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38. 冒険者の装備
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これから本格的に、冒険者をするための 持ち物を 揃えていくことになった。
質の良いものは王都のほうが多い、でも 質を気にしすぎて 王都に着いてから 全部 一人で揃えるよりは、冒険者の経験がある 自分(マーク) と一緒に揃えたほうが、安全だと マークがアドバイスしてくれた。
まずは カバンだが、これは流行りのデザインを気にしなければ このリエール領でも 質の良いものが揃えられる。
一年もあれば、注文して 作ってもらえるので いくつか 頼むことになるだろう。
毛布も 揃える。
これも 数枚注文して、少し小さめにしてもらう。
可能な限り 荷物を小さく まとめるためだ。
体が小さい分 カバンも少し小さめになるから できるだけ、荷物は選別しないと いけない。
安全に 生き延びるための準備を 万全にして、 冒険をする。
なので他の人よりは、どうしても 荷物が多くなってしまう。
大切な物と 今なくても大丈夫な物を 選んでいく。
マークは的確に選んでくれる。
お嬢様からいただいた、あの もんだいの 扇子を売って、大金が手に入ったから お金は気にするなというし。
マークには、どんなお礼をすれば よいのか……
♢
今日は、わたしに合う剣を マークと 一緒に、選びに行くことになった。
店に入ってすぐ、わたしに合いそうな剣が でてきた。
小ぶりな、剣だ。
腰に装着するための、ベルトもある。
薬草採取用のナイフも 一緒に装備できる 優れものだ。
ついでに、ナイフも だしてもらう。
なんというか…… わたしに ピッタリだ。
「よくこんな、小さなセットが ありましたね? 」
ちょっと、気になって聞いてみる。
「そりゃ、お前さんは 有名だからね。 それにマークからも 六歳の女の子が使う 丈夫な剣を 準備しておくように、ずっと前から 頼まれていたから 当たり前さ」
そうだったのか……
「マーク ありがとう」
マークは優しく、そして懐かしそうに 店のおやじさんを見て 笑った。
「おれは なにもしてないよ、ここのおやじが 親切なのさ」
マークと店のおやじさんが、にっと わたしを見て 微笑んだ。
二人のおかげで、あっという間に 装備が整った。
この剣とナイフの装備は、これからしばらく装着して 体に慣らすことになる。
さすがに、お屋敷の中には外していくが、湖へ行くときや 馬小屋のまわりにいるときには、装着して違和感や 具合が悪いところはないか、マークと 一緒にチェックする。
この剣の装着には、マークがまた 辺境伯様の書斎まで、お許しをいただきに いってくれた。
そのとき 先日お渡しした、しおりのお礼と 何枚か追加で しおりの注文を受けてきたようで わたしに謝っていた。
しおりは奥様の分と、辺境伯家の家名で 五枚。
あと、畏れ多いことだが、王家の名で 三枚 注文を受けた。
しおり作りは ちょっと面倒だけど、一番大変なのはマークだから…… わたしは、なにも言うことはない。
わたしの冒険者準備の仕度金もかねて 辺境伯様からお金をたっぷり いただいてきたというし、これからのことも考えて、しおりを頑張って 作ろうと伝えた。
マークは ホッと した顔をしている。
マークのせいじゃないのに……
まぁ、いろいろあったけど、金銭面は気にしないで 準備ができそうだ。
マークは自分の給金もだして、完ぺきに用意するつもりでいる。
申し訳ないと思うけど、これから生き延びるためだといわれると、やっぱり 何もいえなくなる。
もう、割りきって全部 甘えることにした。
だから辺境伯様から、いただくお金は全部マークにおまかせして 使ってもらい 、マークの負担を少しでも減らしてもらいたい…… うまくいくかな?
