冷酷皇太子の妃

まめだいふく

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episode21

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サーバス投獄あの一件から、3日が経った。
軍事会議も終わり、城内はとても落ち着いた様子だ。…不自然なくらいに。


「ねえ、セナ…。あれからサーバスはどうなったのかしら。」

朝の身支度を手伝うセナに疑問を投げかけると、セナは首を横に振った。

「何も存じません。城内では緘口令が出ているかのように、その話をするものは1人もおりません。」

後宮付きの宦官が他国の姫の不審死に関わっている。この事が各国に知れ渡れば、戦争になる可能性がある。しかも大規模なものになるはずだ。

当然、軍事会議でもその話が上がっているはず。

それなのに…。

「ニーナ様。だめですよ?」

「ダメってなにが?」

「サーバスに事情を聞こうなど…無理です。おやめください。」

地下の牢獄に閉じ込められ、入り口には衛兵がいる。

なんの権限もない私は中に入る事は許されない。

「私は当事者よ。何も聞かされないのはおかしいと思わない?」

「詳細がわからないうちに周りに知られれば事実がねじ曲がって伝わる恐れがありますから。カミル殿下がきっとしっかりと調べてくださいますわ。」


自国で起こった事だ。当然、カミル殿下はしっかりと調べるだろう。
でも、調べた詳細について私に教えるかはまた別。
外交面から考えても、話を濁す可能性の方が高い。

(街に出れば少しは何か分かるかもしれない。)

「今日は日没後に宴席に出席する予定となっています。私は宴席でのニーナ様の装飾品のお手入れをしておりますので、こちらでなさっていてくださいね?」

「ええ。大人しくしてるわ!」

セナが深々と頭を下げて部屋からでていくと、足音が遠ざかって行くのを扉の前で確認した。

「…そろそろ大丈夫そうね…」

そっと扉を開け、階段まで続く通路には誰もいない事を確認すると、そっと部屋を抜け出した。

(出口には多分衛兵がいるわ。どこから…あ!)

中庭に抜ける通路。確かあそこには外に出る扉があったはず。

中庭へは階段を通る必要がある…。それなら…。

できるだけ平静を装い、衛兵に声をかけた。

「中庭に出たいの。このあいだ、髪飾りを落としてしまって。」

「ニーナ様。中庭は只今出入り禁止となっております。」

「そんな…あの髪飾りは前国王のお祖父様に頂いたもので形見なの…。どうにか入れないかしら…。」

衛兵たちは首を横に振った。

(あの2人さえ説得できれば…)

その時だった。

「ニーナ姫?」

声の方に振り向くとそこにいたのはカミル殿下だった!










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