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23話 海戦の決着
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護衛艦いせ CIC
「敵艦隊、撤退を始めました!」
「や、やった!」
「これで一息つけそうですね………」
「はあー、緊張した~」
その報告に、室内全体の雰囲気が緩くなる。
敵が撤退し始めたという事実が、自分たちの勝利が揺るぎないものとなった証左に他ならないからである。
だがしかし、それでも群司令の竹沢は眉一つも動かさなずに周囲へと喝を入れる。
「お前たち、気を緩めてはならん、このまま追撃戦に移るぞ!良いか!奴らを逃せばまた我が国を攻めてくるかもしれん、今のうちにできる限りの数を叩き潰し、少しでも我が国の危険を取り除くのだ!」
そんな竹沢によって、緩みかけていた雰囲気が一気に引き締まる。
「「「「了解!!!」」」」
それを見てうむ、と頷くと今度は通信装置で他艦への通信を始めた。
「全艦隊に告ぐ!これより我々は追撃戦に入る!敵艦の10km以内には近づかずに、落ち着いてアウトレンジから砲撃で撃破をするのだ、良いな?」
『『『了解!!!』』』
「本艦は、これまでと変わらず艦隊の後方で待機をする!敵艦隊の空母らしき艦は撃沈したが、まだまだ航空戦力を保有している可能性も0とは言えない!各員気を抜かずに警戒せよ!」
こうして、第二護衛艦隊群は戦闘が一段落しても全く油断せずに粛々と自らの仕事に取り組んでいったのである。
--------------------------------------
護衛艦による砲撃で、帝国の戦列艦はみるみる数を減らしていく。
帝国側は自分たちの射程外からの砲撃に逃げることしか出来ず、また逃げても護衛艦の方が圧倒的に速度が速いために逃げ切ることは不可能であった。
ドーーーン!
護衛艦の砲撃音が、こだまする。そしてその度に帝国の戦列艦が轟沈をしていく。
「この艦ももうダメだあ!」
「ひいいいいい!なんで俺がこんな目に!?」
「あ、あひい………」
それに対して帝国兵は恐怖し、逃げまどい、絶望する。戦闘開始前の自信は何処へやら、といったところだ。
結局、尖閣沖海戦と後に呼ばれたこの海戦は帝国海軍が640隻の大艦隊を全て失ったのに対して日本は無傷であり、日本の完全勝利に終わったのである。
………そんな海戦を遠くの空から一人の少女が、スポーツ観戦のようなノリで観察していた。
「あれは、とても面白そうだな!ドンドンって音が聞いていて楽しいぞ!………ワタシもやりたいなあ………」
目を輝かせながらそう独り言ちる少女。何とかして自分も加わりたい、そう思った彼女はうんうんと頭を悩ませる。………しばらく経つと、少女は解決策を思いつく。(いや、思いついてしまったと言うべきだろうか)
「そうだ!良いこと思いついたぞ!」
嬉しそうに無邪気な笑顔でそう言うと、誰もいない空へ向かって自分の案を叫ぶ。
「あのでっかい艦の持ち主たちと仲良くなって、ワタシも遊びたいって言えば良いんだ!そうすれば、ワタシもあのドンドンって音の遊びが出来るに違いない!やっぱりワタシは天才だな!」
その持ち主である日本側が聞けば何だそれはとでも言いたくなるようなとんちんかんな案は、彼女にとっては余程の名案であったらしい。しきりに頷き、満足した後で少女はどこかへと飛び去って行ったのだった。
「敵艦隊、撤退を始めました!」
「や、やった!」
「これで一息つけそうですね………」
「はあー、緊張した~」
その報告に、室内全体の雰囲気が緩くなる。
敵が撤退し始めたという事実が、自分たちの勝利が揺るぎないものとなった証左に他ならないからである。
だがしかし、それでも群司令の竹沢は眉一つも動かさなずに周囲へと喝を入れる。
「お前たち、気を緩めてはならん、このまま追撃戦に移るぞ!良いか!奴らを逃せばまた我が国を攻めてくるかもしれん、今のうちにできる限りの数を叩き潰し、少しでも我が国の危険を取り除くのだ!」
そんな竹沢によって、緩みかけていた雰囲気が一気に引き締まる。
「「「「了解!!!」」」」
それを見てうむ、と頷くと今度は通信装置で他艦への通信を始めた。
「全艦隊に告ぐ!これより我々は追撃戦に入る!敵艦の10km以内には近づかずに、落ち着いてアウトレンジから砲撃で撃破をするのだ、良いな?」
『『『了解!!!』』』
「本艦は、これまでと変わらず艦隊の後方で待機をする!敵艦隊の空母らしき艦は撃沈したが、まだまだ航空戦力を保有している可能性も0とは言えない!各員気を抜かずに警戒せよ!」
こうして、第二護衛艦隊群は戦闘が一段落しても全く油断せずに粛々と自らの仕事に取り組んでいったのである。
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護衛艦による砲撃で、帝国の戦列艦はみるみる数を減らしていく。
帝国側は自分たちの射程外からの砲撃に逃げることしか出来ず、また逃げても護衛艦の方が圧倒的に速度が速いために逃げ切ることは不可能であった。
ドーーーン!
護衛艦の砲撃音が、こだまする。そしてその度に帝国の戦列艦が轟沈をしていく。
「この艦ももうダメだあ!」
「ひいいいいい!なんで俺がこんな目に!?」
「あ、あひい………」
それに対して帝国兵は恐怖し、逃げまどい、絶望する。戦闘開始前の自信は何処へやら、といったところだ。
結局、尖閣沖海戦と後に呼ばれたこの海戦は帝国海軍が640隻の大艦隊を全て失ったのに対して日本は無傷であり、日本の完全勝利に終わったのである。
………そんな海戦を遠くの空から一人の少女が、スポーツ観戦のようなノリで観察していた。
「あれは、とても面白そうだな!ドンドンって音が聞いていて楽しいぞ!………ワタシもやりたいなあ………」
目を輝かせながらそう独り言ちる少女。何とかして自分も加わりたい、そう思った彼女はうんうんと頭を悩ませる。………しばらく経つと、少女は解決策を思いつく。(いや、思いついてしまったと言うべきだろうか)
「そうだ!良いこと思いついたぞ!」
嬉しそうに無邪気な笑顔でそう言うと、誰もいない空へ向かって自分の案を叫ぶ。
「あのでっかい艦の持ち主たちと仲良くなって、ワタシも遊びたいって言えば良いんだ!そうすれば、ワタシもあのドンドンって音の遊びが出来るに違いない!やっぱりワタシは天才だな!」
その持ち主である日本側が聞けば何だそれはとでも言いたくなるようなとんちんかんな案は、彼女にとっては余程の名案であったらしい。しきりに頷き、満足した後で少女はどこかへと飛び去って行ったのだった。
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