16 / 100
天才騎士の苦悩
しおりを挟む「――落日も、天涯照らす紅鏡。……デルカンダシア嬢?」
……ハッ!
いけない。あまりの業の深さに意識が飛びかけてしまった。この状況で意識が飛ぶのは良くない。
気をしっかり保たなくては!
「申し訳ありません。少々答えにくいお言葉でしたので……」
「独創的な方だとは常々思っていたけれど、難儀ねぇ」
「カトレア」
私は今、何故か再びエーデルワイス邸のお茶会に参加を余儀なくされていた。この場はアウェー。
カトレア様のお言葉になんとお答えするべきか判断に迷い、口を噤む。この場に居ないエリカ様含め、全員私よりも身分が上だ。余計なことは言わないに限る。微妙に困った顔で沈黙を選んだ。
「デルカンダシア嬢には感謝している。これで彼女の事が少しでも分かるだろうから……」
私以上に困った表情でカトレア様へ代わりに答えたのが件の攻略対象その2、プラタナス・コル=アヴィデバルンだ。
カトレア様がどこで今回の招待を聞きつけたのかは知らないが、気付けばあれよあれよという間にアヴィデバルン邸ではなくエーデルワイス邸にお茶会の会場が移ったのは二人が近い親戚関係であることを考慮しても唐突で強引であった。
勿論、こちらに一切の拒否権は無い。さすが権力者。
まあ、こちらとしては有り難い。世間で未婚令嬢とされる私を婚約者持ちが個人招待するという配慮が足りないプラタナスをフォローした形だ。
……この状況を面白がっているような気がしないでもないが。
ちなみに、カトレア様のお言葉の意味は前者がエリカ様へ、後者が私とプラタナスへのお言葉である。つまり、前者が「噂では知っていたけどまさかここまで変な人だったとは」。
後者では「言葉の理解できない変人が婚約者だなんて今後も大変ね」とプラタナスに。「言葉が理解できるというだけで男性の上級貴族に呼びつけられて苦労するわね」は私へという二重の意味だ。
「……それでは、お言葉の意味ですが」
微妙になった空気を立て直すべく、発言する。どんな羞恥プレイだ! と内心思いつつも、ポエムを訳すことのみに一旦集中する。これを訳すには相当に勇気が必要だからだ。
「これを訳しますと……陽が落ち、光が見えなくなったとしても、暗い夜空いっぱいに太陽の輝きを思い出します、となります」
「それは、陽の光が恋しいという意味、なのかな?」
分かってて言っているのか、それとも天然設定でも入っているのか、首を傾げながら真剣な顔でド直球に聞いてくるプラタナスにこちらが何故か恥ずかしくなる。やめて、私のライフはもうゼロよ。
見れば、私の直訳の裏を読み取って意味を理解したらしいカトレア様が呆れ半分、面白半分でプラタナスを見ながら、扇子をばさりと出して顔の下半分を隠した。
「そんな素振りも無く、家人にも聞いたこと無かったが、夜の暗さが怖いのだろうか……?」
絶対笑ってるよ、カトレア様。私もひくひくする口元を隠したい。武器扱いされたら良くないからと置いてきた扇子を無性に召喚したい衝動にかられた。
うんうん唸って首を傾げだしたプラタナスに耐えられなくなったのか、カトレア様から「教えてやれ」という視線がビシビシ届いた。
……仕方がない。
そろそろ衝動が限界な私の為でもある。ここは恥を忍んで秘めたる乙女の気持ちをお伝えしようと思う。
先に謝ります。ごめんなさい、エリカ様。私もう、この恥辱に耐えられません。
「もっと直接的に訳してしまえば……あなたに会えないと、あなたを想います。あなたを想うと空の果てまで広がるように心が満たされます。あなたはいつも私を照らす、まるで太陽のように――」
――ぶわっ! と一目で分かるくらいにプラタナスの顔が赤く染まった。
