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間章2【マリア様は今日も呑気】
【番外・補足2】
しおりを挟む【真竜】
狭義の意味で「竜」と言えば真竜を指す。その姿は雄大な体躯と長い首、長い尻尾、それに頭部の角と背に翼を持っていて、全身を鱗で覆われた姿をしているという。いわゆる“竜”に相当する。
世に神々は数多存在すると言われるが、真竜は11柱しか存在しないとされ、そのため神々をも超える権能を持つ可能性があると一部では考えられている。実際、伝承によれば真竜の中には世界の終末に関わるとされる存在がいくつもあるため、あながち間違っていないのではないかと言われている。
・白竜(善/秩序)雌
[湖竜シャヴォンヌ]
所在と生存が確認されている唯一の竜で、ラグ山中の“竜の泉”の底で眠っている。ただしその事実を知るのは歴代の〈竜の泉〉亭のマスターのみ、現在はザラックただ独りである。
性格は温厚、知能も高く、歴代の〈竜の泉〉亭マスターたちに匿われる形でひっそりと生き続けている。ただし思い上がった人間たちが敵対したときはその限りではなく、実際に約百年前に挑んだとある高レベルパーティは一瞬で消し飛ばされたと伝わっている。
自ら名を明かすことはないが、その名は湖竜シャヴォンヌという。
・黒竜(悪/混沌)雄
[死竜ニーズヘッグ]
終末の時に死者の魂を乗せて飛ぶと言われる死竜ニーズヘッグ。
現在は大樹海の最奥に聳える“世界樹”の樹頂部に止まったまま眠り続けている。死竜が目醒める時、それは世界が終わる時であるという。
ただし目醒めることがなくとも、その身は時折身じろぎするという。そのタイミングと“黒死病”の流行が重なっているのは、果たして偶然なのだろうか。
・赤竜(善/混沌)雌
[炎竜スルト]
かつて一度は世界を滅ぼしたと寓話に語られる炎竜スルト。姿を消したものの滅ぼされてはいないはずで、世界のどこかに潜んで、再び訪れる終末の時を待っているとされる。
・青竜(中立/秩序)雌
[海竜レビヤタン]
終末の時に海嘯を起こして全てを呑み込むとされるのが海竜レビヤタンである。世界の海のどこかにあるというその最深部で、目醒めの時を待っているという。
・黄竜(悪/中庸)雄
[雷竜ブロントス]
慈悲無き悪意、天災の象徴たる雷竜ブロントス。その羽ばたきは嵐を喚び雷雲を起こし、その息吹は稲妻となって大地を焦がす。
・緑竜(善/中庸)雄
[森竜ベヒモス]
大地の王たる森竜ベヒモス。
エルフの王都、森都の地下深くで眠っている。身じろぎするだけで、各地に大地震を発生させるという。
・桃竜(悪/秩序)雌
[淫竜ハーロッツ]
黙示録の獣こと、人類の欲望の化身が淫竜マザーオブハーロッツである。
・橙竜(中立/混沌)雌
[母竜テュポーン]
全ての魔物の母たる母竜テュポーン。世界のどこかにある“深淵”にて、常に瘴気を生み出していると言われる。
・紫竜(中立/中庸)雄
[毒竜ヨルムンガンド]
世界を取り巻き支える毒竜ヨルムンガンド。その身は全て毒とされるが、同時に全ての薬の元でもある。
・光竜(善/秩序)雌
[輝竜ミスラ]
終末の時に世界を救うとされる輝竜ミスラ。東方世界では“光の神”ミトラースとしても知られている。
・闇竜(悪/混沌)雄
[悪竜アジ・ダハーカ]
終末の時に現れ世界を滅ぼすという悪竜アジ・ダハーカがこれであるという。蛇王の封印をひたすら更新し維持し続けているのは、ひとえに闇竜を顕現させないためとされている。
・星竜(中立/中庸)雄
[宙竜ジズ]
天宙の覇者たる宙竜ジズ。その身は大陸ひとつに匹敵する大きさだとされ、常に遥かな高空、星の宙を舞っているという。
