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八章 逃避行と商人の街
四十一話
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サミュール要塞は初めてだからというのもあるが、かなり複雑なつくりをしているので、何度も迷ってしまった。
ようやくたどり着いた司令室の扉をノックすると、返事が返ってこない。
「どうしたのかな? 」
もう一度ノックしたが、やはり返事はない。
不審に思ってしまうので、もう開けようとドアノブに手をかけたが、そこでトラウマが蘇った。
「もしかして、着替えてる? 」
やっぱり、返事はない。こんなに聞いたんだ。開けてしまっても怒られはしないだろう。
「入るよ。」
言いつつドアノブをひねり、司令室に入った。
中にピオーネはいなかった。
「あれ? ピオーネ? 」
呼びかけても彼女は出てこない。
「おーい? いないのかい? 」
「彼女ならいないよ。」
「うわっ! 」
部屋の隅から声がして、僕は腰を抜かしそうになってしまった。
声のした方を見ると、手錠をはめられて、繋がれた男がいた。彼は僕に話しかけてきた。
「司令官は君を待ちかねて、別の用事を済ませに行ってしまったよ。その間に僕は脱走しようと頑張っていたところに君が来たというわけだ。」
「正直ですね。」
「よく言われるよ。」
男はキツく繋がれた鉄の鎖をどうにかしようとしたらしく、彼のいるあたりは散らかっていた。
男はちょび髭の小綺麗な男だった。
「ところで提案なんだがね。」
「なんです? 」
「この鎖試しに外してみないか? 」
「するわけないでしょ! あなた、見るからに怪しいですし。」
男はニヤリと笑った。
男は両手が塞がったまま器用に立ち上がった。
「何を! 」
「いやいや、安心したまえ。別に逃げようってわけじゃないさ。そこの机に座りなさい。」
男の鎖は厳重に繋がれていたので安心した。
彼が促すので、僕は円卓に座った。
「捕虜になったとしても、まだ私はもてなす側だからね。紅茶を淹れてあげよう。」
男は部屋の端にある棚の方まで歩いて行った。
「ガチャン! 」
「おおっと。鎖の長さが足りなかったよ。」
彼の手は棚に届かなかった。
「すまないが、君。私の代わりに棚から茶葉を取ってはくれないかね。」
「は、はあ。」
僕は言われた通りに棚の上から2段目を開いた。
「黒い缶があるだろう? 」
確かにあった。
「ええ。」
手を伸ばして奥の黒缶を取り、それを持ってまた円卓まで戻った。
円卓では、男がこれまた器用に湯を沸かしていた。
「手錠も長時間かけられると慣れるもんだよ。」
白い蒸気がはやくも吹き出した。
僕が円卓につくと、彼は対面に座った。
「まあまあ、リラックスしたまえ。あの怖いお嬢さんは当分帰ってこない。」
「へえ、分かるんですか? 」
「分かるとも。私だって軍人だ。今は違うかもしれないが。」
紅茶ができた。ティーポッドからカップ二つに紅茶を移すと、さらに湯気が立つ。
「ところで君、軍人じゃないだろう。」
「そうですけど。」
「変わっているな。一般人にしても、かなり数奇だ。」
「そう……かもしれません。」
「私は君に興味が湧いてきたぞ。」
男は右手でカップをつまんで口をつけた。
それから、僕は正体も分からない目の前の男と、しばらく談笑した。僕のことはいろいろと聞いてくるが、彼のことはあまり教えてくれなかった。
けれど、不思議と僕は自分から話してしまった。警戒心はほぐれるどころか、消え去ってしまっていた。
「君は何処出身? 」
「日本です。」
「ニホン? 聞いたことないな。」
あれ、通じるはずがないのにどうしてこんなこと言ってるんだろう? ホルンメラン生まれとでも言っておけばいいのに。
「でもまあ嘘じゃないのだろう? 」
「ええ。そうです。」
何を聞かれても拒むことができない。
「この手錠を外す方法は知ってるかい? 」
「知らないですよ。」
「あら、やっぱり本当に知らないのか。そりゃ残念。」
意識が遠のいていく。自分が何を考えて、何を話しているのかさえ分からなくなってきた。
