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おまけの閑話
とある人たちの内緒話
しおりを挟むその1:677年、とある婚姻披露宴会場にて
【登場人物】
オーレリア:伯爵家令嬢23歳、このたび侯爵家嫡男と結婚。
コリンヌ:公爵家侍女でオーレリアの後輩。
ブランディーヌ:公爵家令嬢でオーレリアとコリンヌの主人。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
コリンヌ「それにしても、まさか先輩に先に結婚されるとは思いませんでしたよ…」
オーレリア「ふっふーん、ビックリしたでしょ。ていうか私の方が6つ上なんだから、普通ならどう考えても私の方が先じゃなきゃおかしいでしょう?」
コリンヌ「それはまあ、そうですけど。でも先輩、婚約者いなかったですよね?」
オーレリア「そこはまあ、ね。出会う時は出会うのよ♪」
コリンヌ「ていうかいつ知り合ったんですか?」
オーレリア「ん、2ヶ月前かな」
コリンヌ「……………は?」
オーレリア「だから、この暑季の始めに知り合ったのよ」
コリンヌ「で、出会って2ヶ月で結婚んん!?」
オーレリア「そ。即断即決ってね!」
コリンヌ「いや即決すぎでしょ!婚約期間は!?両家の顔合わせは!?婚約誓紙と婚姻誓紙の取り交わしは!?」
オーレリア「婚約誓紙は先週交わしたわよ。婚姻誓紙はこれからかな」
コリンヌ「まさかの事後!?」
オーレリア「まあいいじゃない。私たちがそれでいいんだから」
コリンヌ「いやまあ、おふたりが納得されてるならいいですけど………(でも貴族の婚姻としては色々言われそうだなあ)。それで?どうやって知り合ったんです?」
オーレリア「それがね、彼、婚約破棄されたのよ」
コリンヌ「えっ………ええ!?」
オーレリア「それで、傷心して街でやけ食いしてる所を見かけてさ。なんか見てられなくて話聞いてあげたの」
コリンヌ「まさかそれで………?」
オーレリア「そ。なんか意気投合しちゃってねー。向こうは破棄されたしこっちは婚約者いないしで、じゃあ付き合っちゃう?って」
コリンヌ「いや軽っる!?」
オーレリア「よくよく話聞いてみたら伯爵家とも取引のある侯爵家でさー。じゃあまあいいんじゃない?ってトントン拍子に」
コリンヌ「まさかの順調!?」
オーレリア「それでまあ、今日こういうコトになったわけよ」
コリンヌ「えっじゃあ今日までの2ヶ月ってまさか!?」
オーレリア「そ。ほぼ全部婚姻式の準備期間ね!」
コリンヌ「即断即決すぎぃ!」
オーレリア「てなわけで、私たちそろそろ行くわね」
コリンヌ「えっ?先輩、どこに?」
オーレリア「新婚旅行よ!」
コリンヌ「えっ?何です、それ?」
オーレリア「なんか最近アルヴァイオンで流行ってるらしいのよ。婚姻披露宴のあと、新郎新婦がそのまま旅行に行って夫婦水入らずの思い出を作ってくるんですって!素敵だと思わない?」
コリンヌ「なにそれ素敵!ていうか今から?おふたりで!?」
オーレリア「まあふたりでとは言っても、さすがに護衛と侍女は連れてくけどね」
コリンヌ「あー、それはそうでしょうけど」
オーレリア「という訳で行くわよ、ダーリン!」
コリンヌ「モ、我が愛!?」
侯爵家嫡男「もちろんだとも。さあ行こうか愛しの僕の女王様!」
コリンヌ「いや糖分高っか!?」
コリンヌ「ああ~行っちゃった……………。んー、でもまあ、なんかすっごく先輩らしいかな」
ブランディーヌ「まあ、らしいと言えばらしいわね。ところでコリンヌ?」
コリンヌ「はい、なんでしょうかお嬢様」
ブランディーヌ「わたくし、オーレリアから休暇願いをもらってないのだけれどね?」
コリンヌ「…………………………え゙」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その2:696年、とある学園の卒業記念パーティーから数日後
【登場人物】
フランシーヌ:第一王女18歳。次世代最年長の“お姉様”。
ルージュ:王弟第一王女17歳。
フィリップ:第一王子16歳。
アリアンヌ:侯爵家令嬢15歳。ノエルの親友。
ラウール:第二王子14歳。
ノエル:アルトマイヤー伯爵家令嬢14歳。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ルージュ「あなたねえ…。ほんっと、バカじゃないの?」
フランシーヌ「わが弟ながらホント頭痛いわー……」
フィリップ「そんな事を仰られても!姉上!」
フランシーヌ「ここには人払いして今私達しかいないんだから、いつも通りにしなさい」
フィリップ「だって!姉ちゃん!」
ルージュ「いやいつも通りだけど………相変わらず砕けすぎだわアンタ」
フィリップ「だってアリアと結婚しろって言われたってさあ!」
ルージュ「なによ?あたしの可愛いアリアになんか文句でもあるの?」
フィリップ「い、いや、文句っていうか………」
ノエル「はぁ……。最低だよフィルお兄ちゃん」
ラウール「ホントだよ兄さん」
フィリップ「なっ!?何が最低なんだよ!?」
ノエル「だってアリアお姉ちゃん泣いてたんだからね?」
ラウール「女の子泣かせるとかマジで無いから」
ルージュ「…………………………フィリップぅ?」
フィリップ「まっ待ってルー姉!アイアンクローはやめて!痛だだだだ!」
