【R18】女帝様のお気に召すまま

ノエルのはなし

女神との邂逅17

「何をそんなに震える必要があるの。昨夜はあんなに積極的だったでしょう」
『ッ……』

　その通りだが……！

　あまりにもはっきりと言ってしまうマリアンヌに、ノエルはシーツの中で行為を想い出して悶えた。――故に、気付くのが遅れてしまった。

『きゃうん！？』

　気付けば己を防護していた布は取り払われてしまい、マリアンヌの後ろの扉からどこかへと飛んで行ってしまった。……あっちは着替え部屋。洗いに出したのか……。と、一応は現実逃避をするものの、マリアンヌの突き刺さるような視線はどこまでも変わらなかった。

「……」
『くぅん……』

　試しに控えめにごめんなさい、と何を謝っているのかも分からずに謝罪の意を込めて鳴いてみたものの、マリアンヌのゲシゲシと刺さる視線に変化は無かった。――これは、いよいよかもしれない。

『「……」』

　お互いに見つめ合ったまま、時間だけが無情にも過ぎ去っていく。そうしていたら、あることにノエルは気付いた。……なんだか、マリアンヌが段々と近づいているような……？
　不思議に思いながらつぶらな瞳でマリアンヌを見つめていると、マリアンヌが手をそっ、と差し出してきた。ノエルは何かを考える間もなく、本能的に反射で反応して手を乗せてしまった。
　――こ、これではもう逃げられないっ！？

『くぅん』
「――！？」

　この後の己の末路を想ってか悲し気に鳴くと、なぜかマリアンヌが驚愕の顔で固まってしまっていた。ぱちぱち、と。ノエルはマリアンヌから怒りを感じられない雰囲気に、少し落ち着きを取り戻し始める。
　そうして暫くして硬直から戻ったマリアンヌが何を想ったのか、ノエルの肉球をやわやわと優しく触り始めて、その優しくも丁寧な握り方に昨晩の行為が重なり、ノエルは酩酊に近い状態に無意識に陥った。