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221. 幸せの先へ!

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 夕食会は気軽に食事が食べれるよう、わたし好みのかわいいシンプルなワンピースをプラムとシルエラが着せてくれる。

 頭につける髪飾りは、見たことがあるような? 
 ないような? パールの髪飾り。

 ライからの贈り物だったけど……

 もう、気にしない。


 テーブルには豪華な料理が数多く並べられている。

 食べたことのない料理がいっぱい!
 料理長、頑張ってくれたんだな。

 立食形式だったので、話しながら楽しく食べることができるみたいだ。

 身内だけだから、テーブルの近くに椅子もちゃんと用意されている。

 細かい配慮もさすが完璧!


 ソードがなんだか胸を張って、素晴らしい料理を用意しましたと言っていただけのことはあるよ。

 その料理の中でも、妙に気になる 一角がある。

 なぜか、変わったお肉に目がいった……
 そこだけあきらかに、何かが…… 違う?

 飾り付け?
 豪華なお皿?
 香り?
 んーっ??
 思わず手を出してしまう……

 魔牛でもない。
 魔牛よりも赤身の濃い、なんとも言えない色。

 そしてなに、この驚異的なおいしさっ!


「ソード…… これは、なんのお肉?! おいしすぎるんですけど……」

 一口食べて、思わずソードに聞いてしまった……

「パール…… うまいなっ! こ、これは……  もしかして ドラゴンかーーっ!? ソード! そうだろう!!」

「ふふふ 当たりです。 やはり、おいしいですね」

「ああ、うまいな。 しかし、よく手に入ったな?」

「わたしも、これは 初めて食べたよ……」

 ドラゴンのお肉は、なかなか手に入らないそうだ……

 ガントも 三百年生きてきて 二回しか食べたことがないらしい。

 ホントに、魔牛より 一段も 二段も上のおいしさで、ビックリ!!

 赤身なのに脂がのっているのか、噛むごとにジューシーで、味がしみでてくる?
 しつこ過ぎないけど、濃厚な肉の旨みが口の中にいっぱいあって、弾力があるのに柔らかい……お肉。
 不思議だ……

 ドラゴンのこれは、ロースト? ソテー? が、出てきてガントと二人興奮してしまい、魔牛を越したすごいお肉だと絶賛して騒いだのは、ちょっと恥ずかしいけど、よい思い出になったかも?

 こっそり、マッピングしてしまった。
 これ、意味があるのかな?
 そんなことをしてしまうぐらい、おいしすぎた。
 もう 一度、食べたいお肉だよ。


 ダンスも、踊った。

 音楽が流れているからもしや?っとは、思っていたけど……

 ドレスじゃなかったからちょっと安心していたら、ライに跪かれて誘われる……

 もう、ツガイかもしれないとわたしが知ったから、お構いなしに誘ってきたみたいだ。

 わたしも開き直っているし、二百歳と 十歳だから、兄と妹みたいな感じでそれがかえって、気楽に踊ることができてよかったのかな?

 ガントやソードとも踊ったけど、ライとは 三回も踊ってしまった……

 これは、いいのかな?
 もう知らない。

 みんなが、笑顔。

 マークたちとはまた違う、優雅で少しだけきらびやかな雰囲気。
 それでいて、しっとり落ち着いている、この感じがいい……

 いつもより遅くまで夕食会は続いたけれど、なんだかすごく幸せで、楽しかった……


  ♢♢♢


 朝の早い時間、裏庭にみんなが集まってくれる。


「パール、ホントに気をつけて行くんだぞ。 セルバ王国がイヤになったら、すぐに帰ってこいよ!」

「そうだぞ、ライの言う通りだ! パール? 別にここにいてもいいんだぞ!」

「そうですよ、パール。 なにもセルバに 数年いる必要はないんですからね。 ブレンダ、よろしくお願いしますよ」

「ああ、まかせておくれ、大丈夫だよ ソード」

「えへへっ ありがとう みんな! これから 数年は会うことがないと思うけど、みんな元気でね! また、いつかどこかで会えるでしょう?」

「「「当たり前だ!!」」

 あははっ!

「パール! ぜったい戻ってこいよ! 四年いや 三年だ! 三年経っても帰って来ないなら、おれが探して迎えに行く!」

「えーっ!? 王太子がそんなに勝手に動きまわったら危ないよ! ピアンタ王国に行ってたのだってナイショでしょ? 大丈夫、探さないでいいよ。 それぐらいで 一度は帰るようにするからねっ?」

「ライ、無茶はダメだぞ! パール、ホントに頼んだぞ」

「パール、頼みますね。 その頃はまだ王様に付いて研修中のはずです。 勝手に動いたらみんなに迷惑がかかってしまいますからね」

「わかったよ……」

「パール…… ホントに行ってしまうんだな……」


「パール、キリがないよ! このへんで行くよっ!」

「わかった。 じゃあ、行くね! みんな元気でまた会いましょう! バイバ~~イ!!」

 ボードで素早く、上に飛んでいく。


 これでもう、みんなからは見えないはず。


「さあ、ブレンダ。 新しい冒険! セルバ王国に、道なりで 向かうよ!」

「ハァッ やっとだよ……  いまから長い旅になりそうだね」

「うん。 でも、この先の長い人生からすると、こんなの短い旅だよ。 これからも、いっぱい 二人で楽しい冒険をしようねっ!」

「ああ。 どこでも安心して、パールの好きなところに行きな。 わたしが全部ついて行くから大丈夫だよ!」


「やったーっ!  ありがとう!!  ブレンダ! それじゃあ 出発っ!!」



 いまから向かう道は、どんな道なのか?

 まだ 十歳なんだからこれからも、いろんな人たちと出会って、別れていくんだろう……

 六歳で見習い冒険者になり、一人で生きていかなければならないと知ったとき……
 わたしの人生はこれからどうなるのか?  
 不安だらけだった。
 でも……
 勇気をだし、一人で冒険を頑張ったから、伝説の国の 迷い人にもなって、優しいみんなを 当たり人にできた……

 ホント冒険者になって良かったよ。

 ライとのことは、まだ恋や愛なんてわからないから、あと 数年は避けていこうと思う。

 ただツガイについては、あの伝説の国ケップラー王国で少し聞いて知っているから、もしホントにわたしがライのツガイなら、そのときには真剣に恋愛やツガイについて考えようと思っている……

 それまでわたしも、自分の人生に後悔しないため、新しい冒険を、いっぱいするぞーっ!

 そして気ままに快適安全な冒険者になって、護衛のブレンダをハッピーライフに巻き込みながら、楽しく愉快に生きて行こうかなっ!


 ホント 迷い人って……


 ステキ! ステキ あー ステキっ!!
 



   ーFinー

         
 
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感想 17

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みんなの感想(17件)

*yachugon*
2023.10.11 *yachugon*

はじめまして!
最近読みはじめて
面白くて、一気読みしてたら
完結しちゃいましたね!😊
まだまだ続くかなと思っていたので
ちょっと寂しいです😢
また、次の作品を楽しみしています!

解除
ao_narou
2023.07.20 ao_narou

更新ありがとうございます! 非常に楽しみにしていたので一気に読ませていただきました。やっとマークたちに会えそうでほっこりしました(笑

解除
桜咲くころ
2023.07.18 桜咲くころ

連載再開まってました。
毎日楽しみです(^^)凄く嬉しい。
有り難うございます。

解除

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