初心よのぅ、と言わんばかりに扇子をバサバサしてるカトレア様の会心の笑みがちらりと見えた。やっぱり、完全に面白がってた。
私としては補完して分かりやすく伝えたのが功を奏したのか、かなりの羞恥プレイだったのだからちゃんと伝わってホッとした。
「な、な……な」
別に本人がここにいるわけでもないのに、勝手にあわあわしてるプラタナスとそれを面白がるエリカ様、一仕事終わったからひと息つくために喉を潤す私。カオスだ。
「ふふ、ふ。プラタナス、意味が分かって良かったわねぇ」
「い、いや、しかし……これは、その、」
「何を慌ててるの。本人に面と向かって言われたわけでもないだろうに」
「………」
面と向かって言われたんだなぁ。意味は今の今まで伝わってなかったけど。
プラタナスの気持ちは分からんでもない。遠回しに告白されたのと似たようなものだから。前世でも学生の頃に異性から届いたメールで「これは私に気があるのでは!?」などといちいち一喜一憂していたのが実に懐かしい。
実際は大体が大した意味も無く、次の日ドキドキしながら学校に向かったところで、顔を合わせても特に何も変わらなくてガッカリするものだ。
今回に関しては疑いようもなく告白である。――訳せれば、という注釈付きの。
……それにしても、どうせ意味は伝わらないだろうと思いながら本人に堂々と言ったのだろうか、エリカ様。現場を見ていないので何とも言えないが、案外とやることが大胆だ。
それにしても、顔を赤く染めて黙り込んでしまったプラタナスを見て思う。お前のほうが乙女か! と。
同時に、何故か「漢気」という文字を背負ったスケ番姿で衆人環視の元で堂々と告白するエリカ様に、へたりこんで頬を赤く染めてコクリと頷く真面目眼鏡っ子のプラタナスという……そんな情景が脳裏を過ぎった。
違和感が仕事しない。ぶんぶん首を振って忘れる。
「な、なら、――赫灼となる猛虎、暗香に裂帛……これの意味はなんだろうか」
「………」
エ、エリカ様ああああああああ!! 大胆! 大胆過ぎます!
気を取り直したのか、話題を変えたいのか、プラタナスが次なる業を口にした、が、しかし。しかし、だ! どんな状況でエリカ様がコレを口にしたのかは知らないが、どんな状況であれエリカ様が暴走していたのは確実である。
でなければ、こんな破廉恥な言葉を伝わらないとはいえ言ってしまうほど貴族子女の教育は甘くない。特に上級になればなるほど。
……困った。非常に困った。
訳せば私とエリカ様の乙女としての尊厳が、訳さなければ上級貴族の圧力が私に。こんな状況でどうすればいいのか。赤みが引いてきた顔で答えを待つプラタナスを見て言葉に詰まり、ぐるぐる目を回す。
――言えない。プラタナスには! 絶対に!
「――プラタナスの我儘のせいで、そろそろ疲れているのではない? シオン。無理することはないわ。未解決だったいくつもの難問を解いてくれただけでも感謝しなければダメなのだから。ねえ、プラタナス」
どうしようかと頭フル回転で思考していると、私の様子が変だと思ったのか、カトレア様が親切にも助け船を出してくれた。助かった……!
このまま解散の空気になってくれないだろうか。そんなことを思っている雰囲気がバレたのか、終わりそうな空気を察したのか、焦ったプラタナスが声を上げた。こんな時だけ無駄に鋭い。
「ああ、それは本気で感謝している。だが、――」
「――そういえば、仕事の合間を抜けてまで話を聞きにきたのではなかったかしら。婚約者への姿勢が熱心なのは感心するけれど、大変な時期にわざわざ時間を作って下さったルドベキア様への感謝も忘れてはダメよ」
ナイス! カトレア様! そのまま押し切れ!
