64 / 104
22話 帝国軍狂操曲 第一楽章➁
しおりを挟む
ドーン!
砲撃音が、海に響く。
「ラッバーロ轟沈!メンデラもたった今爆沈しました!恐らく二ホン軍の砲撃が魔法結晶に引火したのだと思われます!」
「ディメダ様、もう無理です!このままでは被害が増えるだけです。早急に撤退を………」
「知るか!?知るか!突撃だっ。突撃いいいいいい死ねえええええええ!」
彼の命令通りに突撃を行う帝国艦隊。しかし、二ホンの軍艦による帝国側の射程外からの一方的な砲撃によりどんどん数を減らしていく。
ドーン!
「こ、今度はスフラットも轟沈です!」
「あああああああああ!!何故だああああああ!追いつけ!撃て!撃てえええええっ!」
狂ったように、いや狂っているのであろうディメダは張り裂けんばかりの声で無理難題を叫んでばかり。
兵士たちはグレリアスの轟沈やこれまでの一方的な展開の影響で、士気は0も同然である。
こんな状況でまともに戦えるはずもなく………
「第三小隊のシャーブが撤退しています!」
「戦列艦グレーツ、艦長が逃亡し指揮系統が混乱しています!魔法通信で撤退許可を求めてきました!」
あっという間に大半が撃破されるか逃げ出し、艦隊は事実上崩壊してしまう。
「こうなってはもはやどうしようもありません!ひ、引くしか………」
部下のうちの一人がそう具申するが、ディメダはそれに従うどころかとんでもないことを言い出す。
「撤退は許さん!逃げ出した艦は帝国の恥さらしだ!逃げ出した奴らを片っ端から撃てえっ!」
「しょ、正気ですか!?敵を目前に同士討ちなど………」
「うるさいうるさいうるさーい!殺せ殺せ殺せえええええええええええええ!!!」
そんな発言がディメダの口から出た瞬間、ドーンという砲撃音と共に、エルラウドの船体が大きく揺れる。
「この艦もそのうち沈んでしまいます!ディメダ一等将官閣下!私は逃げさせていただきます!」
「俺も逃げるぞ!こんなのやってられるか!」
遂に見切りをつけたのか、エルラウドに乗っていた帝国軍の兵士たちは次々と海へと飛び込んでいく。
「待てえええええええええええ!ああああああああ!」
そんな彼らの後ろから、ディメダの奇声が聞こえてくる。
(いったん気絶してから、ディメダはどうして急にあんなおかしくなったんだ?)
普段の様子とは正反対のディメダに戸惑いを隠せないケイオスもまた、意を決して真下の深い青に身を投げ出した。
その直後………
ドーーーーーーン!! パリンッ!
二ホンの軍艦による砲撃音とほぼ同時に彼の背後から何かが割れる音が聞こえた。
彼はエルラウドの轟沈が近いことを悟り、振り返ることなくそのまま島の見える方へ泳いでいった。
砲撃音が、海に響く。
「ラッバーロ轟沈!メンデラもたった今爆沈しました!恐らく二ホン軍の砲撃が魔法結晶に引火したのだと思われます!」
「ディメダ様、もう無理です!このままでは被害が増えるだけです。早急に撤退を………」
「知るか!?知るか!突撃だっ。突撃いいいいいい死ねえええええええ!」
彼の命令通りに突撃を行う帝国艦隊。しかし、二ホンの軍艦による帝国側の射程外からの一方的な砲撃によりどんどん数を減らしていく。
ドーン!
