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143. ピアンタで入れ違い
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店に入ると親方とケルスさんにおどろかれた。
「こんにちは! 親方、ケルスさん、元気にしてた? 久しぶりですねー!!」
「パール!! おまえ、遅い! もう少しはやく戻ってきたら間に合ったんだぞ……」
間に合った?
「パールさん、赤茶色の髪色をしたマークさんという人を知っていますか?」
「赤茶色……えっ、マーク? わたしの伯父さんだけど……」
「その人たちが 一週間いや、六日前だったかな? パールさんのことを尋ねにここへ、すごい血相でやってきたんですよ」
うわーっ! これは、やばい!
ぜったい怒られるな……
「やっぱり、パールがいっていた伯父さんなんだな。よかった…… そうだと思ってパールのことを話したが、心配でな……」
「迷惑かけてごめんね、ぜったいマークだよ!」
「すごく心配して泣いていたから、安心できるヤツを付けてラメール王国に送り出したといっておいた……」
「さっきアストに着いて宿屋から『薬師メリッサ』を紹介されて、そこからここを聞いたといってましたよ」
うわーっ メリッサお姉さんにも迷惑かけたな……
「詳しく聞きたがっていたが、迷い人のことはうかつに言えんだろ? 知らないと突っぱねることしかできないからな…… すぐラメール王国に、ガントリー に会いに行くといっていたぞ」
「あーっ! ぜったいに怒られるな……」
「あれだけ心配させたんだ、怒られておけ!」
ケルスさんまで、うなずいている。
くーっ! つらい……
親方に頼んでいたモノがだいぶできているようで、バンブのお皿やコップ。
食器セットにあの水筒も、また出来上がていた。
前よりもすごいかも……
キレイ……
カニハの木の皮を付けた水筒とコップには、一ヶ所だけ木の皮に五枚の花びらの模様が入っていた。
カニハの花だそうだ……
持ったときに本人だけが見えるように工夫してある。
「なんだかわたしだけがわかる、隠れた満足感があっていいね!」
「そうだろうよっ! はっはっは!!」
ベッドもまずは 二つできているようで、奥の部屋に並べて置いてあった。
シンプルな型のようで実は木の部分に、花や葉の模様が掘ってあってすごくオシャレだ!
「親方ステキだね! こんなに短時間で、二台も……
大変だったでしょ?」
「大丈夫だぞ、やりがいがあって金も入る! それに、マットを注文してくれただろ、オレの知り合いの店に頼んだから、品質は保証付きだ。 店の者もよろこんでおったぞ。 良いもんが、思いっきり作れるからなっ! あと二台は、もう少し時間をくれ」
「ぜんぜん急いでないから、ゆっくりでいいよ!」
どうも、次の 二台はこれより少し豪華な、おとな向けのベッドになるらしい。
お金が足りているか聞くと大丈夫だというから、リンゴのジャムにベリーのジャムそれにヤハッシのハチミツとブドウの果実を煮詰めた糖蜜にあのワイン。
そこにキノコの女王タマゴ大の 金 を籐のカゴにひっそり、全部詰めたお土産セットをひとつ渡しておいた。
ケルスさんが、ヤハッシのハチミツを見つけてよろこんでいた。
さすがだな、知っているんだ。
それからは、メルの洞窟の検問所近くに伯父さんたちがこれから営む宿屋と自分のちょっと隠れた家を買ったことを伝えて、冒険でたぶん留守がちだけどラメール王国にきたら遊びに来てねといっておいた。
親方は、おまえがこっちに遊びにこいと笑っていた。
ケルスさんが、メリッサお姉さんも心配していたと教えてくれたので、一度寄ってみると伝えて認識されにくくなる帽子を取り出す。
「またこいよ! あと 一ヵ月ぐらいでベッドもできているからな!」
「うん、またくるよ! なにかラメールで欲しいものがあったら教えてね!」
「ああ、わかった。 ありがとうよ! これだけ土産をもらったんだもう 十分だ」
親方に 一ヶ月後ぐらいしたら寄ると告げて、メリッサお姉さんの店に帽子を被って向かう。
キラン キラン
懐かしい音色にハーブと薬草の香り……
この音色もなんだか懐かしい。
室内のハーブと薬草の香りも、これがメリッサお姉さんのお店なんだとしみじみ思ってしまった……
帽子をぬぐと同時に、メリッサお姉さんが奥からやってきた。
