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ヤギのヤーンおばあちゃん

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今日は、あいにくの雨です。

明日は晴れてくれればいいのに、もっと雨が降るんだって。
いやになっちゃう、、。

牧場に、おばあちゃんヤギのヤーンがおりました。

ヤーンおばあちゃんの牧場での一日は、ちょっと変わっていました。
朝、おばあちゃんなのでだれよりも早く起きるのかと思えば、
だれよりも一番遅く起きました。

食事もそう。

おばあちゃんなので、あまり量を食べられないと思いきや
人一倍食べました。

そしてなにより変わっているのが、オシャレでした。

顔を洗ったり、体をふいたり、毛づくろいをしたり、爪をみがいたり、
髪をゆわいたり、一日中だいたいオシャレに時間を使っていました。

ある、仲間のヤギは心の中で思っていました。(おばあちゃんなんだから
いくらオシャレをしたって おばあちゃんさっ)。
心ない声もちらほら聞こえてきました。でも、ヤーンおばあちゃんは、
へっちゃらです。そんなのはいつも笑いとばしていました。

他のヤギたちが、ヤーンおばあちゃんを見ていると本当に幸せそうだと
思っていました。

ところが、いつもヤーンおばあちゃんの側でいっしょにいる ウェルねぇは、
本当のヤーンおばあちゃんを知っていました。
ヤーンおばあちゃんは、実はああみえて人一倍さびしがり屋でした。
ウェルねぇは、夜中に一匹でいるヤーンおばあちゃんが、しくしくさびしくって
泣いているのを、何度も見たことがありました。
ウェルねぇはみかねて、ヤーンおばあちゃんに言いました。「もっとみんなとおしゃべりして
遊んでみたら」。

しかし、ヤーンおばあちゃんは、首を横にふります。「わたしゃ~さびしくて
泣いている訳じゃないんだよ。うれしいから泣くのさ」と、強がりました。

「いつもこれだ、、、」ウェルねぇはかえす言葉もみつかりませんでした。


今日、明日で雨が止めば、春の暖かさがやってきます。
桜も見ごろになるでしょう。
ヤーンおばあちゃんは、いつも通りオシャレに夢中。

でも、いつも春になると、
なぜだかさびしさが和らぐんだって!!寝言で言っていました。

                          おわり
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