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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
679 両手に嫁
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何時も通り裏門から屋敷の敷地内に入り、帰り支度を済ませて待っていたビワの所に。
「カズさん? 帰って来るのは、もっと遅い時間だって」
「急行の列車があって、それに乗れたんだ。アレナリアとは駅を出た所で会ったんだよ。それで一緒に来たんだ」
「そうだったんですか。お帰りなさい」
「ただいま。って言っても、ここはレオラの屋敷だけどね」
「私達の所に戻って来てくれたら、場所なんてどこでもいいのよ。ビワも同じ思い。でしょ。ね」
「あの……はい。そう…ですね」
「そう言われるとなんか照れくさいな」
平然と恥ずかしげも無い台詞を言うアレナリアと、同意するも顔を伏せ赤くなるビワ。
「なんか、ほのぼのするなぁ」
「何言ってるのカズ?」
「あ、いや。そうだ、買い物してくんだろ。早く済ませて戻らないと、レラが一人で留守番してるんだろ」
「そうだったわ。急いで買い物済ませて戻りましょう」
そう言うとアレナリアはカズの右腕に、自分の左腕を絡め引き寄せる。
「ビワはそっちよ」
「はい」
アレナリアと同じ様に、ビワはカズの左腕に自分の右腕を絡め引き寄せる。
カズの両腕には柔らかい感触が当たる。
アレナリアの方は少しだけ、あばら骨とした感触がある。
だが、それはそれでアレナリアを感じられて良い。
ビワの案内で香辛料と干し果物を購入し、他の買う予定だった肉と野菜は、カズのアイテムボックス内にあるのを使用出来るので、空いているタクシーを見付けて乗り、川沿い家に急いで戻る。
二人と一人に分かれて座れば良いものの、三人で同じ座席に座っているので、ぎゅうぎゅうで結構狭い。
対面側の座席にカズが移動しようとすると、アレナリアが引っ張りそれを阻止する。
ビワもアレナリアを真似て、絡めた腕を引き寄せる。
「せまくないか?」
「そう? ならもうちょっとそっち行くわね」
「いや、これ以上くっついたら」
「わ…私も……」
カズの両腕には二人の体がピタリとくっつき、気持ちの良い落ち着く体温と、早まる鼓動がドキドキと伝わってくる。
結局三人で片側の座席に座ったまま、川沿いの家近くの大通りまで乗って行く事に。
下車するまでカズは双塔の街に着いてからのことを話した。
アレナリアからはアイリスの女性騎士達と、レラの魔力操作訓練などの話を。
アイリスの女性騎士達は少しずつではあるが、確実に魔力操作の練度や魔力を維持する時間が伸びてきている。
このままあと二ヶ月も続ければ、実戦での使用も可能だろうという。
飛翔魔法を覚えたいと言っていた五人の内、今現在で素養がありそうなのは、一人だけだというのがアレナリアの見解だった。
取得するのらカミーリアも素養があるが、現在本人の心境では、どうしても覚えたいとは思ってないらしい。
レラの魔力操作訓練に関しては、カズが双塔の街に向かってから、真面目に取り組んでいる。
ビワからはレオラの屋敷での事と、レラについてを。
レオラからは、カズが双塔の街から戻って来たら、知らせるように言われてる。
あとは、態度が何時もと違うのをカーディナリスに見抜かれ、カズに告白されて夫婦になったのを話したら、それがレオラの耳にも入ってしまい、詳しく聞かせてくれと言い寄られて断りきれなかったのだと。
レラに関してはアレナリアの意見と同じく、カズが双塔の街に出掛けてからは、大人しく過ごしている。
ただ、慣れない事をしているのか、魔力操作の訓練で自発的にしているからか、昼夕問わず食事を済ませると、すぐに寝てしまう。
魔力消費で疲れているのか、レラが食後すぐ寝てしまうという話に、アレナリアも同意した。
今日も寝てしまっているのは、魔力操作をしていた影響だろうとアレナリアが言う。
普段からおちゃらけてる自分が、一人で真面目に魔力操作をしているだなんて知られたくないのか、アレナリアに教えてもらっている以外の時に、一人で隠れてやっているらしい。
アレナリアとビワはそれに気付いていたが、その意図を汲んで知らないフリをしていたのだと言う。
「真面目な事を言う事もあっ……たような気もするが、レラのやる事を尊重していい事だ」
「いつもレラと言い合ってたって、そんなに本気じゃないんだから。私だってレラの家族」
「そうだな(全然じゃなくて、そんなになのか。アレナリアよ)」
「私は…レラが秘密にしたいことがあるんだと思って、悪いことじゃなければ、そっとしておこうと……」
「俺はそれで良いと思うよ。驚かせたいって思いもあるかも知れないし、無理に知ろうとして探ったら、本人のやる気がなくなるからね。自分のやった事を知ってほしかったり、驚いたり褒めたりしてほしければ、それとなく話してくるよ(俺の経験からだけど)」
「そうですよね。レラの態度には気をつけてみます」
「ああ、そうしてやって。くれぐれも否定するような事は言わないように。特にアレナリアは」
「は!? なんで私なの」
「本音じゃなくても、レラとアレナリアの仲だと、冗談とかで言いそうだから、かな」
「ゔ……他否定しきれない自分が情けない」
「夕食を豪勢にするのは賛成だけど、その事はこちらから触れないようにしよう」
「そうね。気付いてるかも知れないけど」
「わかりました。私は夕食を作ってます」
ここ数日のレラの行動を聞き、勝手に思い浮かべて気持ちを汲み取る。
そうしている内にタクシーは目的地に到着した。
川沿いの家から少し離れた大通りで降り、川沿いの家まで歩いて戻る。
玄関扉を開けると真っ暗で、一階にレラはいないのかと思った。
そこへ「おそ~い!」と、レラが暗いリビングから飛んで来た。
「今日は買い物してくるって言ったでしょ。それに起きないレラが悪いのよ」
「明かりは点けなかったの?」
「部屋が明るかったら、誰か来るかも知れないしょ。暗くなる前に戻って来てよ」
「なんだかんだ言ってて、臆病なのよね」
「あちしは清い乙女なの。アレナリアなんかと違うんだもう」
「なぁんですって! このちんちくりんがッ」
相変わらずというか、それがほのぼのする……? かは置いといて、玄関先で騒ぐアレナリアとレラをカズは止めに入る。
「こんなとこでケンカすな! ほら、夕飯を作るんだら、行った行った」
「だってアレナリアが、あちしをちんちく……カズじゃん! あれ、帰って来るのはもっと遅くじゃ?」
「急行の列車に乗れたんで、早く戻って来れたんだよ」
部屋の明かりを点けて、豪勢な食事の用意をする。
ただ今からだと遅くなってしまうので、手の掛かる物は作り置きしてあるのを、カズの【アイテムボックス】から出して済ませる。
旅に出た時用に、ビワに作って溜めて置いたのが、なんだかんだと言って食べてしまっている。
まだまだ沢山あるが、また大量に作って入れて置いた方がいいので、ビワと後日相談する。
遅めの夕食後順番に風呂に入り、出た後ビワにハーブティーを淹れてもらい、リビングのソファーに座って双塔の街の第五迷宮で、大きさは憧れか欲望かを入手したことをレラに伝えた。
飛び上がって喜ぶと思っていたが、ソファーにちょこんと座ったまま動かない。
「ねぇカズ。それ、すぐに使える?」
ソファーに座っている位置もあるので、カズからはレラが上目遣いで甘えてきているようにも見えた。
「すぐには難しいな。先ずはレラの魔力操作がどの程度まで出来たか確認しないと。使うのはそれからだな。使い方の説明をしないとならないし」
「そうなんだ……わかったよ」
期待に満ちた視線から、おもちゃを取り上げられた子供のような、残念がる視線に変わる。
「そんな顔するなよ。とりあえず明日フジの所に行って、そこでレラの魔力操作のほどを確認してから試してみよう」
「…うん。わかった」
聞き分けよくレラは引き下がった。
「カズさん? 帰って来るのは、もっと遅い時間だって」
「急行の列車があって、それに乗れたんだ。アレナリアとは駅を出た所で会ったんだよ。それで一緒に来たんだ」
「そうだったんですか。お帰りなさい」
「ただいま。って言っても、ここはレオラの屋敷だけどね」
「私達の所に戻って来てくれたら、場所なんてどこでもいいのよ。ビワも同じ思い。でしょ。ね」
「あの……はい。そう…ですね」
「そう言われるとなんか照れくさいな」
平然と恥ずかしげも無い台詞を言うアレナリアと、同意するも顔を伏せ赤くなるビワ。
「なんか、ほのぼのするなぁ」
「何言ってるのカズ?」
「あ、いや。そうだ、買い物してくんだろ。早く済ませて戻らないと、レラが一人で留守番してるんだろ」
「そうだったわ。急いで買い物済ませて戻りましょう」
そう言うとアレナリアはカズの右腕に、自分の左腕を絡め引き寄せる。
「ビワはそっちよ」
「はい」
アレナリアと同じ様に、ビワはカズの左腕に自分の右腕を絡め引き寄せる。
カズの両腕には柔らかい感触が当たる。
アレナリアの方は少しだけ、あばら骨とした感触がある。
だが、それはそれでアレナリアを感じられて良い。
ビワの案内で香辛料と干し果物を購入し、他の買う予定だった肉と野菜は、カズのアイテムボックス内にあるのを使用出来るので、空いているタクシーを見付けて乗り、川沿い家に急いで戻る。
二人と一人に分かれて座れば良いものの、三人で同じ座席に座っているので、ぎゅうぎゅうで結構狭い。
対面側の座席にカズが移動しようとすると、アレナリアが引っ張りそれを阻止する。
ビワもアレナリアを真似て、絡めた腕を引き寄せる。
「せまくないか?」
「そう? ならもうちょっとそっち行くわね」
「いや、これ以上くっついたら」
「わ…私も……」
カズの両腕には二人の体がピタリとくっつき、気持ちの良い落ち着く体温と、早まる鼓動がドキドキと伝わってくる。
結局三人で片側の座席に座ったまま、川沿いの家近くの大通りまで乗って行く事に。
下車するまでカズは双塔の街に着いてからのことを話した。
アレナリアからはアイリスの女性騎士達と、レラの魔力操作訓練などの話を。
アイリスの女性騎士達は少しずつではあるが、確実に魔力操作の練度や魔力を維持する時間が伸びてきている。
このままあと二ヶ月も続ければ、実戦での使用も可能だろうという。
飛翔魔法を覚えたいと言っていた五人の内、今現在で素養がありそうなのは、一人だけだというのがアレナリアの見解だった。
取得するのらカミーリアも素養があるが、現在本人の心境では、どうしても覚えたいとは思ってないらしい。
レラの魔力操作訓練に関しては、カズが双塔の街に向かってから、真面目に取り組んでいる。
ビワからはレオラの屋敷での事と、レラについてを。
レオラからは、カズが双塔の街から戻って来たら、知らせるように言われてる。
あとは、態度が何時もと違うのをカーディナリスに見抜かれ、カズに告白されて夫婦になったのを話したら、それがレオラの耳にも入ってしまい、詳しく聞かせてくれと言い寄られて断りきれなかったのだと。
レラに関してはアレナリアの意見と同じく、カズが双塔の街に出掛けてからは、大人しく過ごしている。
ただ、慣れない事をしているのか、魔力操作の訓練で自発的にしているからか、昼夕問わず食事を済ませると、すぐに寝てしまう。
魔力消費で疲れているのか、レラが食後すぐ寝てしまうという話に、アレナリアも同意した。
今日も寝てしまっているのは、魔力操作をしていた影響だろうとアレナリアが言う。
普段からおちゃらけてる自分が、一人で真面目に魔力操作をしているだなんて知られたくないのか、アレナリアに教えてもらっている以外の時に、一人で隠れてやっているらしい。
アレナリアとビワはそれに気付いていたが、その意図を汲んで知らないフリをしていたのだと言う。
「真面目な事を言う事もあっ……たような気もするが、レラのやる事を尊重していい事だ」
「いつもレラと言い合ってたって、そんなに本気じゃないんだから。私だってレラの家族」
「そうだな(全然じゃなくて、そんなになのか。アレナリアよ)」
「私は…レラが秘密にしたいことがあるんだと思って、悪いことじゃなければ、そっとしておこうと……」
「俺はそれで良いと思うよ。驚かせたいって思いもあるかも知れないし、無理に知ろうとして探ったら、本人のやる気がなくなるからね。自分のやった事を知ってほしかったり、驚いたり褒めたりしてほしければ、それとなく話してくるよ(俺の経験からだけど)」
「そうですよね。レラの態度には気をつけてみます」
「ああ、そうしてやって。くれぐれも否定するような事は言わないように。特にアレナリアは」
「は!? なんで私なの」
「本音じゃなくても、レラとアレナリアの仲だと、冗談とかで言いそうだから、かな」
「ゔ……他否定しきれない自分が情けない」
「夕食を豪勢にするのは賛成だけど、その事はこちらから触れないようにしよう」
「そうね。気付いてるかも知れないけど」
「わかりました。私は夕食を作ってます」
ここ数日のレラの行動を聞き、勝手に思い浮かべて気持ちを汲み取る。
そうしている内にタクシーは目的地に到着した。
川沿いの家から少し離れた大通りで降り、川沿いの家まで歩いて戻る。
玄関扉を開けると真っ暗で、一階にレラはいないのかと思った。
そこへ「おそ~い!」と、レラが暗いリビングから飛んで来た。
「今日は買い物してくるって言ったでしょ。それに起きないレラが悪いのよ」
「明かりは点けなかったの?」
「部屋が明るかったら、誰か来るかも知れないしょ。暗くなる前に戻って来てよ」
「なんだかんだ言ってて、臆病なのよね」
「あちしは清い乙女なの。アレナリアなんかと違うんだもう」
「なぁんですって! このちんちくりんがッ」
相変わらずというか、それがほのぼのする……? かは置いといて、玄関先で騒ぐアレナリアとレラをカズは止めに入る。
「こんなとこでケンカすな! ほら、夕飯を作るんだら、行った行った」
「だってアレナリアが、あちしをちんちく……カズじゃん! あれ、帰って来るのはもっと遅くじゃ?」
「急行の列車に乗れたんで、早く戻って来れたんだよ」
部屋の明かりを点けて、豪勢な食事の用意をする。
ただ今からだと遅くなってしまうので、手の掛かる物は作り置きしてあるのを、カズの【アイテムボックス】から出して済ませる。
旅に出た時用に、ビワに作って溜めて置いたのが、なんだかんだと言って食べてしまっている。
まだまだ沢山あるが、また大量に作って入れて置いた方がいいので、ビワと後日相談する。
遅めの夕食後順番に風呂に入り、出た後ビワにハーブティーを淹れてもらい、リビングのソファーに座って双塔の街の第五迷宮で、大きさは憧れか欲望かを入手したことをレラに伝えた。
飛び上がって喜ぶと思っていたが、ソファーにちょこんと座ったまま動かない。
「ねぇカズ。それ、すぐに使える?」
ソファーに座っている位置もあるので、カズからはレラが上目遣いで甘えてきているようにも見えた。
「すぐには難しいな。先ずはレラの魔力操作がどの程度まで出来たか確認しないと。使うのはそれからだな。使い方の説明をしないとならないし」
「そうなんだ……わかったよ」
期待に満ちた視線から、おもちゃを取り上げられた子供のような、残念がる視線に変わる。
「そんな顔するなよ。とりあえず明日フジの所に行って、そこでレラの魔力操作のほどを確認してから試してみよう」
「…うん。わかった」
聞き分けよくレラは引き下がった。
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