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139. わたし付きの侍女

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 夕食までの時間は、お風呂に入ってゆっくりしてくださいとソードに提案されたので、侍女さん 三人と部屋へいく。

 部屋には、リンゴのケースが 三箱 ドンっと 置いてあったので、アジュガたちに作ってもらった革の持ち手の長いカバンから魔法袋をだした振りをして全部時間停止の魔法袋にしまう。
 ついでに下着を洗う洗濯魔法袋も手持ちのカバンの中に入れておく。
 
 代表でもう一度、侍女長さんがあいさつしてくれた。

「これからしばらくお世話させていただきます侍女長をしておりますメイズでございます。後ろの二人はプラムとシルエラです。 なにかございましたら、気軽におっしゃってください。 ここで見聞きしたことは、ライ様たちにも話しません。 安心しておくつろぎください」

「そうなの? ライたちにもナイショにしてくれるの?」

「はい。 わたくしたちはライ様に、パール様付きを命じられました。 その時点でわたくしたちの主人はパール様です。 私生活では、特に女性は男性に秘密が多いのが当たり前。 すべてを殿方にさらけ出す女性はおりません。 安心して、おくつろぎください」

「わーぁ、それはありがたいな……   わたしは迷い人になって、人と違ったモノを持っていることが多いいから……」

「どうぞ、おっしゃってくだされば、覚えさせていただきます」

「ありがとう!」

 もう、これは相談できる人ができたとよろこぼう!

 お風呂の用意ができるまでとお茶を入れてもらい、飲みながら頭の中で、チェリー と会話する。

(チェリー ! ベッドなんかも、いつものにかえてもいいかな?)

(はい、はじめはこちらのモノで頑張ってください。なんでも経験ですよ。 下着だけは、洗わないといけないので洗濯魔法袋の使い方を教えましょう)

 やっぱり、そうか……
 寝間着も、数日ぐらい普通のでいいか……

 侍女長にお風呂の用意ができたと声をかけられて、洗濯魔法袋のことを話す。
 わたしの下着は、ここに入れてもらったら洗われて又すぐに 一分ぐらいで使えると話すとおどろかれたけど、それは便利ですねとすぐに対処してくれた。

 アラクネのパンツと胸パットを三人が、大絶賛していた。
 裸になるのは、だんだんと恥ずかしい歳頃になってきてるけど、まだ 九歳や 十歳だからお姉さんたちの前でも サッと 脱いでお風呂に入る。

 二人がからだを洗ってくれる……
 ここは、天国か? プロの人に洗ってもらうのは、こんなに自分で洗うのとは違うんだ……
 寝てしまいそうになる……
 洗ってもらったあとは、からだにオイルを塗ってもらう。
 まだ 九歳だから、マッサージというか、ストレッチのような感じになると侍女長が教えてくれた。
 はやく、本格的なお手入れをさせてもらいたいと、年齢待ちの状態だった。

 プラムとシルエラの 二人は、わたしの下着に興味があるのか、下着の素材におどろいていた。
 生地からアラクネだしね。

「これは、外から見たらペッタンコにみえる防犯機能付きで、育成タイプ。 イヤがると脱げないんだよ」

「「防犯機能付きーーっ! 育成タイプ?!」」

 二人が叫んでいた。

 気持ちは、わかる……     うん、そうだね。

 ビックリするよね……
 おどろいている 二人を横目に侍女長は、たんたんと服?を着せてくれる。

 ちょっと おもしろい。

 ドレスぽい服を着せられた。
 ライが用意してくれていたみたいだ。
 ついでに採寸もされて、これからも服が増えていきそうだな……

 靴も出してもらったけど、いま履いている靴が良すぎてどうしようか迷う。

 侍女長にすぐ見抜かれて、訳を話すとせっかく服とセットになっているので、あまり歩かない家の中だけ履いて外には、わたしが持っている靴にしましょうといってくれる。

「パール様に靴は、それほど作らないほうがいいようですね」

「できれば、自分の靴がラクなのでそれでお願いします」

「わかりました。 ルームシューズだけ作ることにしましょう」

 それでもやっぱり、作るのか!?

 髪を軽くセットしてもらう。
 鏡に映る自分は、ドレスぽい服を着てどこかの貴族様みたい。
 キラキラしている。
 髪の毛と目が、だけど……

「おキレイですよ! きっとパール様をごらんになったら、ライ様たちおどろかれますね!」
 
「そうかなぁ~?」

「「「はい、ぜったいです!!」」」

 満足な仕上がりなようで、三人とも満面の笑顔だよ……

 侍女たちに案内されて、食堂へいく。
 もう 三人は揃っていたみたい。

 マナー なのか、わたしが部屋に入ると席を 三人が立って迎えてくれる。

「パール、化けたな!」

 ガントの言葉に、ソードもライもうなずいている。

「侍女たちが、頑張ってくれたんですよ」

 笑いながら席に座って、和やかに食事が始まった。

 ライが、不便はないか聞いてくれる。

「最高のおもてなしだよっ」

 そう伝えると、みんな笑っていた。

 ソードに、これからのわたしの予定を聞かれたので。

 遅くても、四日後には 一度伯父さんたちを迎えに ピアンタ王国に戻ると伝える。

 冒険者で、錬金薬師にもなると目標ができたから、ここの買った家と教えてもらうモナルダというお師匠さんたちの家を行ったり来たりすると伝えた。

「モナルダとは、ドワーフ族の 三兄弟 長男グレコマの妻であるモナルダ薬師のことですか?」

「あれ? そうだよ。 ソードはモナルダのことを知っているの?」

「モナルダ薬師は、有名ですからね。 それにグレコマは、わたしやガントの父親と仲がいいですからよく知っていますよ」

「そうか、パールはモナルダ薬師と知り合いなのか……  」

 ライが、なにか考えているようだった。

「パール。おまえ、錬金薬師になるってなんだよ?  冒険者だけでは、ダメなのか?」

 ガントが、尋ねてくる。

「わたしは長生きだから、自分で薬草を採ってきて、それを調合して、自分で作ったビンに詰める。 自己完結型の冒険者で薬師になろうと思って……」

「それは、いいことですね。 モナルダ薬師なら間違ったことは教えないでしょうし、グレコマもすばらしい錬金術師ですから。 それにしても、よくお弟子になれましたね? あの二人は、だれが来ても断っていたんですよ」

 そうなんだ……

「それでは明日、侍女を連れて家を見にいき、必要な モノをリストにして、商会にはその次の日にきてもらいましょう。 あとは、侍女と相談しておいてもらえればこちらで、パールが留守のあいだに整えておきますよ」

「えっ、いいんですか?  ちょっとそれは、ずうずうしくないですか?」

「パール、気にするな。 そのかわり、ラメールに帰ってきたら、新しい家にはまだ行かずに、すぐここにこいよ」

「わかったよ。 マークたちを連れて 、一度ここにくるよ」

「ああ、そうしてくれ……」

 ライと約束をして、今日はもう部屋で休むことにした。


 明日から部屋の模様替えか……

 なんだか 楽しそうだな!

 
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