「いらしゃい……パール!? あなたどうして!」
すぐに前のときのように店を閉めてカギをし、窓にも布を掛け、椅子に座るよう勧められる。
奥からハーブティー を持ってきて出してくれた。
「あ~っ おいしい! この味だよ……」
「ふ、ふ、ふっ、よかったわ。 疲れがとれるし、落ち着くでしょ」
一口 飲むと、さぁ、話してと目を キラキラ させて今までのことを尋ねられる。
これは、いろいろ聞かれるな……
長くなりそうだ……
ハーブティー を、もう 一口。
口に含んで、喉をうるおす。
今までのことを順番に話しだすと……
なんだかここは、ほっこりするなぁ……
親方たちの知り合いでガントという人に、ラメール王国まで連れて行ってもらったこと。
モナルダのところで、錬金薬師を目指すため、メリッサお姉さんの住んでいた部屋を借りて住んでいること。
メルの洞窟の検問所近くに伯父さんたちが営む、宿屋と自分が住むちょっと隠れた家を、ライから買ったことを話して聞かせた。
メリッサお姉さんは、まず変わったところに興味を持った。
モナルダたちを呼び捨てで呼んでいることにふれ、自分も同じように呼んで欲しいという。
メリッサお姉さんもわたしに、呼び捨てで呼ばれたいというので、もういいかと承諾した。
あとはやっぱり、マークたちのこと。
マークたちがここに、慌ててきたそうだ。
わたしが無事で元気なことと、ラメール王国に出発するために、細工師の親方の店にいったと伝えたらしい。
シーナも 一緒にきたようだけど、妊娠していたと教えてくれる。
安定期に入ったから、少し早めに王都アストにきたそうだ。
もう少ししたら、また馬車がつらくなるからと話していたと教えてくれる。
「マーク、初めての子どもでうれしいだろうな……」
「すぐに、ラメールへ向かうと言っていたわよ」
メリッサにはお礼を伝えて、親方と同じ お土産セットと、モナルダから預かっていた荷物を渡しメリッサからもモナルダに渡す荷物を預かる。
それからこの前コウジュのお兄さん、エントさんに使った 上級ポーションを 一本補充しておく。
しばらくしたら、たぶん 一ヶ月後ぐらいでまたピアンタにくるからと伝え、そのときはお店に寄ると約束して『薬師メリッサ』を出てきた。
マークたちと入れ違いになったんだな……
さぁ、急いで帰らなきゃ!
「こんにちは! 親方、ケルスさん、元気にしてた? 久しぶりですねー!!」
「パール!! おまえ、遅い! もう少しはやく戻ってきたら間に合ったんだぞ……」
間に合った?
「パールさん、赤茶色の髪色をしたマークさんという人を知っていますか?」
「赤茶色……えっ、マーク? わたしの伯父さんだけど……」
「その人たちが 一週間いや、六日前だったかな? パールさんのことを尋ねにここへ、すごい血相でやってきたんですよ」
うわーっ! これは、やばい!
ぜったい怒られるな……
「やっぱり、パールがいっていた伯父さんなんだな。よかった…… そうだと思ってパールのことを話したが、心配でな……」
「迷惑かけてごめんね、ぜったいマークだよ!」
「すごく心配して泣いていたから、安心できるヤツを付けてラメール王国に送り出したといっておいた……」
「さっきアストに着いて宿屋から『薬師メリッサ』を紹介されて、そこからここを聞いたといってましたよ」
うわーっ メリッサお姉さんにも迷惑かけたな……
「詳しく聞きたがっていたが、迷い人のことはうかつに言えんだろ? 知らないと突っぱねることしかできないからな…… すぐラメール王国に、ガントリー に会いに行くといっていたぞ」
「あーっ! ぜったいに怒られるな……」
「あれだけ心配させたんだ、怒られておけ!」
ケルスさんまで、うなずいている。
くーっ! つらい……
親方に頼んでいたモノがだいぶできているようで、バンブのお皿やコップ。
食器セットにあの水筒も、また出来上がていた。
前よりもすごいかも……
キレイ……
カニハの木の皮を付けた水筒とコップには、一ヶ所だけ木の皮に五枚の花びらの模様が入っていた。
カニハの花だそうだ……
持ったときに本人だけが見えるように工夫してある。
「なんだかわたしだけがわかる、隠れた満足感があっていいね!」
「そうだろうよっ! はっはっは!!」
ベッドもまずは 二つできているようで、奥の部屋に並べて置いてあった。
シンプルな型のようで実は木の部分に、花や葉の模様が掘ってあってすごくオシャレだ!