できれば マークの給金は残して、マークのこれからに備えてほしいのに……
♢
次の日、カイルさんが貨車を引いてやってきた。
「辺境伯様にいわれて、持ってきたぞ! 」
あいかわらず 仕事がはやいな。
マークと貨車の中を覗くと、立派な丸太の部分や 根っこの部分、他にもいろいろと 思いのほか大量に運ばれてきた。
「カイルさん、辺境伯様から頼まれたのは しおりで 十枚も なかったはずだぞ? こんなに香木を運んできて、どうするつもりだ? 」
マークが呆れて聞く。
「いや、なにね 。 辺境伯様が王家の分と この辺境伯家の分は 最高級の部分を使って、作ってもらうように おっしゃたからね、いろいろな場所の部分を 持ってきたのさ」
王家だぞっと 鼻息が荒い。
「残った香木は、パールの好きにしても いいそうだが、必ず 完成させたものは、辺境伯様の分も 一つ 作って渡すようにと、いいつかったよ」
「えー 、それって サンプル集め だよね」
マークが 苦笑いしながら。
「まぁ、そういわずに。 あの しおりは、本当に評判がいいんだよ」
「 …… わかった」
香木がいっぱい手に入ったし、これで みんなのプレゼントを作って 渡すのもいいかも。
もしかしたら辺境伯様も わたしが ルート様たちに渡したように お屋敷のみんなにも、なにかプレゼントをすると思って 香木をくれたのかも しれないし。
良いほうに考えよう!
気を取り直して、みんなのプレゼントを考えだした。
「おい、パール。まずは、しおりを作るんだぞ! 」
わたしの考えていることが顔にでていたのか、マークに釘をさされて ギクっと する。
カイルさんは、そんなやりとりをしている わたしたちを あたたかい目で見ていた。
そして、ぼそっと 。
「 ……おまえたち、ホントの親子みたいだな」
「な、なにを…… あたりまえだ! オムツだって、すべておれが 替えていたんだ。 正真正銘、おれの娘さ! 」
マークがなんだか、うれしそうに 胸を張って 答えている。
わたしは、ちょっと てれて、お決まりの……
「マーク! オムツの話しなんて、するかな~ 信じられなーい!」
カイルさんとマークが、顔を見合わせ 吹きだした。
わたしも、二人を見て 笑いだす。
そして 顔をそむけ 下を向き……
また ……
ほほえんだ 。
質の良いものは王都のほうが多い、でも 質を気にしすぎて 王都に着いてから 全部 一人で揃えるよりは、冒険者の経験がある 自分(マーク) と一緒に揃えたほうが、安全だと マークがアドバイスしてくれた。
まずは カバンだが、これは流行りのデザインを気にしなければ このリエール領でも 質の良いものが揃えられる。
一年もあれば、注文して 作ってもらえるので いくつか 頼むことになるだろう。
毛布も 揃える。
これも 数枚注文して、少し小さめにしてもらう。
可能な限り 荷物を小さく まとめるためだ。
体が小さい分 カバンも少し小さめになるから できるだけ、荷物は選別しないと いけない。
安全に 生き延びるための準備を 万全にして、 冒険をする。
なので他の人よりは、どうしても 荷物が多くなってしまう。
大切な物と 今なくても大丈夫な物を 選んでいく。
マークは的確に選んでくれる。
お嬢様からいただいた、あの もんだいの 扇子を売って、大金が手に入ったから お金は気にするなというし。
マークには、どんなお礼をすれば よいのか……
♢
今日は、わたしに合う剣を マークと 一緒に、選びに行くことになった。
店に入ってすぐ、わたしに合いそうな剣が でてきた。
小ぶりな、剣だ。
腰に装着するための、ベルトもある。
薬草採取用のナイフも 一緒に装備できる 優れものだ。
ついでに、ナイフも だしてもらう。
なんというか…… わたしに ピッタリだ。
「よくこんな、小さなセットが ありましたね? 」
ちょっと、気になって聞いてみる。
「そりゃ、お前さんは 有名だからね。 それにマークからも 六歳の女の子が使う 丈夫な剣を 準備しておくように、ずっと前から 頼まれていたから 当たり前さ」
そうだったのか……
「マーク ありがとう」
マークは優しく、そして懐かしそうに 店のおやじさんを見て 笑った。
「おれは なにもしてないよ、ここのおやじが 親切なのさ」
マークと店のおやじさんが、にっと わたしを見て 微笑んだ。
二人のおかげで、あっという間に 装備が整った。
この剣とナイフの装備は、これからしばらく装着して 体に慣らすことになる。
さすがに、お屋敷の中には外していくが、湖へ行くときや 馬小屋のまわりにいるときには、装着して違和感や 具合が悪いところはないか、マークと 一緒にチェックする。
この剣の装着には、マークがまた 辺境伯様の書斎まで、お許しをいただきに いってくれた。
そのとき 先日お渡しした、しおりのお礼と 何枚か追加で しおりの注文を受けてきたようで わたしに謝っていた。
しおりは奥様の分と、辺境伯家の家名で 五枚。
あと、畏れ多いことだが、王家の名で 三枚 注文を受けた。
しおり作りは ちょっと面倒だけど、一番大変なのはマークだから…… わたしは、なにも言うことはない。
わたしの冒険者準備の仕度金もかねて 辺境伯様からお金をたっぷり いただいてきたというし、これからのことも考えて、しおりを頑張って 作ろうと伝えた。
マークは ホッと した顔をしている。
マークのせいじゃないのに……
まぁ、いろいろあったけど、金銭面は気にしないで 準備ができそうだ。
マークは自分の給金もだして、完ぺきに用意するつもりでいる。
申し訳ないと思うけど、これから生き延びるためだといわれると、やっぱり 何もいえなくなる。
もう、割りきって全部 甘えることにした。
だから辺境伯様から、いただくお金は全部マークにおまかせして 使ってもらい 、マークの負担を少しでも減らしてもらいたい…… うまくいくかな?
できれば マークの給金は残して、マークのこれからに備えてほしいのに……
♢
次の日、カイルさんが貨車を引いてやってきた。
「辺境伯様にいわれて、持ってきたぞ! 」
あいかわらず 仕事がはやいな。
マークと貨車の中を覗くと、立派な丸太の部分や 根っこの部分、他にもいろいろと 思いのほか大量に運ばれてきた。
「カイルさん、辺境伯様から頼まれたのは しおりで 十枚も なかったはずだぞ? こんなに香木を運んできて、どうするつもりだ? 」
マークが呆れて聞く。
「いや、なにね 。 辺境伯様が王家の分と この辺境伯家の分は 最高級の部分を使って、作ってもらうように おっしゃたからね、いろいろな場所の部分を 持ってきたのさ」
王家だぞっと 鼻息が荒い。
「残った香木は、パールの好きにしても いいそうだが、必ず 完成させたものは、辺境伯様の分も 一つ 作って渡すようにと、いいつかったよ」
「えー 、それって サンプル集め だよね」
マークが 苦笑いしながら。
「まぁ、そういわずに。 あの しおりは、本当に評判がいいんだよ」
「 …… わかった」
香木がいっぱい手に入ったし、これで みんなのプレゼントを作って 渡すのもいいかも。
もしかしたら辺境伯様も わたしが ルート様たちに渡したように お屋敷のみんなにも、なにかプレゼントをすると思って 香木をくれたのかも しれないし。
良いほうに考えよう!
気を取り直して、みんなのプレゼントを考えだした。
「おい、パール。まずは、しおりを作るんだぞ! 」
わたしの考えていることが顔にでていたのか、マークに釘をさされて ギクっと する。
カイルさんは、そんなやりとりをしている わたしたちを あたたかい目で見ていた。
そして、ぼそっと 。
「 ……おまえたち、ホントの親子みたいだな」
「な、なにを…… あたりまえだ! オムツだって、すべておれが 替えていたんだ。 正真正銘、おれの娘さ! 」
マークがなんだか、うれしそうに 胸を張って 答えている。
わたしは、ちょっと てれて、お決まりの……
「マーク! オムツの話しなんて、するかな~ 信じられなーい!」
カイルさんとマークが、顔を見合わせ 吹きだした。
わたしも、二人を見て 笑いだす。
そして 顔をそむけ 下を向き……
また ……
ほほえんだ 。
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