ルージュ「あたしの可愛いアリアに何してくれてんのよっ!」
フィリップ「ギブ!ギブギブ!」
フランシーヌ「………誰かカウントしてあげて?」
ラウール「9.9、9.8、9.7…」
フィリップ「カウントおっそ!?」
ノエル「とにかく。今回のことはお兄ちゃんが全面的に悪いんだからね!」
ルージュ「ホントよね」
フランシーヌ「王家として弁明のしようもないわ」
ラウール「まったくだよ」
フィリップ「……………んなこと言ったってさあ」
ルージュ「ほほう?まだなんか文句があると?」
ノエル「陛下にもあれだけ怒られといて?」
ラウール「母上も大激怒なのに?」
フィリップ「……………………うぐ。けっ、けどなあ!」
フランシーヌ「けど、なに?一応聞いたげる」
フィリップ「………っく、だって!物心ついてから今までずっと妹みたいに可愛がってたのに、今さら女としてなんて見れるはずないじゃないか!」
全員「…………………………。」
ルージュ「まっ、まあ、それを言われると……」
ノエル「き、気持ちは分からなくもない、かな」
ラウール「ほとんど兄弟姉妹みたいなもんだしね」
フランシーヌ「でもね」
全員「だからといって、衆目の面前で辱めていいわけ無いでしょうがっっっ!!!!」
フィリップ「ハイ、スイマセン………」
フランシーヌ「………はぁ。だってさ。どうする?アリア?」
フィリップ「……………………は?」
アリアンヌ「フィルお兄ちゃん………」
フィリップ「ゲッ!?あ、アリア!?お前いつから聞いてた!?」
アリアンヌ「いや最初から隣の部屋にいたけど」
フィリップ「全部かよっ!?」
アリアンヌ「どうせお兄ちゃん絶対本音言ってくれないと思って。それでフランお姉ちゃんに頼んで聞き出してもらおうかな、って」
フィリップ「いや人の弱点を的確に抉ってくるなお前!?」
アリアンヌ「でさ、まあ案の定だったんだけど」
フランシーヌ「まあ、そうね」
ルージュ「ある意味予測できた答えではあったわね」
ラウール「むしろ分かりやすすぎて、何ていうか」
ノエル「まあお兄ちゃんらしいというか」
フィリップ「もうやめて!俺の霊炉が止まる!!」
アリアンヌ「でもさあ」
フィリップ「……………ビクッ」
アリアンヌ「異性として見れないのが自分だけとか思ってんじゃないわよーーーっ!!」
フィリップ「痛ったーーーーー!?ビンタするかふつ───ぐふぅ!?」
アリアンヌ(無言で胸ぐらを掴んで)バチン!バチン!バチン!バチン!
フィリップ「い、いや、まっ、まった、いた!痛い!や………やめ………!」
ルージュ「あーあ、アリア怒りの往復ビンタが炸裂しちゃったわね………」
ノエル「これ止まんないよ、アリアお姉ちゃん目据わってるもん」
ラウール「むしろ止めたらこっちに矛先来そう」
フランシーヌ「まあ、フィルの自業自得なんだし、ボッコボコになるまで叩かれればいいのよ」
フィリップ「やめ、まっ、ホントに、ごめ、ごめ゙ん゙な゙ざい゙………!」
アリアンヌ「許すかぁ!!」
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
意外と仲の良かった次世代組でした♪
※「俺の(○○の)霊炉が止まる」→「○○のライフはゼロよ」的な庶民が使う慣用表現。この世界の人間は霊炉=心臓が止まれば死ぬので。
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こちらにも感想をありがとうございます。
一応ですけど、この作品は本編と番外編で完結していたんです。なろうで先に公開していたんですが、そちらで続編の要望があって書いたのが公爵家侍女編で、だからコリンヌが主人公になったのも後づけの設定なんですよ。
本編でも書いていますが、コリンヌは本来ならば死刑(確定)です。被害者であるブランディーヌが許したから一命を取り留めた、それだけなんです。コリンヌが贔屓されてるように見えるのは、真摯に反省して真面目に更正に取り組んでることでブランディーヌが許す気になって、そのブランディーヌの考えを周り(特に王太子妃ジェニファー)が許容したからです。
それを受け入れてもらえないのであれば、橘さんにとってこの作品も合わなかったという事になるのではないかと思います。
ちなみにコリンヌの陰謀の片棒を担がされた人たちの中で唯一名前の出ているアルメル嬢は、コリンヌと一緒にブランディーヌの元で働いていますよ。ちゃんと名前も出ています。そして末尾に付けている資料集の年表(時系列)を見れば、きちんと再婚約して結婚までこぎつけているのが分かるかと思います。
別にコリンヌだけが幸せになったわけではないのです。
本作久々の感想をありがとうございます!
実は公爵家侍女編は当初のプロットにはなくて、なろうで公開した際に続編の要望を頂いて書いたものになります。最初はろくにプロットも練らずに書き始めたんですが、書いてるうちに自然と展開がえらいことに(笑)。
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ネタ分かってもらえて嬉しいです!だいぶ古いネタなんで、なろう版でもあんまり反応が芳しくなかったんですよね〜( ̄∀ ̄;
感想ありがとうございます。ようやく完結までこぎつけました!
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