眠ってしまいそうなほど虚になったそのときだった。
「喋るな!! 」
突然部屋に怒号が響いた。
扉を勢いよく開けたのは、帰ってきたピオーネだった。
「おおと、ご帰還かなお嬢さん。」
「黙りなさい。そして、タイセイさんにかけた魔法も解くのです! 」
ピオーネは短剣を腰から抜き男の喉元に突きつけた。
男はまたニヤニヤと笑っていた。
「そんな剣幕で怒らんでもいいじゃないか。からかっていただけだよ。」
彼は指を鳴らした。
すると、途端に僕の意識は明瞭になった。
「大丈夫ですか? タイセイさん。」
「ああ、意識がはっきりしてきた。」
どういうことなのか、ピオーネは説明してくれた。
「この手錠をかけられた男は、もともとこのサミュール要塞の司令官、ミラージュ中将です。」
どこかで気づいていた。紅茶の場所を知っていたんだから。
ミラージュ中将はピオーネに短剣を突きつけられたままだった。
「この男が危険なのは、単に敵だからというわけじゃありません。あなたも今しがた体験したでしょう? 」
「ああ、眠たくなったんだよね。」
「それ、魔法なんですよ。この男が使う危険な魔法です。」
「危険なことはないさ。」
「あなたは黙って! 」
ピオーネは一層鋭く短剣をミラージュ中将に突きつけた。
彼女はかなり苛立っているようだった。
「ともかくです! この男の魔法は『かけた相手を真実しか喋れないようにする』というものです。」
「僕が日本だのなんだの口走ったのはそれなのか。」
「はい? 」
「いや、なんでもない。」
このミラージュ中将、魔法を使うのか。え、でも……
「人間は魔法を使えないんじゃ? 」
「魔族が軍人やってちゃ悪いかね、タイセイくん? 」
「いえ、そんなことは……。」
彼をよく見てみると、人間っぽくない部分がちょくちょくあった。
「彼はトゥルースヒアなんです。瞳が鏡になっているのが特徴です。」
彼の顔をよく見てみると、透き通るような瞳に僕の顔が写っていた。
ピオーネは懐から銀色の首輪を取り出してミラージュ中将の首につけた。
「これ嫌いなんだよね。」
「あなたの天敵ですからね。」
首輪をつけると、ピオーネはようやく短剣をしまって椅子に座った。
ピオーネは机に頬杖をついて、また話し始めた。
「この人はここの司令官だったんですよ。ミラージュ中将、普段は上官のはずでした。」
「ところが私は部下と、このお嬢さんに嵌められたというわけだ。まったくエグいことをするもんだ。」
「いえいえ、あなたのその厄介な魔法が原因なんですよ。正攻法で攻めたらこちらの被害が尋常じゃなくなってしまうでしょうから。」
ミラージュ中将はさっきまでよりもグッタリとしていた。
「あの、ピオーネ。彼はどうしたの? 」
「首輪の効果ですね。それを魔族につけると、生気が吸い取られていきます」
ほう、魔族対策の道具か。さっきはそれを取りに行っていなくなっていたのか。
ミラージュ中将は黙ってしまったので、僕は自分自身の本題に入った。
「あの、僕のことを呼んだのって……」
「お察しの通りです。あなた、馬車ごと置いてきたそうじゃないですか。」
「う、うん……。」
「いやいや、責めてるわけじゃないですよ。責任はむしろこちらにありますから。ただ話を聞きたいだけなんです。」
ピオーネは珍しく優しい顔をしていた。
「あれ、機嫌いいの? 」
「あらら。分かっちゃいましたか? 機嫌だって良くなりますよ。久しぶりに屋根ありの建物に泊まれて、お風呂にも入れるんですから。」
そりゃそうか。ずっとテントだったもんな。
僕は、馬車を失くしてしまった件について、ピオーネに詳細を説明した。ピオーネは機嫌が良かったおかげで、彼女は終始穏やかに話を聞いてくれた。
「おそらく馬車は破壊されていないでしょうね。むざむざ壊してしまうような代物じゃありませんからね。ニフラインの人たちにも価値は分かるでしょう。だから、どこかに運ばれていると思います。」
「その場所はどこ? 」
「そうですね……」
ピオーネはお馴染みのニフライン地図を広げた。
「ニフラインの本都市に運ばれるのであれば、進路的にこの要塞の前を通るので待っていればきっと現れますね。そうでないとすれば……」