「しかし、この機会でなければエリカの言葉を理解する為の時間が……」
だが、ここにきてプラタナスがやたら食い下がる。余程エリカ様のことを知りたいという想いが強いらしい。言いたくない理由が理由なので実に心苦しいが、それにしても世の中知らないほうが良いこともあると怒鳴りつけてやりたい。出来ないが。
「――プラタナス。まさかとは思うけれど、女性の可愛らしい戯言ひとつひとつを全て暴くつもり? 婚約者の立場だとはいえ、まあ無粋な男だこと。相手が可哀想だわ」
「いや、そういうわけでは……」
苦々しい思いが私の顔に出ていたのか、ちらりとこちらを見たカトレア様が代わりにプラタナスを叱りつけてくれた。察しの良い上司を持つと非情に助かる。
さすがのプラタナスも先程の遠回しな告白のこともあり、言葉に詰まった。もう一押しでなんとかなりそう。そう考えてると、カトレア様がしつこいプラタナスにトドメを刺す最終通告のようなお言葉を述べた。
「それに、情けないとは思わないの? プラタナス。あなたは直接彼女と会話をしているのにも関わらず、彼女の言葉の意味を自ら解明しようともせず、隠れてその友人を誤解が生むようなやり方で無理やり呼び出して安易に答えを聞き出そうとするなんて。騎士の風上にも置けない所業だわ」
「――――」
グサッ! という剣が胸に刺さったかのように苦しい表情をプラタナスが浮かべた。本人にも色々と言い分はあるのだろうが、客観的にみると真実そう見えるという痛いところを突かれたからだろう。
「急遽、何故今回私がこの場に同席することになったのか、ルドベキア様の補佐をしているのならこの程度は理解しているでしょう。これすらも理解出来ていない、しようとしないのならば、あなたにルドベキア様の補佐を務めることは認められないわ」
ぐっときつく目を閉じてカトレア様のお言葉を拝聴していたプラタナスが、しばらく経って深く息を吐いて脱力した。こちらを見た目の中に、先程映っていたはずの焦りはなく、鳴りを潜め表面上消えてしまったようだった。
「――すまない。私が間違っていた。今日は時間を取らせてしまって申し訳なかった。少なくともエリカには嫌われていないことが分かって安心したよ。感謝する、デルカンダシア嬢。カトレアも」
「よろしくてよ」
「お構いなく……」
こうして謝意の言葉を告げたプラタナスは、あからさまに意気消沈しつつもカトレア様のお叱りが効いたのか、特に何かを言うわけでもなく一足先に退場していくこととなった。
長時間の羞恥プレイから解放されてホッと一息ついていると、カチャ、と明らかにこちらの気を引く意図でカトレア様が音を立てた。安心するのはまだ早かった。
「まったく、騎士とあろうものが情けないわねぇ」
そんな言葉で始まったカトレア様のお言葉はおそらく導入で、世間話のようなものだ。この後に本題が来る。私を助ける意図での同席、というだけではないのは最初から分かっていた。直接呼び出すには障りのある内容で、別の話があるのだろうと。
暫くプラタナスの文句、というよりは今回の暴挙をフォローしたルドベキア様の優しさだとか、凄さを語って終始巧妙な惚気話をされた。人の惚気ほど聞いていて長く辛いものはない。
と、ある程度満足するまでカトレア様が語り終えたかと思うと、突然本題が始まった。
「――騎士と言えばこの頃、各地に現れては魔獣を塵すら残らず屠り、代価も求めず去ってしまうという名も無き騎士がいると国中の噂になっているのだけれど」
あ、それうちの兄ですね。
「その騎士のおかげで今回の非情事態が収束を見せたことを鑑みて、王は公に感謝の意を示したいとお考えでいらっしゃるの」
……なるほど。読めてきた。
「噂の騎士を今度王宮で盛大に開かれる夜の舞踏にご招待したのだけれど……」
「いい返事が頂けなかった、と?」
とりあえず無意味だが一回しらばっくれる。私の手には負えないような面倒な話であると直感が告げている。
目を逸らすようにあるはずのない茶柱を探していた私に、カトレア様がニコッと意味深な笑みを浮かべたのが視界の端で見えた。見えてしまった。
「――いいえ。いくつかの条件のもと、参加いただくことになったわ」
「じょう、けん?」
えっ。あの兄が? 神が相手ですら嫌なら嫌だと言ってしまう、あの兄が!? 衝撃だ。
「詳しいお話は、辺境伯に確認するといいわ」
「かしこまり、ました……」
