黒き死神が笑う日

神通百力

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人間ジュース

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 私は妹の体を鋸で切断していた。数分前に何気なく願望を話したら、妹は自分の体を使ってと言ってくれた。姉思いの妹に私は心から感謝した。
 妹の体を解体し終え、私はシンクの下からミキサーを取り出して準備した。ミキサーの蓋を開けると、脳味噌や指、薄くスライスした腕を放り込んだ。それからコップ一杯分の血液を注ぎ入れてスイッチを押した。
 ミキサーは音を立てて、瞬く間に中の脳味噌や腕などを粉砕していく。ものの数十秒で中の材料を粉砕し終え、ドロドロのジュースが完成した。ジュースは真っ赤な色をしていた。血液が入っているから当然だった。
 私の願望は人間をジュースにして飲むことだった。妹のおかげでようやく願望を叶えられるのだ。
 食器棚からマグカップを取り出すと、ミキサーの蓋を外して斜めにして注ぎ込んだ。見る見るうちにマグカップが真っ赤なジュースで満たされていく。そこに眼窩から抉り取った眼球を添える。
 私は深呼吸すると、マグカップを傾けて真っ赤なジュースを飲んだ。口の中にゆったりとした速度でドロドロのジュースが流れ込んでくる。濃厚な血の味が口いっぱいに広がった。細かな肉片や脳味噌の欠片の食感がし、これまでの人生で一番美味しいジュースだった。まだ妹の体は残っているし、明日も作ろう。
 マグカップを傾け、今度は眼球ごと真っ赤なジュースを飲む。眼球が潰れて眼漿が溢れ出し、真っ赤なジュースと混ざり合い、さらに旨味が増した。
 頭だけを残し、使わなかった妹の体を冷蔵庫に保存した。
「ありがとう。あんたは自慢の妹だよ」
 私は満面の笑みでそう言うと、妹の頭を胸に抱きしめながら、ベッドに潜り込んで熟睡した。
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