侍女にも忠告しなかったのです?」
「!?セナに何をしたの!!?」
「私は何も?」
「セナは今どこ!?教えなさい!!!」
チトはくすくすと笑うと、窓の外を指差した。
窓からは中庭が見えている。もちろん、あの噴水も。
「中庭に…?え…まさか、今衛兵が立っているのは…!!?」
振り返るとそこにはもうチトの姿は無かった。
私は急いで部屋の鍵を開けて外に出ると、こちらに向かってきていたカミル殿下にぶつかった。
「ニーナ姫!?」
「…本物?」
お互いに驚いていると、衛兵たちが私に槍を突き付けて叫び声を上げた。
「こちらはカミル殿下のお部屋!!こちらで何を!?」
言い訳できる状況じゃ無い…だけど今すぐにセナの元へ行かなければ…どうしたら
葛藤していると、カミル殿下は兵達に槍を下ろす様に命令した。
「さきに部屋に入っていてほしいと私が頼んだのだ。2人きりになりたい。退がれ。」
「失礼いたしました!」
兵達が退がり、周りに人がいない事を確認すると、カミル殿下はため息をついた。
「貴方に話さなければならないことがありますが、その前にお急ぎの様でしたね」
「私の侍女の身に何かあったようなの!急いで行かなきゃ!!!」
「私も一緒に行きましょう!」
カミル殿下の様子から察するに、私のことを中庭に近づけたくない理由がありそうだわ…。
一体どうして…。
「カミル殿下。サーバスについてですが…」
「ニーナ姫!その話は私の部屋で伺いましょうか。」
話を遮る様にカミル殿下はそう言うと、腰に手を当てて通路を歩く様促した。その所作に、少しの不安を覚えながら、カミル殿下の部屋に入ると、殿下はそのまま部屋の鍵をかけた。
「…あなた。カミル殿下では無いわね…!?誰?名乗りなさい!」
「何をおっしゃるのです?ニーナ姫。私はカミルです。」
「いいえ。カミル殿下は私と2人の時、扉の前に衛兵を立たせます。それに、鍵をかけたりはしなかったわ。貴方は誰?」
そう言ったと同時に、背筋が凍りつくのを感じ、護身用にドレスの中にひそませている短剣をカミル殿下に向けた。
「バレたかぁ。」
聞き覚えのある声…まさか…
「チト?!」
「正解ですよ。お姫様!」
カミル殿下は焼かれた人形の様に頭から溶けていき、その影から捻れる様に出てきたのはチトだった。
「!!?何…どうゆうこと?」
「説明は苦手なんですよねぇ。まぁ、一つだけ教えましょうか。私は貴方に言いましたよねえ。噴水を覗き込むな。と。」
「そうね。聞いたわ。覗き込んでいない!」
「なぜ、侍女にも忠告しなかったのです?」
「!?セナに何をしたの!!?」
「私は何も?」
「セナは今どこ!?教えなさい!!!」
チトはくすくすと笑うと、窓の外を指差した。
窓からは中庭が見えている。もちろん、あの噴水も。
「中庭に…?え…まさか、今衛兵が立っているのは…!!?」
振り返るとそこにはもうチトの姿は無かった。
私は急いで部屋の鍵を開けて外に出ると、こちらに向かってきていたカミル殿下にぶつかった。
「ニーナ姫!?」
「…本物?」
お互いに驚いていると、衛兵たちが私に槍を突き付けて叫び声を上げた。
「こちらはカミル殿下のお部屋!!こちらで何を!?」
言い訳できる状況じゃ無い…だけど今すぐにセナの元へ行かなければ…どうしたら
葛藤していると、カミル殿下は兵達に槍を下ろす様に命令した。
「さきに部屋に入っていてほしいと私が頼んだのだ。2人きりになりたい。退がれ。」
「失礼いたしました!」
兵達が退がり、周りに人がいない事を確認すると、カミル殿下はため息をついた。
「貴方に話さなければならないことがありますが、その前にお急ぎの様でしたね」
「私の侍女の身に何かあったようなの!急いで行かなきゃ!!!」
「私も一緒に行きましょう!」
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