やはり、噂の騎士が私の兄であると知った上での話だった。当たり前だが。兄に避けられている母が詳細を知って引き受けたのに違和感を感じつつも了承する。
いずれ詳細を聞いても絶対に断れないよう、逃げないようにという意図がひしひしと感じられる。
ここで権力を出して念押しするほどなのだ。プラタナスから助けたのも打算込みだったのだろう。それほどの内容かもしれない。今から覚悟しておかなければ……。
「……そういえば聞きそびれてしまったのだけれど」
と、カトレア様の大事なお話という名の権力の圧はそれでお終いなのか、ガラリと雰囲気が変わった。つられて今度こそ詰まっていた息が緩んだ。
が、それが良くなかった。
「赫灼となる猛虎、暗香に裂帛とは結局、どういう意味だったのかしら」
「ごほっ、ふ、」
カトレア様の疑問の言葉に、完全に終わった話題だと油断していた私は盛大に咽てしまった。貴族令嬢にあるまじき大失態だ。
……唯一の救いは、飲んでいた量が少なかったためにカトレア様に向かって噴き出してしまうような大惨事にはならなかったことだろう。何の救いにもならないのが現実だが。
「……し、失礼しました」
「あら、気にしなくていいのよ」
どこから湧いて出てきたのか、急に現れて布を「よろしければ、お使いください」と渡してくれた侍女にビビりつつも素直に受け取ってカトレア様にも謝罪する。
暫く様子を伺ったが、本当に気にしていないようで、ひとまず安心した。
貴族の中にはちょっとしたマナー違反にも烈火のごとく嫌悪を示したり、嘲弄したりと酷い性格の人もいるため、カトレア様が寛大であるとは知りつつも安心した。
しかし、問題はそこではない。
どう答えたものか……。意を決して、言葉を選びながらカトレア様に伝えようと苦慮する。
「その……なんといえば良いのか。お耳を御貸し頂いても?」
「ええ、よろしくてよ」
迷った挙句、先程の神出鬼没な侍女や、この前も突然出現した騎士のように公爵邸の中とはいえ誰がどこで聞き耳を立てているかが分からないために失礼ながらも近付いてもらえるようにお願いする。
誰も見えないはずの周囲の空気が若干重苦しくなった気がしないでもないが、ゆっくりカトレア様の耳元まで近づいてこっそり教えてあげた。
「まあ……!」
言い終えて直ぐに、ささっと離れた私が見たのは、頬を赤く染めて目をこれでもかと見開くカトレア様の可愛らしいお姿であった。カトレア様の反応は一般的な貴族令嬢であれば何もおかしくはない。
いや、むしろ失神していないところをみれば、そこらの令嬢とは格が違う。前世でもっと卑猥な文言を言ったことも聞いたこともあった私ですら顔に熱が集まるのを止められないのだから。
次期王妃として教育されているからか、反応が控えめである。
一般的な貴族令嬢なら失神するほどの内容。いったいどんなものなのか。訳し方を知ってしまえばなんてことはない。エリカ様のお言葉の意味は簡単なこと。
だが、だからといってそのまま直訳するわけにはいかない。エリカ様の、というよりは私の品性を疑われる。故に、言葉を選びに選びまくってカトレア様に私はこう御告げしたのだ。
――直接的な閨への誘いである、と。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
私の婚約者は6人目の攻略対象者でした
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
王立学園の入学式。主人公のクラウディアは婚約者と共に講堂に向かっていた。
すると「きゃあ!」と、私達の行く手を阻むように、髪色がピンクの女生徒が転けた。『バターン』って効果音が聞こえてきそうな見事な転け方で。
そういえば前世、異世界を舞台にした物語のヒロインはピンク色が定番だった。
確か…入学式の日に学園で迷って攻略対象者に助けられたり、攻略対象者とぶつかって転けてしまったところを手を貸してもらったり…っていうのが定番の出会いイベントよね。
って……えっ!? ここってもしかして乙女ゲームの世界なの!?
ヒロイン登場に驚きつつも、婚約者と共に無意識に攻略対象者のフラグを折っていたクラウディア。
そんなクラウディアが幸せになる話。
※本編完結済※番外編更新中
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる