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13歳と白百合の…
捕縛
しおりを挟む「はなせっ! わしをなんだと思うておるのか! はなせ……! 下賤どもがッ!」
中身はヨーグルトクリームたっぷりの流麗なミルフィーユがごとく段々に流れる顎のお肉、そして腹周りに詰まっている重厚な脂肪は、期待を裏切らず動くたび躍動し、まるでホイップクリームをたっぷり塗りたくったいちご大福のように感じられた。
……ポイントなのは、周囲にはどれも甘くて美味しいお菓子に見えているけれど、マリアンヌにはその組み合わせがとてつもなくマズそうに見えているという部分だ。なんなら更に砂糖を上からまぶしているようなものだ。普通なら吐く。
……相変わらず醜い。醜すぎる。
マリアンヌ視点、たぷたぷと揺れている顎は何重にもなる層の間に汗が垂れていて見られたものではないし、服からはち切れんばかりに見えている全体の肉は零れそうなほどに揺れに揺れ、そこから更に動くたびに中途半端に香水が混じった臭い汗を撒き散らしていて生理的に受け付けられない。
何より、飾りの仕上げとばかりに猿のように毛が濃いのだ。この豚は豚の毛量をもっと見習ったほうが良い、とマリアンヌは心底考えていた。……これがこの世界では絶世に並ぶ美貌と称えられるのだから、本当に男性の美醜の基準だけはどうしても受け入れられない、とマリアンヌは常々思ってしまう。
手を前に出し、醜い塊を連行する屈強な衛士たちを止める。正直、それ以上近付いてほしくはなかった。マリアンヌは侵攻を止めた醜い塊を軽蔑するように見下した。と、今の今まで自らの顔の肉で視界不良だった醜い塊がマリアンヌに気付いたのか、頬が赤く染まった。
「お……おぉマリアンヌ様! やっと、やっと私を受け入れて下さるのですか!」
――は?
「ひと昔は恥ずかしがってしまわれたようですが、やはりわしの事をお忘れではなかった様子。今度こそ遠慮することはございませぬ。わしはいつでもマリアンヌ様と目合う準備は整っておりますゆえ、お互いに珠玉の肌を合わせましょうぞ」
――は?
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