上 下
20 / 178

20話 ミドリムシの花粉

しおりを挟む

 スタンピードを緑達が壊滅させた後が本当の戦場であった。ダンジョンから出てきたジェスターから来た冒険者達も緑達がスタンピードを壊滅させた報告を聞き、死をも覚悟していた緊張からは解放さる。



その後、冒険者達は戦後処理に駆り出されるのであった。



 ゴランに着く前にピエールから言われていた緑達を含む冒険者達はゴランの怪我人の治療にあたっていた。緑の実を使えばそれこそ、生きてさえいれば治す事ができるが効果の高さと数が問題なためできるだけ秘密にする事になっている。



 怪我人の中でも特に酷い者にかんしては記憶操作できる魔法を使い緑の実の記憶を消し治療する。初め緑は記憶操作の魔法を警戒したが瀕死にでもなってない限り普通はかからない魔法らしいために治療のために使う事に納得した。



 3日後、大方の怪我人の処置が終わる。ピエールはそろそろジェスターの街に戻らなければならないと緑に伝える。そのため、ピエールとジェスターの冒険者の一部残るものを除いてジェスターに帰る事になる。



 残る冒険者は緑とアランのチームである。シャークが自分達も残ると言ったがピエールが唯一のs級間近のチームが長期間2チームも街を開けてはならないとシャークのチームは戻るように言うのであった。



「アランさん怪我人の治療もほぼ今できる事は終わりましたしどうしましょう?」



「こんな、大きな戦いや災害があった後は、巻き込まれた人たちが元の生活に戻れるようにするのがいいと思うが・・・・」



 その言葉を聞いて緑は思い出す、以前にいた世界でも災害が起こった際は救助も大切だが災害の爪痕が残った地では被害を受けた人たちが元の生活に戻るまで多大な時間をようした事を。



 まずは、衣食住で衣に関しては各近隣の街からの救援物資で確保ができているため問題がないとは言えないが現状不足している物での優先順位は低い。



なら次は食である、これも近隣の街からの救援物資として送られてくるがこの世界はモンスターがいるために安全な土地の確保はかなり厳しい。ダンジョンの周りは安全な事が多いことから今回こもる形になった場所の城壁のまわりに広がっていた農作地はモンスターが攻めてきた事や緑産の爆弾で吹き飛ばされ無残な状況になっていた。



 緑はこの城壁の外にあった農作地が壊滅している状況下では他の街からの食糧の支援があったところでいずれゴランの街の人々が飢えてしまうと考える。ならこの戦いの後の土地を以前のものかそれ以上の農作地に変えることを考える。



 緑は今まで花や実を実らすことをしてきたが花の役割を考える。



「試してみよう・・・・」



 緑は花を咲かせた後に花粉を飛ばすイメージをする。すると緑の花から目に見えて花粉が飛び始める。花粉が僅かにのこっていた農作物の花の雌しべに付着する。緑の超光合成産のエネルギーがたっぷり詰まった花粉を受粉した農作物は急速に成長し始める。



 本来なら1年に1回の収穫が多い作物も緑の花粉を受粉し膨大なエネルギーをうけ成長しすぐに実をつけ始める。



 ゴードンはそれを見てゴランの街の人々が飢えない事を喜ぶべきなのだろうがその理由を目のあたりにして苦笑いを隠せない。そんなゴードンが緑に確認する。



「ピエールの奴はこの事を知っているのか?」



「いえ、知りません・・・・・」



 その言葉を聞いてゴードンは頭を抱えながら緑に言う。



「絶対にここから戻ったらピエールに直ぐに伝えろ!」



 ゴードンの中ではこれだけの力を持つ冒険者が救援に来てくれたのは嬉しいが、その力を確認したのが自分で国や他のギルドの上部の者に報告をする役にはなりたくなかった。



 なぜなら、先日のピエールの報告を笑い飛ばした過去があったからだ。ピエールの報告は異世界からきたものを保護した。その保護したものはとんでもない能力を保持しているとの事だった。



 ピエールは緊急的に今まで無かった、冒険者のランクにIランクをその冒険者につけ、そのまま実績を積めばs級の冒険者にしたいとの事だった。s級冒険者は2人以上のギルドマスターの推薦が必要とされている。そのため、ピエールは付き合いの長いゴードンに推薦を頼んだがあまりの冒険者の能力から推薦をしぶっていた。ピエールとは合えば罵り合いをするが高い信頼を寄せ合っていた。



 しかし、報告された能力があまりにも常識から外れており今までの信用が無くなりかけたのであった。



 だが今回ピエールがその話が嘘であるなら、死に場所になる状況の場所にかけつけ。



 だがゴードンは、実際にその冒険者の能力を目のあたりにし、信用をしなかった自分を恥じていた。



 その冒険者は有難いことにこの地に留まり戦後の処理や復興を手伝ってくれていたが、その処理や復興で使用された能力が報告に無かったもので自分が報告するか更にピエールに追加で報告させるか迷っていたが自分の手柄のように報告をするような恥知らず行動はしなと言い聞かせ、元々報告していたピエールに報告する様に言うのであった。



 そんなゴードンの気持ちを知らず食糧事情を改善しようと緑は気の向くままに花粉をばらまいていた。戦闘の後で妙に綺麗に残っている木がいくつか見られたが気にせず緑が花粉をまいていると緑やヒカリ、クウ、レイ、兜と緑の家族の人型になったものにしか聞こえない声で悲痛な叫びが聞こえてきた。



「「いやー!! 孕まされるー!!」」



 緑の思惑とはかけ離れた不穏な叫びがあがるので緑が叫び声が聞こえた方向にいくと綺麗に残っている木々があった。緑達が声のしたと思われる木々の近くで辺りの様子を知らべていると木々から声が聞こえてくる。



「「あんた!何てことするの!せっかく大きな戦いが起こった場所で生き延びる事が出来たのに、その後見知らずのヤツに孕まそうとされるなんて!」



 緑は、確かに植物からしたら花粉をばら撒くのは不特定多数の者に遺伝子をまき散らす行為であり彼女らが言っていることは間違っていないと思い平謝りをするのであった。



「ごめんなさい! 植物さん皆さんの事を考えていませんでした!」



 緑が平謝りをしている様子を見たヒカリ、クウ、レイ、兜が不機嫌になり緑に語り掛ける。



「緑様このような者たちに謝る必要ありません! 緑様に対して失礼な物言いこのような者達切ってしまいましょう!」



 緑に対しての言葉にヒカリが怒るのであった。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

妖精王オベロンの異世界生活

悠十
ファンタジー
 ある日、サラリーマンの佐々木良太は車に轢かれそうになっていたお婆さんを庇って死んでしまった。  それは、良太が勤める会社が世界初の仮想空間による体感型ゲームを世界に発表し、良太がGMキャラの一人に、所謂『中の人』選ばれた、そんな希望に満ち溢れた、ある日の事だった。  お婆さんを助けた事に後悔はないが、未練があった良太の魂を拾い上げたのは、良太が助けたお婆さんだった。  彼女は、異世界の女神様だったのだ。  女神様は良太に提案する。 「私の管理する世界に転生しませんか?」  そして、良太は女神様の管理する世界に『妖精王オベロン』として転生する事になった。  そこから始まる、妖精王オベロンの異世界生活。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語

ヒィッツカラルド
ファンタジー
ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態パラダイス✕脱線大暴走ストーリー=166万文字完結÷微妙に癖になる。 変態が、変態のために、変態が送る、変態的な少年のハチャメチャ変態冒険記。 ハクスラとはハックアンドスラッシュの略語である。敵と戦い、どんどんレベルアップを果たし、更に強い敵と戦いながら、より良いマジックアイテムを発掘するゲームのことを指す。 タイトルのままの世界で奮闘しながらも冒険を楽しむ少年のストーリーです。(タイトルに一部偽りアリ)

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...