生きること

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エピソード4:夢

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私には小さい時からの夢がある。

ずっと、その仕事に就くのに憧れていて、いつかはきっとなれるっておもってた。


だけど、現実はそんなに甘くない。



夢を叶えるためには、まず、いい高校行って、いい大学に行っておいたほうがいいだろう。

だけど、私は勉強が苦手だ。

勉強だけでなく、運動も人とのコミュニケーションも苦手。。。

だけど、やっぱりそれでも夢を叶えたい。
その仕事に就きたい。

だから、まず、人のコミュニケーションを取るために、部活に入ろうと思った。


そして、私は、音楽があまり得意ではなかったが、夢を叶えるためには、人前に立つ度胸もいるので、いろんな人の前で演奏をする吹奏楽部を選んだ。

リズム感もなく、音痴な私には、毎日が厳しかった。苦しかった。

先輩に目をつけられて、挨拶をしているのに、挨拶をしない後輩と噂を流され、注意を受けることもあった。

それでも、自分なりに一生懸命に努力をし、同じ部活の友達に励ましてもらいながら、やっと少し芽がでてきたかな?ぐらいには成長ができた。
そして、先輩とも仲良くしてもらえるようになり、徐々に部活にも馴染めてきた。

一学年上がり、後輩が入ってきた。
すごく可愛い後輩ばかりでいい子ばかりだった。

しかし、先輩達が引退してから一気に後輩の態度などは変わるのだった。

私たちの学年での入部員数はたったの3人に対して後輩は、数十人いた。

私は副部長として頑張ってまとめようとしていたが、中々上手くはいかなかった。
きっと、部長なら上手くまとめれたはずだった。
頭もよく、しっかり自分の意見を伝えることができ、楽器もとっても上手だった。
みんな尊敬していたから、きっと部長の話なら聞いていただろう。
だけど、私は、頭もよくなく、自分の意見に自信が持てなくて、はっきりと注意したりすることができなかったし、楽器も上手ではなかったので後輩に舐められていたのだろう。

特に私のパートには2人の後輩がいた。
一人は、小さい時から英才教育を受けているような子で、すごく上手で、なんでもできた。
もう一人の子は、楽器初心者だけど、努力家だった。

先生が、びっくりするほど、後輩の2人の子に差をつけて接し、中々、努力家の子には良い楽器を演奏させてくれないので、私は部長に相談した。
部長もこの状態には気づいてくれていて、部長自身も先生に対して不満があったみたいだった。

しかし、部長は、生徒会にも入っていたのであまり、部活にはこれなくなった。
唯一の頼りの部長がいないと、どうしていいか本当にわからなかった。
だから、もう一人の子に相談しようと思ったが、この子は気分によってはまるで人が変わる。ある時は、ふつうに仲のいい友人だが、ある時は、私の話を無視したり、嫌がらせをするような子だった。



だから、先生に直接話をすることにした。

すると、先生は、
「あなたが今まで努力して、今やっと芽が出たでしょ?
そしたらわかるでしょ?
才能のある子と努力している子だったらどっちが使えるか。
最初から芽がでてる子と、まだ芽がでていない子。
どんなに努力したって、才能がある子には勝てない。だって、才能のある子が努力したら、無敵だから。だから、あなたが言いたいことはわかるけど、これからも後輩には、こうやって接する。」と言われた。


私は、一気にやる気をなくした。
後輩の努力を認めて欲しかっただけなのに、
自分の努力がが全て無駄だと言われたような気がした。
今まで、頑張ってきた二年間は何だったんだろう?

才能はないかもしれない。
だけど、努力して一生懸命頑張っているのになぜ、それをもっとわかってくれないんだろう。
悔しかった。悲しかった。苦しかった。

それでも、頑張ろうと毎日努力した。

しかし、ある日から音楽室に入ると頭痛と手の震えが止まらなくなった。それに加え、楽器を演奏すると、手に痺れを感じ、耳鳴りがした。また、楽譜が歪んで見えるようになり、とうとう自分の思い通りの演奏ができなくなってきた。

でも、誰にも相談できなかった。なぜなら、日常生活は元気だし、手の震えも何かが歪んで見えることもないし、問題がなかったから、誰になんて言えばいいのかわからなかった。
自分の思い込みかもしれないって言い聞かせて頑張ろうとした。けど、できなかった。
もう、限界だった。
だから、私は部活を辞めることにした。
私以外にも不満があった子はいたみたいで、私が辞めると同時に同級生と後輩数人の子は辞めた。


親からは「あと少しで引退なのに?なんで辞めたの?」と色々聞かれ、すごく心配もされた。
とても応援してくれていた分、親には本当に申し訳なく、心が苦しかった。
しかし、時が経つにつれ、親は部活のことに対して何も言わなくなり、前みたいに戻れた。むしろ、なんでも言い合える関係になった。

また、部活を辞めたことで学校のストレスは大きく減った。
こんなに学校って楽しいの?って毎日思うほど、心が楽になった。

もちろん、音楽の授業はあるし顧問の先生と顔を合わせる機会もあった。
あからさまに、顧問の先生からは授業中手をあげても当ててもらえないことや、歌のテストでは私の名前だけリストの中に入っていないことがあるなど、嫌がらせはあった。
後輩の子と廊下や委員会などで顔を合わせると気まずかった。
卒業した先輩からもメールで「なんで辞めたの?引退まであともう少しでしょ?」と責められることもあった。

それでも、部活を辞めたことに後悔することはなかったし、むしろ清正していた。

あんなに死にたいと思っていた日々から、
嫌いなものから嫌いな人から逃げたことで、こんなにも心が楽になるんだと思った。

逃げることは良くない、逃げたらダメ、諦めたら終わりだとずっと思っていた。
しかし、部活を辞めたことで、こんなにも気持ちが楽になれるなら、死にたいと思うことがなくなるなら、もっと早く辞めたらよかったと思った。
逃げることは別に悪いことではない。
死ぬことさえしなければ、どうにでもなることがわかった。
嫌なことがあった時、嫌なことをされたとき、嫌な人がいる時、少し頑張ってみることも大事だと思う。だけど、頑張りすぎるのは違う。自分がそのことで苦しくて死にたくなるぐらいだったら、距離を置くことが大事だ。
自分を嫌な気持ちにする人のために頑張る必要はない。
自分を嫌な気持ちにする人に好かれる必要はない。

それなら、自分を想ってくれる人、自分を成長させてくれるもののために時間を使おうと思った。

応援してくれていた家族のために、頑張ってきた部活を辞めるのは良くないことなのではないかと考えることもあった。

しかし、もし、私が反対の立場だったら、家族に我慢してまで頑張って欲しくないと思った。例え、その家族の頑張りが、私の喜びに繋がることにしても、その頑張りがなくなったら私に何か負担が来ることがあったとしても、私は家族に我慢して頑張ってしてもらうほどまでそれはしてほしくないと思う。だから、私は家族が私のことを想ってくれているのを心配したり迷惑かけるかもしれないとわかっていても、私は苦しいことを我慢して頑張るよりも、素直に苦しい、辞めたいと伝えた。

自分の弱さを認めて誰かに伝えることはすごく勇気がいるし、怖かった。けど、言葉にしてきちんと伝えることは特に自分のことを想ってくれている人や自分が大切に想っている人にこそ伝えることで、いろんなことに挑戦してみようかな、新たに何か頑張ってみようかななどと思わせてくれ、生きる希望を与えてくれた。




そのため、部活を辞めてからは勉強を頑張ってみることにした。

テスト週間は、勉強が苦手なりに何度も何度も問題集を解いたり、友達に聞いたりしてわかるようになるまで頑張った。
友達に馬鹿にされたりすることもあったが、自分なりに頑張った。
すると、徐々にだが点数は上がっていった。

顧問の先生に言われた、「努力しても才能がある子には勝てない」という言葉が何度も頭に過ぎることがあった。例え、天才には敵わないことがあるとして、それでも、努力した分、こうやって徐々に伸びていく成績を見て、努力すれば自分は変わっていく、自分自身は成長していることが実感できた。

努力は誰かと比べる必要はないこと、自分自身がどれだけ成長できたかが大事だと思うようにして頑張った。

そして、そうこうしているうちに無事、志望校に合格した。


高校はそこそこの成績で入ることができた。
それは勉強が苦手なりにもっと頑張っていたからだろう。
毎日、学校から帰ってご飯食べてお風呂入って、予習、復習して寝るの繰り返しで、順位も上位をキープできるようになり、勉強することにに対してそこまで抵抗はなくなった。

高校からの友達は、私が元々頭がいいと勘違いしているみたいで、テストの話になると、元々頭がいいからいいよね!
勉強しなくても点数良くて。なんて嫌味を言われるようになるまで、勉強が得意になった。

また、部活も入ることにした。
また、辞めてしまうのではないかと不安もあったが、せっかくだからと思い、いろんな部活動を体験した。
そして、人間関係もすごくアットホームで楽しかった部活に入ることにした。
なんといっても、顧問の先生は部活の活動に対して口を出すことはなく、時々差し入れをしてくれる先生だったため、本当に自由に部活動を楽しむことができた。




私には夢がある。
それがどんなに難しくても遠くても、周りに何か言われても、自分が自分自身が、諦めなければ、信じ続ければ夢を見ることはできる。
夢を実現するためには、どんな人だって努力が必要だろう。しかし、努力しても努力しても叶わないものもあるかもしれない、でもその努力した分、自分の自信になり、より新たな夢に出会えるかもしれない。
とりあえず、私は今の夢に向かって努力し続けるだけだ。時には、立ち止まりながら。


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