らぶさばいばー

たみえ

文字の大きさ
上 下
18 / 100

魔女の奉迎

しおりを挟む

 ――かつて、人と魔女と神に世は分かたれていた。

 人は最も弱く、そして可能性を持つ存在であった。何故なら、魔女も神も元を辿れば人から生まれし存在だったからだ。しかし、人が上位に君臨することはどれほど知恵を得ようと、力を得ようとも叶わない。なにせ、人が強くなればなるほどに魔女や神たちもより強固な存在となったからだ。
 人より生まれし存在なのに、その上に人が立つことは叶わない。それが人であった。

 そこで人は一計を案じた。

 人を魔女に近い存在に変えてしまう術を生み出してしまったのだ。元々は人から生まれ出でた存在。やって出来ない道理は無かった。それこそが人の魔術の始まりであったとされているが、その方法はあまりにも原始的だった。
 ――なにせ、人を生贄として捧げる方法だったのだから……。

 そうして数々の犠牲の上で生み出されたのが『最初の魔人』たちだ。彼らは自らの力に酔い痴れ、傲慢となり、やがて当初の目的から逸脱した思考を持って人という矮小な種族から解き放たれることを望むようになった。
 ただ、やはり紛い物。いくら知恵や力を得ようと本物の前では差など無いに等しかった。

 ――それを悟った彼らは更なる禁忌に手を出した。

 魔女に及ばないならばと、もうひとつの存在に目を付けた。
 人の形に近い魔女とは違い、姿形に決まりのないものたち。

 ――神だ。それも人の世に度々顕現する攻撃的な邪悪の神を、だ。

 それを喰らえば魔女よりも強くなれるとでも思い込んだのか、愚かな魔人は我先にとその邪悪の神魂を取り込む儀式を執り行う研究を行った。だが結果は無残なものに終わることとなる。
 魔女と違い、人と神に親和性など無かったからだ。なにせ生を司り、生きた人から生まれる魔女とは違い、死人……つまり死体からしか神は生まれないからだ。生と死、矛盾したものに親和性など初めから存在しない。

 結局、魔人たちは研究途中で神の力を取り込んだ代償によって命を落としただけだった。しかし皮肉なことにもその時の彼らの行為が後の世において魔人、もとい魔術師たちの基礎となり『神降ろし』という禁忌を生み出すきっかけとなった。
 ――そうして人の世の儚い時を幾度も経て、禁忌を完成させたものがいた。

 後に『始まりの英雄』と呼ばれる男、
 ――イベリス・アイヴィ・ユスト=アイオーンである。
 彼の行いにより後の世界の仕組みが変わったといっても過言ではないだろう。

 何故なら、それまで人に近かったはずの魔女たちを容易く超えるほどの力を得ただけでなく、『神降ろし』による『神格化』という概念を生みだしてしまうことになったのだから。

 それによって人々は多くの恩恵を受けた。

 それまでとは比べ物にならないほど魔力が増し、同時に神の成り損ない――精霊をも従えるほどの力を得たことで、神を縛る法則も手中に収めたも同然であった。なにせ、殆どの神に明確な意志は無い。操りやすいことこの上ない存在なのだから。
 実質的に神を従えるまでの力を得たことで人は増長した。自らを神と呼称し、当時の人類の約9割が信仰するほどの一大勢力を築き上げた。
 ……そうして残ったのは、人を脅かす唯一の存在となった魔女だけだ。こうして人類は魔女の排除へと動き出した。

 ――魔女狩りだ。

 魔女の抵抗は激しいものであった。絶滅寸前まで続いた抵抗は、魔女狩りに加担した人類のほとんどを道連れとした。生き残ったのは魔女の力を理解していた賢者、恩を仇で返す不義理をしなかった一割にも満たない人類のみだった。
 ……こうして、人類の多大な犠牲を払い、魔女は絶滅まで追い込まれこの世から消えた。

  と、表の人類史では後半のほぼ最後の部分のみを主にして語り継がれている。邪悪な魔女の討伐譚。それもここまで詳細ではないだろうが。
 これだけでは肝心な部分は分からないまま。一部の辻褄が合わない。

 そもそも魔女とは何なのか。何が原因で生まれた存在なのかという根本的な疑問がある。答えは過去の誰も知らない。ただ、分かっていることもある。それは……表面上絶滅してもなお、魔女はこの世界に害を及ぼすものとして語り継がれているという事実。
 何故か。魔女の生存を確信し、その脅威を後世に伝えたい者がいたからにほかない。

「――帝国第一皇女、ヴィオラ・アイヴィ・セレーネ=アイオーン。……このような趣きのある場で噂の魔女殿に直接お目に掛かれて実に光栄なことだ」
「ふふ、勿体ないお言葉ですわ。アイヴィ殿。友好国である皇族に対し、いたずらに輝きで目が眩む失礼があってはいけませんから、此度はお許し下さいね」

 肩で綺麗に切り揃えられた白金の髪と、猛獣の如く輝く神秘の金を両目に宿した罪深き皇族。その第一皇女を母が応対するのを後ろで控えてひやひや見守る。最初から喧嘩腰だ!
 簡単に言ってしまえば、皇女は「魔女という存在にふさわしい陰気で地味な歓迎」だと馬鹿にし、母は「欲に忠実である貴方たちほどではないよ」と返したのだ。
 ……本当はもっと色んな意味が込められていそうなのが怖いのだが。

 皇女は母の返しを気にすることなく、鼻で笑って周囲を見回した。

「……ふん、二人だけか。夫や息子はどうした」
「此度の奉迎は魔女をご所望でしたので、出かけておりますわ」
「白々しい。当主ならば理解しているだろう。魔女の奉迎は一族総出のはずだが」
「残念ながら友好国の尊き方とはいえ、我が一族がお仕えするお方ではありませんもの。このように当主と次代が出迎えることも本来は有り得ませんこと。ご理解下さいね」

 ひぇぇ……!!
 真顔と笑顔のままに淡々と会話する二人がとても恐ろしい……!! 

 今すぐこの場を立ち去りたい衝動に駆られたが、私は兄の身代わり。穏当に皇女を出迎え終わるにはこの場を動くわけにはいかない。たとえ二人の圧に冷汗が止まらなくとも。

「……此度の舞踏会。私の相手を務めるならば魔女殿の息子だろうと思ったが」
「あら。それは失礼しましたわ。まさか一介の田舎貴族が栄光ある皇女様のお相手だなんて……思い至ることなどあり得ませんわ。お相手ならば王弟殿下が務めさせていただく予定ですもの」

 皇女の顔つきが一気に険悪なものに変わったが、母は表情を変えず笑みを張り付けたまま。
 ――あぁもう駄目だ。誰がどう見ても一触即発。

「――これはこれは皇女殿下ではありませんか。なんと久しいことか」
「……アヴィデバルン公か。ふっ、たしかに久しいな」

 私たちが皇女様を出迎えていたのは王城の正門。本来であれば通行規制が掛かっているはずだが、プラタナスの父であるアヴィデバルン公は近衛騎士団長の座にいる。城の警備としてわざと近くに控えていたのだろう。
 なにせ本物の魔女と自称神の末裔の邂逅だ。両者の背景を考えれば、こうなることは想定済みであったに違いない。

「此度は魔女殿との謁見をお望みだったとか」
「噂の真偽は確かめねばならない。……公なら理解出来よう」
「さようさよう。王の身辺を守る者として必要なひとつの気概でありましょうな……しかし、それで王を蔑ろにするというのはいくら皇女と言えど、いささか勇み足ではありますまいかな?」
「……ふん、シネラリア王や公には関係ないことだ。――興が削がれた。そろそろ行くぞ」

 皇女は控えていた従者へ声を掛けた。

「私が案内しましょう」

 すかさずアヴィデバルン公が皇女のエスコートを申し出た。こういうそつのないところはプラタナスとよく似ている。

「……ダリア様。くれぐれもお気を付けを」
「ええ。分かっているわ」

 去り際、小声でアヴィデバルン公が母に注意した。両者の因縁があるため仕方がないと言えなくも無いが、母が大人げなかったように映ったのは間違いない。実際には皇女のほうが危うかったのだが。
 実力行使に出ていたら間違いなくその場は母の勝ちだったろうが、同時に大戦待ったなしだ。魔女は気まぐれ。いつ手を出すのかアヴィデバルン公の様子を見る限り、気が気でなかったことだろう。
 母の忍耐力をもう少し信用してほしいものだ。

 ――そんなことを思っていると、ふと視界の端にキラキラしたものが掠めた。

「……ん?」

 何だろうと視線を向けて、それが人だと気づく。

「「…………」」

 目が合った。観念したのか、バツが悪そうな顔で物陰からその人物は現れた。
 いたのね、最初から。思わずジト目を送ってしまい、案の定視線を逸らされた。

「あらアスター。もう逃げ回るのはいいのかしら」
「……母上」

 アスター・ソル=デルカンダシア。今回の当事者だ。

「まったく……貴方って子は」
「すみません……」
「でも、そうね。どのみち貴方が出て来なくて良かったわ」
「……はい」

 いつもの上から目線な兄にしては珍しく殊勝な態度だ。実は母が皇女にした言を覆すようでなんだが、当初は舞踏会に出席する予定の兄も含めて皇女に先に挨拶しておく予定だったのだ。
 しかし、話を聞いた兄はよほどそれが嫌だったのだろう。直前になって逃亡した。それも割と本気で。