ピオーネは地図のサミュール要塞の北のあたりを指でさした。
「商人街、フォッケトシアです。」
ようやくたどり着いた司令室の扉をノックすると、返事が返ってこない。
「どうしたのかな? 」
もう一度ノックしたが、やはり返事はない。
不審に思ってしまうので、もう開けようとドアノブに手をかけたが、そこでトラウマが蘇った。
「もしかして、着替えてる? 」
やっぱり、返事はない。こんなに聞いたんだ。開けてしまっても怒られはしないだろう。
「入るよ。」
言いつつドアノブをひねり、司令室に入った。
中にピオーネはいなかった。
「あれ? ピオーネ? 」
呼びかけても彼女は出てこない。
「おーい? いないのかい? 」
「彼女ならいないよ。」
「うわっ! 」
部屋の隅から声がして、僕は腰を抜かしそうになってしまった。
声のした方を見ると、手錠をはめられて、繋がれた男がいた。彼は僕に話しかけてきた。
「司令官は君を待ちかねて、別の用事を済ませに行ってしまったよ。その間に僕は脱走しようと頑張っていたところに君が来たというわけだ。」
「正直ですね。」
「よく言われるよ。」
男はキツく繋がれた鉄の鎖をどうにかしようとしたらしく、彼のいるあたりは散らかっていた。
男はちょび髭の小綺麗な男だった。
「ところで提案なんだがね。」
「なんです? 」
「この鎖試しに外してみないか? 」
「するわけないでしょ! あなた、見るからに怪しいですし。」
男はニヤリと笑った。
男は両手が塞がったまま器用に立ち上がった。
「何を! 」
「いやいや、安心したまえ。別に逃げようってわけじゃないさ。そこの机に座りなさい。」
男の鎖は厳重に繋がれていたので安心した。
彼が促すので、僕は円卓に座った。
「捕虜になったとしても、まだ私はもてなす側だからね。紅茶を淹れてあげよう。」
男は部屋の端にある棚の方まで歩いて行った。
「ガチャン! 」
「おおっと。鎖の長さが足りなかったよ。」
彼の手は棚に届かなかった。
「すまないが、君。私の代わりに棚から茶葉を取ってはくれないかね。」
「は、はあ。」
僕は言われた通りに棚の上から2段目を開いた。
「黒い缶があるだろう? 」
確かにあった。
「ええ。」
手を伸ばして奥の黒缶を取り、それを持ってまた円卓まで戻った。
円卓では、男がこれまた器用に湯を沸かしていた。
「手錠も長時間かけられると慣れるもんだよ。」
白い蒸気がはやくも吹き出した。
僕が円卓につくと、彼は対面に座った。
「まあまあ、リラックスしたまえ。あの怖いお嬢さんは当分帰ってこない。」
「へえ、分かるんですか? 」
「分かるとも。私だって軍人だ。今は違うかもしれないが。」
紅茶ができた。ティーポッドからカップ二つに紅茶を移すと、さらに湯気が立つ。
「ところで君、軍人じゃないだろう。」
「そうですけど。」
「変わっているな。一般人にしても、かなり数奇だ。」
「そう……かもしれません。」
「私は君に興味が湧いてきたぞ。」
男は右手でカップをつまんで口をつけた。
それから、僕は正体も分からない目の前の男と、しばらく談笑した。僕のことはいろいろと聞いてくるが、彼のことはあまり教えてくれなかった。
けれど、不思議と僕は自分から話してしまった。警戒心はほぐれるどころか、消え去ってしまっていた。
「君は何処出身? 」
「日本です。」
「ニホン? 聞いたことないな。」
あれ、通じるはずがないのにどうしてこんなこと言ってるんだろう? ホルンメラン生まれとでも言っておけばいいのに。
「でもまあ嘘じゃないのだろう? 」
「ええ。そうです。」
何を聞かれても拒むことができない。
「この手錠を外す方法は知ってるかい? 」
「知らないですよ。」
「あら、やっぱり本当に知らないのか。そりゃ残念。」
意識が遠のいていく。自分が何を考えて、何を話しているのかさえ分からなくなってきた。
眠ってしまいそうなほど虚になったそのときだった。
「喋るな!! 」
突然部屋に怒号が響いた。
扉を勢いよく開けたのは、帰ってきたピオーネだった。
「おおと、ご帰還かなお嬢さん。」
「黙りなさい。そして、タイセイさんにかけた魔法も解くのです! 」