「親方ステキだね! こんなに短時間で、二台も……
大変だったでしょ?」
「大丈夫だぞ、やりがいがあって金も入る! それに、マットを注文してくれただろ、オレの知り合いの店に頼んだから、品質は保証付きだ。 店の者もよろこんでおったぞ。 良いもんが、思いっきり作れるからなっ! あと二台は、もう少し時間をくれ」
「ぜんぜん急いでないから、ゆっくりでいいよ!」
どうも、次の 二台はこれより少し豪華な、おとな向けのベッドになるらしい。
お金が足りているか聞くと大丈夫だというから、リンゴのジャムにベリーのジャムそれにヤハッシのハチミツとブドウの果実を煮詰めた糖蜜にあのワイン。
そこにキノコの女王タマゴ大の 金 を籐のカゴにひっそり、全部詰めたお土産セットをひとつ渡しておいた。
ケルスさんが、ヤハッシのハチミツを見つけてよろこんでいた。
さすがだな、知っているんだ。
それからは、メルの洞窟の検問所近くに伯父さんたちがこれから営む宿屋と自分のちょっと隠れた家を買ったことを伝えて、冒険でたぶん留守がちだけどラメール王国にきたら遊びに来てねといっておいた。
親方は、おまえがこっちに遊びにこいと笑っていた。
ケルスさんが、メリッサお姉さんも心配していたと教えてくれたので、一度寄ってみると伝えて認識されにくくなる帽子を取り出す。
「またこいよ! あと 一ヵ月ぐらいでベッドもできているからな!」
「うん、またくるよ! なにかラメールで欲しいものがあったら教えてね!」
「ああ、わかった。 ありがとうよ! これだけ土産をもらったんだもう 十分だ」
親方に 一ヶ月後ぐらいしたら寄ると告げて、メリッサお姉さんの店に帽子を被って向かう。
キラン キラン
懐かしい音色にハーブと薬草の香り……
この音色もなんだか懐かしい。
室内のハーブと薬草の香りも、これがメリッサお姉さんのお店なんだとしみじみ思ってしまった……
帽子をぬぐと同時に、メリッサお姉さんが奥からやってきた。
「いらしゃい……パール!? あなたどうして!」
すぐに前のときのように店を閉めてカギをし、窓にも布を掛け、椅子に座るよう勧められる。
奥からハーブティー を持ってきて出してくれた。
「あ~っ おいしい! この味だよ……」
「ふ、ふ、ふっ、よかったわ。 疲れがとれるし、落ち着くでしょ」
一口 飲むと、さぁ、話してと目を キラキラ させて今までのことを尋ねられる。
これは、いろいろ聞かれるな……
長くなりそうだ……
ハーブティー を、もう 一口。
口に含んで、喉をうるおす。
今までのことを順番に話しだすと……
なんだかここは、ほっこりするなぁ……
親方たちの知り合いでガントという人に、ラメール王国まで連れて行ってもらったこと。
モナルダのところで、錬金薬師を目指すため、メリッサお姉さんの住んでいた部屋を借りて住んでいること。
メルの洞窟の検問所近くに伯父さんたちが営む、宿屋と自分が住むちょっと隠れた家を、ライから買ったことを話して聞かせた。
メリッサお姉さんは、まず変わったところに興味を持った。
モナルダたちを呼び捨てで呼んでいることにふれ、自分も同じように呼んで欲しいという。
メリッサお姉さんもわたしに、呼び捨てで呼ばれたいというので、もういいかと承諾した。
あとはやっぱり、マークたちのこと。
マークたちがここに、慌ててきたそうだ。
わたしが無事で元気なことと、ラメール王国に出発するために、細工師の親方の店にいったと伝えたらしい。
シーナも 一緒にきたようだけど、妊娠していたと教えてくれる。
安定期に入ったから、少し早めに王都アストにきたそうだ。
もう少ししたら、また馬車がつらくなるからと話していたと教えてくれる。
「マーク、初めての子どもでうれしいだろうな……」
「すぐに、ラメールへ向かうと言っていたわよ」
メリッサにはお礼を伝えて、親方と同じ お土産セットと、モナルダから預かっていた荷物を渡しメリッサからもモナルダに渡す荷物を預かる。
それからこの前コウジュのお兄さん、エントさんに使った 上級ポーションを 一本補充しておく。
しばらくしたら、たぶん 一ヶ月後ぐらいでまたピアンタにくるからと伝え、そのときはお店に寄ると約束して『薬師メリッサ』を出てきた。
マークたちと入れ違いになったんだな……
さぁ、急いで帰らなきゃ!
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