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153. あとは身長?

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 わぁーっ 他の王国の書物まであるよ。

「いっぱい あるね……」

「はい。特にラメール王国の書物は、当代の国王様がお生まれになった頃からの記録で、七百年ぐらい前からの資料をお待ちしました。これらを覚えられましたら名前を告げられただけで、だいたいのことがわかります」

「当代国王様からの…… 王様は七百歳なんだ…… すごいな」

 多いのか、これぐらいと思うべきなのか、図書室丸ごとスキルコピー してきた身としては、なんとも言えない量だけど、わたしよりキレイに並べてくれている侍女たちのほうが大変かも?

 並べ終わったあとは、片付けだしてもらう。
 もう侍女長は当たり前のように指示していた。

 さすがだな……


 ライたちとの夕食にはまた違う服で向かうそうで、着替えることになる。
 お金持ちは、たいへんだ……

 今度はスッキリした、やっぱり女の子らしいデザイン。
 もうこれはドレスじゃないのかな?
 着せ替え人形を思い出すよ。
 んっ、これは『前世の記憶』だな。

( チェリー、着せ替え人形って前世の記憶だよね?)

( はい。これなど、いまのパールの服に似ていますね。あともっと女の子らしいモノもあります )

 頭の中にいろいろな人形が出てきた……
 うわーっ これはすごく豪華で、でもかわいいのもある。
 へーっ かえって、統一感を持たせるとゴテゴテしていても、こんなにかわいいんだ……
 いろいろ勉強にはなるな。

 今度それとなく、アンジュたちに教えてあげよう。
 髪型を整えてもらっているあいだにチェリー にいろいろ教えてもらう。

 やっぱり、わたしが最後に登場となる。
 三人は、席を立ち迎えてくれた。
 よくみると 三人も着替えている。
 夕食を食べるだけなのに……
 
「パール、すごくステキだよ! 髪の色と同じドレスで、水の妖精みたいだ」

「…… ホントですね、ステキです。 パールの魅力がよく引き立っています。 さすが侍女長たちです」

「ああ、かわいくなった。 これならどこかの姫様だといっても通用するんじゃないか?」

「ホントっ?! へっへ。 侍女たちに感謝だね」

「あーっ! 残念、しゃべったらバレるなっ」

「侍女長、こんどは話し方を教えてください。もう少し女の子らしい言葉使いが必要ですね」

 向こうで、侍女長たちが大きくうなずいていた。

 食事はおいしかったけど、なんだか厳しいシーナがそばにいる感じがして、辺境伯家での食事を思い出したよ……

 気を取り直して最後のお茶は、わたしが淹れる。
 せっかくドレス? を着ているのだから、今度こそ優雅にみえるようにね!
 ガントが 一番に。

「まぁ優雅さは、前回よりはマシだな。 お茶は、うまいぞ!」

「そんなことない! パールかわいいよ! お茶もおいしい!」

「…… えぇ、かわいいですけど…… あとは身長ですね。 お茶は、ホントにおいしいですよ」

 もうみんな好き勝手に言ってくれる……
 お茶はおいしく淹れることができたのか?
 やっぱり、本の知識が頭に入っているのが大きいかも。

 身長は~ あと 二、三年で伸びるでしょう。

 侍女たちのストレッチ付きマッサージ。

 期待してるからねっ!


  ♢♢♢

 
 マークたちの宿屋の外観は大きな一軒家のようでいて、実は食堂の部分が別棟のようだった。
 一階からでは繋がっているのでわからなかったけど、二階部分が繋がっていないことがわかり判明する。

 宿屋の 一階部分はすべてマークたちのプライベートスペースになっていて、部屋も 一人ずつ用意されていた。
 でも、トーマスが結婚するまでは、なにかと食堂の方が便利だからと、二人で食堂の 二階。
 空いている部屋で暮らすことにしたそうだ。

 内装もだいたい終わり、あとは看板を付けるだけになっている。

 トムさんとトーマスは結局、シーナが子どもを産んで 一、二ヶ月経って、落ち着いてからお店をオープンすることにしたと話してくれた。
 それまではメニュー 決めと料理の研究に時間を使うそうだ。
 いまは調理器具を貴族のお屋敷並に、いろいろ集めている。

 調理場も宿屋の食堂にしてはすごく広く、調理場の半分は料理の研究で、二人が趣味で使っているみたい。

 みんなお金に困ってないから、好きなことを無理せず好きなだけすることにしたようだ。

 お店を改装するにあたり、マークたちには砂金を少し渡してある。
 もうそれだけでも当分は暮らしていけるんじゃないかな?
 渡しすぎないように気をつけたよ。

「パールのおかげだ。 ありがとうなっ!」

 トムさんが、アイスボックスが手に入って料理のレパートリー が格段に増えたと話してくれた。

「そうだよ、パール。 こんなに大きなアイスボックスは、そんじょそこらのお貴族様だって持ってないよ! まあ、ライさんのところには似たようなのがあったけど、こっちの方が最新版だからね!」

「おっ。 そうだぞ、買ったところだから最新版だな」

 ハッハハ!

 ホントにトムさんとトーマスは料理が好きなんだ……
 なにか足りないモノとか、欲しいモノを聞いておく。

「冒険したら肉を、珍しい肉をたくさん持って帰ってきてくれ」

「そうですっ! 魔牛をお願いします。 あれは、捨てるところ無しって言われていますから、できれば 一匹はそのまま持って帰ってきてください。 一度捌いてみたかったんです」

「おーっ、それはいい考えだ! 時間はまだたっぷりあるからな。 わしにも 一匹そのまま持って帰ってきてくれ!」

「わかった。 二匹そのまま持って帰ってくるよ」

 自分で捌きたいとか……
 ちょっと考えられないな。

「お父さん、大丈夫なの?  魔牛ってすごく大きいんじゃないの? ここで捌けるの?」

「そうだな……  店の横手に倉庫を作って、そこで捌くか……」

「料理長! あと 三週間はありますから、計画を立てましょう!」

「おお、そうだ。 まずは外をみてみるか」

 あれっ? 
 二人で外に飛び出してしまった。

「ふ、ふ、ふっ 落ち着かないでしょ?」

 シーナが笑いながら、あの 二人は毎日あんな調子で楽しんでいると教えてくれる。

 マークとメルの洞窟に潜るのは、シーナのひと声で 二日後からになった。

 シーナも欲しい物リストを作るそうだ。
 マークが苦笑いしていた。

 でも、そうだよね! 
 おいしいお肉、食べたいよっ!
 持って帰ってきたら、トムさんにお願いして、わたしの大好きな濃厚シチュー を、久しぶりに作ってもらおう!

 今日と明日はマークがいろいろ忙しいみたいなので、冒険当日まで別行動することになった。
 二日後の朝 五時に迎えにきてくれるそうだ。
 軽く打ち合わせしてライの家に戻ることにする。

 やっぱり、ボードで帰るように勧められた。

 マークたちの宿屋にも、いつの間にかボードの乗り降り専用の囲いが家の端に作ってあるから、他の人たちに見られる心配がなくなって安心だ。


 ライの家まで、ひとっ飛び!

 いまから 二日間、なにして過ごそうかな~ぁ。

 

 



 
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