ピオーネは短剣を腰から抜き男の喉元に突きつけた。
男はまたニヤニヤと笑っていた。
「そんな剣幕で怒らんでもいいじゃないか。からかっていただけだよ。」
彼は指を鳴らした。
すると、途端に僕の意識は明瞭になった。
「大丈夫ですか? タイセイさん。」
「ああ、意識がはっきりしてきた。」
どういうことなのか、ピオーネは説明してくれた。
「この手錠をかけられた男は、もともとこのサミュール要塞の司令官、ミラージュ中将です。」
どこかで気づいていた。紅茶の場所を知っていたんだから。
ミラージュ中将はピオーネに短剣を突きつけられたままだった。
「この男が危険なのは、単に敵だからというわけじゃありません。あなたも今しがた体験したでしょう? 」
「ああ、眠たくなったんだよね。」
「それ、魔法なんですよ。この男が使う危険な魔法です。」
「危険なことはないさ。」
「あなたは黙って! 」
ピオーネは一層鋭く短剣をミラージュ中将に突きつけた。
彼女はかなり苛立っているようだった。
「ともかくです! この男の魔法は『かけた相手を真実しか喋れないようにする』というものです。」
「僕が日本だのなんだの口走ったのはそれなのか。」
「はい? 」
「いや、なんでもない。」
このミラージュ中将、魔法を使うのか。え、でも……
「人間は魔法を使えないんじゃ? 」
「魔族が軍人やってちゃ悪いかね、タイセイくん? 」
「いえ、そんなことは……。」
彼をよく見てみると、人間っぽくない部分がちょくちょくあった。
「彼はトゥルースヒアなんです。瞳が鏡になっているのが特徴です。」
彼の顔をよく見てみると、透き通るような瞳に僕の顔が写っていた。
ピオーネは懐から銀色の首輪を取り出してミラージュ中将の首につけた。
「これ嫌いなんだよね。」
「あなたの天敵ですからね。」
首輪をつけると、ピオーネはようやく短剣をしまって椅子に座った。
ピオーネは机に頬杖をついて、また話し始めた。
「この人はここの司令官だったんですよ。ミラージュ中将、普段は上官のはずでした。」
「ところが私は部下と、このお嬢さんに嵌められたというわけだ。まったくエグいことをするもんだ。」
「いえいえ、あなたのその厄介な魔法が原因なんですよ。正攻法で攻めたらこちらの被害が尋常じゃなくなってしまうでしょうから。」
ミラージュ中将はさっきまでよりもグッタリとしていた。
「あの、ピオーネ。彼はどうしたの? 」
「首輪の効果ですね。それを魔族につけると、生気が吸い取られていきます」
ほう、魔族対策の道具か。さっきはそれを取りに行っていなくなっていたのか。
ミラージュ中将は黙ってしまったので、僕は自分自身の本題に入った。
「あの、僕のことを呼んだのって……」
「お察しの通りです。あなた、馬車ごと置いてきたそうじゃないですか。」
「う、うん……。」
「いやいや、責めてるわけじゃないですよ。責任はむしろこちらにありますから。ただ話を聞きたいだけなんです。」
ピオーネは珍しく優しい顔をしていた。
「あれ、機嫌いいの? 」
「あらら。分かっちゃいましたか? 機嫌だって良くなりますよ。久しぶりに屋根ありの建物に泊まれて、お風呂にも入れるんですから。」
そりゃそうか。ずっとテントだったもんな。
僕は、馬車を失くしてしまった件について、ピオーネに詳細を説明した。ピオーネは機嫌が良かったおかげで、彼女は終始穏やかに話を聞いてくれた。
「おそらく馬車は破壊されていないでしょうね。むざむざ壊してしまうような代物じゃありませんからね。ニフラインの人たちにも価値は分かるでしょう。だから、どこかに運ばれていると思います。」
「その場所はどこ? 」
「そうですね……」
ピオーネはお馴染みのニフライン地図を広げた。
「ニフラインの本都市に運ばれるのであれば、進路的にこの要塞の前を通るので待っていればきっと現れますね。そうでないとすれば……」
ピオーネは地図のサミュール要塞の北のあたりを指でさした。
「商人街、フォッケトシアです。」
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