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四公演目――琥珀とラウドスピーカー
フェルマータ:???
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「どうだったかな。一口に父親といっても、結局は人間でしかないんだから三者三様だよね。……比べてみないとなかなか、気付かないものだけど」
レコードを取り出すと、店主は代わりにと言わんばかりにラジオのスイッチをいれた。先日初成功した大陸間衛星中継について……アメリカ、イギリス、フランス三国が……と、当たり障りのないニュースが流れ出す。
「収録中、たま~に父親の話になっても、黙り込んじゃうメンバーが多くて。しんと静まり返っちゃうんだよね。そういうの、フランスだとなんとかっていうんだよね。天使が……なんだっけな、くしゃみしたとか? 違うか。歌った? うーん……」
ラジオよりも、レジスターの方が大きな音だった。思い出すのを諦めたのか、まあいいやと店主は仕切り直す。
「今宵は是非、父親に思いをはせながら――ああ、でも良い感情を抱いてるとも限らないか。じゃあ思い出したくもない場合を除いて、頭の中で言い返したりしながら――気を付けてお帰りください。本日もご来場頂き、ありがとうございました」
ドアベルは前回に比べ、ゆっくりと密やかにないた。
レコードを取り出すと、店主は代わりにと言わんばかりにラジオのスイッチをいれた。先日初成功した大陸間衛星中継について……アメリカ、イギリス、フランス三国が……と、当たり障りのないニュースが流れ出す。
「収録中、たま~に父親の話になっても、黙り込んじゃうメンバーが多くて。しんと静まり返っちゃうんだよね。そういうの、フランスだとなんとかっていうんだよね。天使が……なんだっけな、くしゃみしたとか? 違うか。歌った? うーん……」
ラジオよりも、レジスターの方が大きな音だった。思い出すのを諦めたのか、まあいいやと店主は仕切り直す。
「今宵は是非、父親に思いをはせながら――ああ、でも良い感情を抱いてるとも限らないか。じゃあ思い出したくもない場合を除いて、頭の中で言い返したりしながら――気を付けてお帰りください。本日もご来場頂き、ありがとうございました」
ドアベルは前回に比べ、ゆっくりと密やかにないた。
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