存在さえ知られていない“12番目の竜”。実はアリウステラの鏡面世界である地球に存在する。白と黒に対応しその中間である「灰」に対応するものとして、光と闇の中間としての「星(宇宙)」であり、今は宇宙空間を隔てて繋がりのある地球へと身を移している、この世界で唯一「物理的に地球とアリウステラを往き来できる存在」が星竜である。
【龍】
ちなみに“龍”というのはこの世界ではまた別個の存在である。龍とは東方世界、華国や“極島”に伝わる霊獣の一種とされ、雨を喚び嵐を起こす荒ぶる存在として知られている。数ある神々や霊獣の中でも一部族を形成しており、多くの“龍”がいるとされる。
その龍の姿を象った炎系の魔術[炎龍]は、元は東方世界で編まれた魔術であるとも言われている。
【七賢人】
世界に名高い七人の賢者たち。賢者と呼ばれているがこの中には魔術師も詩人も含まれている。
以下の七名を総称し讃えて七賢人と呼ぶ。
※今まで全員を列挙したことないけど、全員ちゃんと設定があったりします。
“至高の賢者”ギイ・レーニエ
先々代勇者パーティ“竜を捜す者たち”の魔術師で、〈賢者の学院〉の学院長に相当する“大導師”の地位にある人物。フェル暦675年現在で76歳。
“大地の賢者”ガルシア・パスキュール
若い頃から世界中を放浪しつつ、魔術の研鑽と研究に生涯を費やす人物。“賢者”と言えば一般名詞としては研究職にある魔術師全般を指す言葉だが、狭義ではガルシアを指すことが多い。当代勇者パーティ“蒼薔薇騎士団”の魔術師であるクレアの祖父。675年現在で75歳。
“最後の歌姫”バーブラ・スート・ライサウンド
先々代勇者パーティ“竜を捜す者たち”の吟遊詩人。さらに前の代の勇者パーティ“フェリックスと愉快な仲間たち”の魔術師でもあり、二代続けて蛇王の封印を担った。現在は〈賢者の学院〉で学科の最高位教職である“導師”を務めている(伝承科)。675年現在で89歳。
“銀森の賢者”シルレシルラワレイファス
エルフたちの都である森都シルウァステラを治めるエルフの女王。先代勇者パーティ“輝ける五色の風”の狩人であるエルフ、ネフェルランリルの姉でもある。
“岩窟の隠者”ゴルドニク
ドワーフたちの都である岩都ザルブルグを治めるドワーフの王。世界最高の鍛冶師でもある。
“神慮の聖賢”ファビオ・ジョーナンク
神教教団の先々代主祭司徒。当代勇者パーティ“蒼薔薇騎士団”の法術師ミカエラの祖父でもある。675年現在で69歳。
“審判の魔女”ライブラ
七賢人の中で唯一、ほとんど公の場に出てきていない謎の女性。直接見知っているのも先々代勇者ロイなどごく一部に限られていて、だが数少ない証言を総合すると「純白の外衣をまとった年齢不詳の妖艶な美女」らしい。
ただしロイが若い頃から近年に至るまで外見が変わっていないらしく、人類ではなく“神霊”だとも、竜翼山脈最高峰である竜心山の頂に封じられた“災厄の魔女”と対を成す存在だとも言われている。
【魔法】
この世界には魔法は存在せず、魔力をもって行使される術のことは“魔術”と称される。ただし太古の昔にはその限りではなく、神々が地上に在った時代には魔法もまた世界に存在したとされ、そのため子供向けの寓話などには“人類には成しえない奇跡の力”としての魔法がよく登場する。
人の身で扱えるのは人類が構築した術理のひとつである魔術であり、魔法は人類には行使し得ない、神々の権能に属するものだと考えられている。
現在の“世界”をラティアースと称するが、太古にはオーリムアースと称されていたことが古代の遺跡から出土した石碑などで判明していて、そのオーリムアースからラティアースへの移行は「魔法が失われ魔術が登場したことによる」とも言われている。ただし現在の考古学研究ではまだ定かには判明しておらず、そう推定されているに過ぎない。
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