25 / 139
25.本当の自分は
しおりを挟む
いつものホテルより、明らかに年季の入った趣の外観を見て大丈夫なのかと少し不安を覚える。やはり、失敗したかなとは思ったが、ここまで来てホテルを変えるわけにもいかず、諦め気分で自動ドアの前に進む。ボクに反応して、ドアが開くと古びた外観よりは新しめのロビーが目に入る。さすがにタッチモニターとまでは行かず、部屋の写真と特徴が書いてあるパネルが並んでいた。近くによって品定めをしていると、後付けだとわかる文字が目に入る。
「バリアフリーのお部屋です。って書いてありますから、ここでいいですか」
相変わらず、ボクの後ろでたたずんでいる美貴に声をかける。
「はい。わたしは構いません」
「じゃ、ここにしますね」
と言って部屋番号の下にあるボタンを押すと、くすみかけた赤色の光が点いた。エレベーターに乗って2階に上がり201号室のプレートが点滅している部屋に入った。部屋の中は、改装したらしくきれいで、トイレもバスルームも段差もなくバリアフリーのお部屋というのは正しかったとほっとした。
「ちょっと心配してたけど、車椅子でも大丈夫そうで安心しました」
「そうですか。よかったですね」
部屋の隅に立っている美貴は落ち着かなさそうに言った。
「美貴さん、座りませんか。ボクはもう座ってますけど」
「あ、はい」
冗談を言ったつもりだったが、ウケもせずに言葉は通り過ぎて行った。
「あまり慣れてないですか」
「えっ、はい。車椅子の方とはあまり縁がなかったもので」
「そうなんですね」
ボクは、こういうところのことを言ったつもりだったのだけれど、別な解釈をされてしまったようだ。この人にはそちらの方が問題なのだろうと思った。まあ、こんな会話のパターンは慣れているので気にしないつもりだ。
「こういう形で、男性に会われるのはあまりないのですか」
誤解を招かないように別の言い方で質問した。
「そんなに、多くはないです。でも、最近お金が必要なことがあって何回か会いました」
ソファーに座った美貴は、少しリラックスした感じで言葉を続けた。
「この前出会った男の人とホテルに来たんですが、財布を忘れたとかで私がホテル代まで出すことになってしまって」
「えっ、それってエッチもしたんですか」
「そうです。すべて終わってホテルを出る時に言われてしまって。次に会う時にお金渡すからって言われたんです。でも、それっきり連絡がなくなってしまって」
「それは、確信犯ではないですか」
「そうなんでしょうか」
その時、ボクの頭の中でこの人が言いたいことが浮かんだ。
「すみません。気がつかなくて」
ボクは、財布の中から約束した金額を美貴に差し出した。
「あっ、いえ、そんなつもりで言ったんじゃないんです」
「こういうのって、先払いが当然なんですよね」
「そうみたいですね」
お札を受け取って、お札を数えながら美貴は自分の財布にしまった。まあ、受け取ったお金を数えるのは当然なことなのだろうが、目の前で行われたその行為を見た時、今までとは違った感情がボクの胸の中に湧き出した。美貴は、ほんとうにお金だけのためにやっているのだなと感じた。知らない男と初めて会っても、体を投げ出すことをいとわない。では、ボクもいい人のふりをして相手に気遣いなんて必要ないのではないか。もう二度と会わなくていいとわかっているなら、欲望のままにしても良いのだろうという想いが黒く胸の中に溜まっていった。
「じゃあ、これで触っていいよね」
ボクは美貴の返事も待たずに、手を伸ばして白いブラウスの上から大きく隆起している胸を鷲づかみにした。
「えっ」
驚いたような顔をした美貴の胸は、弾けるような弾力もなくボクの指を飲み込んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください。まだ、シャワーも浴びてないのに」
「そんなの気にしないからさ」
こんなの自分ではないという感情を押しのけるかのように、本当はこんな風にしたかったのだという欲望の感情がボクを支配してゆく。
「だめですよぉ」
力なく言う美貴の腕を取り、近くに引き寄せる。ボクの手は再び胸へと手を伸ばす。中年女性の乳房はこんなにやわらかいのかと思いながら、強くもみし抱いてみる。
「うっ」
小さくうめいた美貴は、強く抵抗もしないままでいた。ボクは、スカートの裾を捲り上げ肉付きのいい太ももの奥に手を押し入れた。指には湿り気のある布地が当たる。
「もう、濡れてるの」
「ちっ、違います」
「バリアフリーのお部屋です。って書いてありますから、ここでいいですか」
相変わらず、ボクの後ろでたたずんでいる美貴に声をかける。
「はい。わたしは構いません」
「じゃ、ここにしますね」
と言って部屋番号の下にあるボタンを押すと、くすみかけた赤色の光が点いた。エレベーターに乗って2階に上がり201号室のプレートが点滅している部屋に入った。部屋の中は、改装したらしくきれいで、トイレもバスルームも段差もなくバリアフリーのお部屋というのは正しかったとほっとした。
「ちょっと心配してたけど、車椅子でも大丈夫そうで安心しました」
「そうですか。よかったですね」
部屋の隅に立っている美貴は落ち着かなさそうに言った。
「美貴さん、座りませんか。ボクはもう座ってますけど」
「あ、はい」
冗談を言ったつもりだったが、ウケもせずに言葉は通り過ぎて行った。
「あまり慣れてないですか」
「えっ、はい。車椅子の方とはあまり縁がなかったもので」
「そうなんですね」
ボクは、こういうところのことを言ったつもりだったのだけれど、別な解釈をされてしまったようだ。この人にはそちらの方が問題なのだろうと思った。まあ、こんな会話のパターンは慣れているので気にしないつもりだ。
「こういう形で、男性に会われるのはあまりないのですか」
誤解を招かないように別の言い方で質問した。
「そんなに、多くはないです。でも、最近お金が必要なことがあって何回か会いました」
ソファーに座った美貴は、少しリラックスした感じで言葉を続けた。
「この前出会った男の人とホテルに来たんですが、財布を忘れたとかで私がホテル代まで出すことになってしまって」
「えっ、それってエッチもしたんですか」
「そうです。すべて終わってホテルを出る時に言われてしまって。次に会う時にお金渡すからって言われたんです。でも、それっきり連絡がなくなってしまって」
「それは、確信犯ではないですか」
「そうなんでしょうか」
その時、ボクの頭の中でこの人が言いたいことが浮かんだ。
「すみません。気がつかなくて」
ボクは、財布の中から約束した金額を美貴に差し出した。
「あっ、いえ、そんなつもりで言ったんじゃないんです」
「こういうのって、先払いが当然なんですよね」
「そうみたいですね」
お札を受け取って、お札を数えながら美貴は自分の財布にしまった。まあ、受け取ったお金を数えるのは当然なことなのだろうが、目の前で行われたその行為を見た時、今までとは違った感情がボクの胸の中に湧き出した。美貴は、ほんとうにお金だけのためにやっているのだなと感じた。知らない男と初めて会っても、体を投げ出すことをいとわない。では、ボクもいい人のふりをして相手に気遣いなんて必要ないのではないか。もう二度と会わなくていいとわかっているなら、欲望のままにしても良いのだろうという想いが黒く胸の中に溜まっていった。
「じゃあ、これで触っていいよね」
ボクは美貴の返事も待たずに、手を伸ばして白いブラウスの上から大きく隆起している胸を鷲づかみにした。
「えっ」
驚いたような顔をした美貴の胸は、弾けるような弾力もなくボクの指を飲み込んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください。まだ、シャワーも浴びてないのに」
「そんなの気にしないからさ」
こんなの自分ではないという感情を押しのけるかのように、本当はこんな風にしたかったのだという欲望の感情がボクを支配してゆく。
「だめですよぉ」
力なく言う美貴の腕を取り、近くに引き寄せる。ボクの手は再び胸へと手を伸ばす。中年女性の乳房はこんなにやわらかいのかと思いながら、強くもみし抱いてみる。
「うっ」
小さくうめいた美貴は、強く抵抗もしないままでいた。ボクは、スカートの裾を捲り上げ肉付きのいい太ももの奥に手を押し入れた。指には湿り気のある布地が当たる。
「もう、濡れてるの」
「ちっ、違います」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。




久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる