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218. お父さんの知り合い

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 あっという間に 三日が過ぎた。

 毎日 一度は、マークの家に行っている。

 テオが起きているとうれしいけど、なかなか難しい。

 魔牛はあの渡した日、四人で徹夜で捌いたそうだ。

 意外だか、エリオンが上手だったと教えてもらう。


「へぇ~」

「さすが 180歳だね! なんでも経験しているんだよ!」

「ああ、あの顔だけどドワーフの血も入っているから力も強いしおどろいた。 いろいろ勉強になったよ」

「よかったね! トーマスもなんだか、大丈夫?」

「ああ、大丈夫。 一番なにもできないから少しへこんだけど、そうかっ! パールの言う通り、みんなは年上なんだね…… 経験か」

「そうだぞ! わしだってまさかあんなかわいい顔をしていて、ズバズバ 魔牛をわしよりキレイに捌くとは思わなかったよ…… いろいろコツを教えてもらって、かえって勉強になったしな……」

 トーマス、疲れが少し溜まっているのかも?

 もう、みんなに軽くヒールをかけておく。


 キランッ


 やっぱりトーマスがよろこんでいた。

「パール、ありがとう! からだが楽になったよ!」

「ああ、ホントだな……  腰も楽になった……」

「お父さん!? やっぱり無理してる! ありがとうパール! 肩が楽になったわ!」

「おい、シーナ? おまえが無理してないか? やっぱり宿屋を開店するのが早かったんじゃないのか?」

「大丈夫よ!」

 心配だな……

 下級ポーションを疲れたとき用に多めに渡して、ついでに中級と上級ポーションも置いておく。

「パール? こんなにいいの? 自分の分はある?」

「これはね、わたしが作ったポーションだから気にせず飲んで! どうせ 三年しかもたないし……  あっ 瓶はまた使うから取っておいてね!」

 それから、わたしのポーションの印。
 百合を教えると、マークがよろこんでいた。

「ホントだわ?! かわいい百合、パールありがとう。 これはわたしたち用にするから、瓶は大丈夫よ」

「うん、また回収するね!」

「そうだ、パール。 明日のお昼終わり頃、こっちにお昼を食べにこれるか?」

「えっ、 たぶん大丈夫だけど? どうしたの?」

「ああ、今日パールの父親の知り合いが尋ねてきてな、偶然おれのことを聞いたそうなんだ。 もしよかったら、パールに会いたいと言ってきたんで明日ならと言っておいたんだよ……」

「お父さんの知り合い?」

「パール、無理はしないでいいのよ?」

「あってみたい…… 両親の記憶がないから、どんな人だったのか聞いてみたいよ!  明日のお昼ね!」

 なんだか、楽しみができた……


 ライのところに戻ってから、明日はお昼がいらないと伝えておく。

「おい、パール。 なんだかうれしそうだな? なにか明日いいことでもあるのか?」

「ガント、変なときだけするどいね! そうなんだよ。 明日マークのところにわたしの父の知り合いと言う人が来るんだ」

「パール? その人はマークの知り合いですか?」

「違うみたいだよ。 マークが父に会ったのも 一回だけみたいだしね」

「そうですか、では明日はブレンダの代わりにひとり護衛をつけますね」

「えっ、大丈夫だよ?」

「ダメですよ! ブレンダがいないあいだにパールにもしものことがあったらブレンダに叱られてしまいますからね」


  ♢♢♢
 

 えーっ?!

「ちょっと、ソード? なんなの? ソードが護衛なんて…… ライは、どうするの?」

「大丈夫ですよ、ガントがいますからね」

「なんだかすごく大層だと思うのは、わたしだけかな?」

「パール。 パールは大切な たぶん ツガイなんだぞ! 見ず知らずの人と会うんだ安全のためソードをつけるのは当然だろ」

「じゃあ、侍女長はなんで?」

「なにをいってるんだ? 見ず知らずの男だぞ? 付き添いがいるのは当たり前じゃないか?」

「うわっ! なに それ? それからライ、そのたぶんツガイと言うのはちょっと……  どうかと思うよ? それならまだ友達の方がましだね」

「友達か? ガントもそんなこと言っていただろ? 同じなのか?」

「一緒だけど?」

 くぅっ!

「まあ、それはあとで話しましょう。 それよりも遅れてはいけませんからね」

 侍女長もいるので、馬車でドラコまで向かう。

 
 店に入ると、マークが迎えてくれた。


「パール、おかえり! なんだ? すごいことになっているな…… ソードさんはなんとなくわかっていたけど…… 侍女長さんまで……」

「アッハ なんだか、すごいでしょ? 部屋に 三人も入ってきたらきっと相手もおどろくよね……」

「違う、四人だ! おれも入るからな」

「えっ うわっ マークも?」

「はっはっは! パール、あきらめろ! 父親なんてそんなもんだ!」

「パール、なんだかたいへんだな? みんな過保護すぎるだろ?」

「エリオン、珍しく いいこと言うね!」

「エリオンですか? きみは仕事に戻っていてください。 ややこしくなりそうですからね!」

 首をすくめて、厨房へ入っていった。
 エリオンもソードにはかなわないのか?

「パール様、時間が押しております。 どうぞ、お進みください」

「そうだね、侍女長。 じゃあ 行こうか?」


 先にマークが入って、すぐ呼ばれる……

 部屋の中には、キレイな顔をしたエリオンと 一緒? 
 エルフ族の人かな?

 椅子から立って 一瞬目を大きくして、笑顔で迎え入れてくれた。

「初めまして! わたしはドリュースの知り合いで、ナンコウといいます。 きみがドリュースの忘れ形見かい?」

「初めまして! はい。 わたしがドリュース父さんの子どもでパールです」

「じゃあ、みんな座ろうか? パール、お昼を食べながら話そう」

「うん、今日はなにかな?」

「魔牛のステーキにしておいたよ。 特製リンゴの果汁付きだぞ」

「やったーー!」


 しばらくは、なごやかな時間が過ぎていく。

 どうしてここにわたしがいることが分かったのか?
 気になって聞いてみた。

「昔の知り合い、ギルマスが教えてくれたんだよ。 だから、案外はやくに知れたけど、ドリュースが亡くなっているとはな……」

 おいしい魔牛のステーキを食べながら、ナンコウさんの話を聞いていると、侍女長がなんだかソードに耳打ちしている。

 侍女長から動くなんて、よっぽどのことなんだけど……

 食事が終わり、お茶が運ばれてくる。
 一口飲んでおどろいた……

「おいしい! これ、だれが淹れたの?  シーナ?」

「おどろくだろう? エリオンだよ」

 マークが教えてくれる。
 エリオンすごいな……

「ホントにおいしいですね。 久しぶりだな……
質問しても、いいですか?」

「はい、なんでしょうか?」

「あなたのお母様の名前は?」

「あっ! リリー と言います」

「じゃあ、お祖母様の名前を知っていますか?」

 あれ? 
 聞いたことないかも?
 マークを見る。
 マークが少し微笑んで話し出す。

「わたしの母の名前はリブランといいます」

 ガタッと 椅子が動いた……

 あれっ? 

 どうしたのかな?

 まさか、おばあさんまで知っているとか……?


 そんな、まさかねっ?!

 
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