 あの母が捕まえられないと疲れたようにボヤいたほどだ。千里眼を持つ魔女の追跡を躱すなど本気も本気の大逃亡。しかも、必ず応じる私の召喚で捕捉したとしても、すぐさま気配を絶って逃亡されれば兄ほどの実力者は捕まえようもない。
 仕方がないので私と母だけで出迎えることとした。父は理由づけに不都合となったため兄とお留守番させることとなり、兄に文句を言っていたが、兄はあからさまにホッとしていた。

 どうしてそこまでして皇女に会いたくないのか。婚約者として狙われているからかと思ったが、兄曰く「とてつもなくくさい」かららしい。私と母が会った皇女の印象はプライドが高そうだったが、何か悪臭が匂うことはなかった。
 兄曰く「嗚咽を我慢できない生理的な嫌悪を撒き散らす匂い」らしいが、いくらなんでも女の子に対して酷い言い様だ。訪問時期や目的がきな臭いとは思うが、兄が嫌がるほどの体臭は皇女からは感じなかったのだから。

 とはいえ、兄の感覚を常人が理解できるものでもない。一応、デルカンダシア領経由で皇女を先導する際、母や私の代わりとして隠れながらも陰ながら護衛として同行する任務を全うしてくれたのだから文句も言えない。
 皇女が初対面から苛ついて母に喧嘩腰でいたのは、不意打ちで会えると思っていた兄が道中で一度も皇女の前には姿を現さなかったことが原因だろう。
 皇女が直接兄を呼びつけても、代理人を宛てがうという徹底した避けぶりだったそうな。

「――アスター、この後はどうするの。今回の舞踏会の主役は貴方なのよ。あなたが望んだ例の約束もあるのだから、簡単には逃げられないわ。皇女が適当な理由を述べて、少なくとも踊りに引きずり出されるわよ」

 愉快そうな笑みを浮かべて母が兄に問うた。想像でもしたのか、実に不愉快とでも言いたげに兄は顔を顰める。皇女と踊るのはそんなに嫌なのか。滅多に表情筋を動かさない兄の珍しい表情に関心しつつ暢気にそんなことを他人事のように思う。

「…………」
「まさか、このまま逃げ回るつもりじゃないでしょう?」

 黙り込む兄へ、母は容赦なく追撃した。

「……いえ、逃げても無駄なのは分かっています」
「そう。分かってるのならいいわ」

 母がホッとしたように息を吐いた。面白いことが好きな母とはいえ、さすがに主役が直前でバックレるような事態は避けたかったのかもしれない。……いや、よく考えなくとも普通ならそう考えるものだろうが。

「――あなたにいい人がいれば言い訳も出来たでしょうけど。我儘ばかりでここまで来たのだから仕方ないわね」
「いい人」
「……いるの?」

 母は口癖のように「いい人」という単語を私や兄に常日頃から言っていた。それを聞くのは大体婚姻関係の話や後継についての話の時だった。つまりそのものずばり、「いい人」は婚約者や恋人の意味だ。
 母が吃驚した顔で目を見開き、そのまま話の流れで居るとでも言いたげな兄の顔を二度見した。ちなみに私もだ。ほぼ森にいて出会いも限られるくせに、いったいいつの間に……。

「母上の考えるいい人かはともかく、俺にひとつ当てがある。名前は……。名前は知らん」

 ガクッ、とずっこけなかった私を褒めたい。

 一体誰だ!? と食い入るように兄を見ていた私たちに対して相手の名前を言いかけて、結局知らなかったと開き直った兄があんまりにあんまりである。この時点で兄の当てが当てにならないと察した。
 名前すら覚えてもらえてないのに、兄に勝手に当てにされるとはなんて気の毒なんだろうか。
 私はまだ見ぬ兄の当てにされた相手へひそかに合掌を送った――。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

私の婚約者は6人目の攻略対象者でした

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
王立学園の入学式。主人公のクラウディアは婚約者と共に講堂に向かっていた。 すると「きゃあ!」と、私達の行く手を阻むように、髪色がピンクの女生徒が転けた。『バターン』って効果音が聞こえてきそうな見事な転け方で。 そういえば前世、異世界を舞台にした物語のヒロインはピンク色が定番だった。 確か…入学式の日に学園で迷って攻略対象者に助けられたり、攻略対象者とぶつかって転けてしまったところを手を貸してもらったり…っていうのが定番の出会いイベントよね。 って……えっ!? ここってもしかして乙女ゲームの世界なの!?  ヒロイン登場に驚きつつも、婚約者と共に無意識に攻略対象者のフラグを折っていたクラウディア。 そんなクラウディアが幸せになる話。 ※本編完結済※番外編更新中

転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!

高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。

婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます

葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。 しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。 お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。 二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。 「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」 アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。 「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」 「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」 「どんな約束でも守るわ」 「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」 これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。 ※タイトル通りのご都合主義なお話です。 ※他サイトにも投稿しています。

【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

処理中です...