「こ、今度はスフラットも轟沈です!」
「あああああああああ!!何故だああああああ!追いつけ!撃て!撃てえええええっ!」
狂ったように、いや狂っているのであろうディメダは張り裂けんばかりの声で無理難題を叫んでばかり。
兵士たちはグレリアスの轟沈やこれまでの一方的な展開の影響で、士気は0も同然である。
こんな状況でまともに戦えるはずもなく………
「第三小隊のシャーブが撤退しています!」
「戦列艦グレーツ、艦長が逃亡し指揮系統が混乱しています!魔法通信で撤退許可を求めてきました!」
あっという間に大半が撃破されるか逃げ出し、艦隊は事実上崩壊してしまう。
「こうなってはもはやどうしようもありません!ひ、引くしか………」
部下のうちの一人がそう具申するが、ディメダはそれに従うどころかとんでもないことを言い出す。
「撤退は許さん!逃げ出した艦は帝国の恥さらしだ!逃げ出した奴らを片っ端から撃てえっ!」
「しょ、正気ですか!?敵を目前に同士討ちなど………」
「うるさいうるさいうるさーい!殺せ殺せ殺せえええええええええええええ!!!」
そんな発言がディメダの口から出た瞬間、ドーンという砲撃音と共に、エルラウドの船体が大きく揺れる。
「この艦もそのうち沈んでしまいます!ディメダ一等将官閣下!私は逃げさせていただきます!」
「俺も逃げるぞ!こんなのやってられるか!」
遂に見切りをつけたのか、エルラウドに乗っていた帝国軍の兵士たちは次々と海へと飛び込んでいく。
「待てえええええええええええ!ああああああああ!」
そんな彼らの後ろから、ディメダの奇声が聞こえてくる。
(いったん気絶してから、ディメダはどうして急にあんなおかしくなったんだ?)
普段の様子とは正反対のディメダに戸惑いを隠せないケイオスもまた、意を決して真下の深い青に身を投げ出した。
その直後………
ドーーーーーーン!! パリンッ!
二ホンの軍艦による砲撃音とほぼ同時に彼の背後から何かが割れる音が聞こえた。
彼はエルラウドの轟沈が近いことを悟り、振り返ることなくそのまま島の見える方へ泳いでいった。
13
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説
勇者現代へ帰る。でも、国ごと付いてきちゃいました。
Azanasi
ファンタジー
突然召喚された卒業間近の中学生、直人
召喚の途中で女神の元へ……女神から魔神の討伐を頼まれる。
断ればそのまま召喚されて帰るすべはないと女神は言い、討伐さえすれば元の世界の元の時間軸へ帰してくれると言う言葉を信じて異世界へ。
直人は魔神を討伐するが帰れない。実は魔神は元々そんなに力があるわけでもなくただのハリボテだった。そう、魔法で強く見せていただけだったのだが、女神ともなればそれくらい簡単に見抜けるはずなおだが見抜けなかった。女神としては責任問題だここでも女神は隠蔽を施す。
帰るまで数年かかると直人に伝える、直人は仕方なくも受け入れて現代の知識とお買い物スキルで国を発展させていく
ある時、何の前触れもなく待望していた帰還が突然がかなってしまう。
それには10年の歳月がかかっていた。おまけにあろうことか国ごと付いてきてしまったのだ。
現代社会に中世チックな羽毛の国が現れた。各国ともいろんな手を使って取り込もうとするが直人は抵抗しアルスタン王国の将来を模索して行くのだった。
■小説家になろうにも掲載
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
日本は異世界で平和に過ごしたいようです。
Koutan
ファンタジー
2020年、日本各地で震度5強の揺れを観測した。
これにより、日本は海外との一切の通信が取れなくなった。
その後、自衛隊機や、民間機の報告により、地球とは全く異なる世界に日本が転移したことが判明する。
そこで日本は資源の枯渇などを回避するために諸外国との交流を図ろうとするが...
この作品では自衛隊が主に活躍します。流血要素を含むため、苦手な方は、ブラウザバックをして他の方々の良い作品を見に行くんだ!
ちなみにご意見ご感想等でご指摘いただければ修正させていただく思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
"小説家になろう"にも掲載中。
"小説家になろう"に掲載している本文をそのまま掲載しております。
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――
EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。
そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。
そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。
そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。
そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。
果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。
未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する――
注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。
注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。
注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。
注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる