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四章 異世界旅行編 2 トカ国
343 トンネルのある街
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ツチ町に辺りでは遠くに見えていた山脈が、次のコケ町に着く頃には、その連なった山々がハッキリと見えた。
聞いてた通り、北上するほど高く南下すれば低くなっていた。
ツチ町のギルドに預かった荷物を渡し、国境の街への道を聞き翌日出発。
道幅も広くなり、すれ違う人や馬車も増えてきた。
キ町の辺りは暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい陽気だったが、山脈に近付くにつれて吹き下ろす風が冷たく、夜になると息が白くなるくらい寒くなった。
「国境の街に着いたら着るものを買おう」
「それほど寒くはないわよ」
「これのお陰では?」
ビワがアレナリアに指輪を見せて答える。
「そういえばこの指輪、寒冷耐性の付与がしてあったわね」
「山に近付けばもっと寒くなるだろうし、薄着だと目立つからね」
「いつもみたいにマントで隠せば」
「大きな街に着けば品揃えの良い服屋もあるでしょ。それに冒険者用の無地のマントより、二人は女性用のコートとか服を買った方がいい」
「あちしは?」
「レラの分か……」
「それなら私が作ります。レラ一人分なら、私でもなんとか」
「大変じゃない?」
「大丈夫です。レラの服は私が作るから。それで良い?」
「いいよ」
「なら決まりだ。レラはビワと相談して、どんな服を作ってもらうか決めるといい。必要な生地と道具は街で買い揃えよう」
コケ町を出てから五日後の昼前、トカ国とフギ国の国境の街『ホタテ』に到着。
今まで通ってきた町と比べてもかなり大きい。
山に向かっている道の先には、山の斜面へと入って行く大きなトンネルが見えた。
高い場所に掘られたトンネルは、街の至る所から見え、両国の観光名所になっていた。
トンネルを通るのは貴族や豪商とばかりだと聞いていた通り、街の高台にある一等地には、見るからに高級な宿屋が多く建ち並んでいた。
カズ達一行は街に入ると、冒険者ギルドに近い宿屋を場所を聞き、そこに向かった。
観光地ということもあり宿屋は多かったが、馬車を停めることのできる宿屋は中々見つからない。
馬車が停められる宿屋を見つけても、商店や大通りに行きやすい場所だと、どこも満室。
宿屋を決めるだけで時間が掛かり、見つかった頃にはすっかり暗くなっていた。
馬車を停められる宿屋を確保できたが、一部屋しか空いてなかった。
しかも冒険者ギルドや商店が並ぶ通りからはかなり離れてしまい、街の端にある貧困層が住む場所が近くにあった。
「必要最低限の物だけ出しておいて、他は俺が預かるよ。レラのギルドカードはもちろん預かるが、ビワはどうする?」
「預かってもらいなさい。すられたら大変だから」
「そうします」
ビワのギルドカードを預かったカズは、レラのギルドカードと一緒に【アイテムボックス】にしまい入れた。
宿屋探しで遅くなってしまったため、夕食はあるもので済ませた。
二台しかないベッドは、アレナリアとビワに使わせ、カズは硬い椅子で。
申し訳なさそうにするビワと、布団をめくり隣が空いてるとアレナリア誘う。
当然そんな誘いには乗らず無視。
いくらアレナリアが小さかろうと、一人用の狭いベッドに二人は無理。
本来は二人部屋だが、他に空いていなかったので仕方なかった。
カズは椅子に座って腕を組み〈アラーム〉を使用してから寝た。
◇◆◇◆◇
夜が明ける少し前、アラームが起動したわけではなかったが、カズは不意に目を覚ました。
特に何かあるというわけではなかったが、常時表示させているマップに目を向けると、馬車を停めてある場所に向かう二つの動くマークがあった。
カズはそのまま様子を伺うことにした。
動きを見る限り、馬車の持ち主ではないことは明らか。
停めてある馬車の数は四台、狙いは馬車に置いてある荷物か、あるいは馬車そのものか?
カズは荷物の殆どを持って来ていたので、馬車以外に盗られて困る物は特になかった。
一通り物色してるみたいだけど、うちの馬車はほぼスルーか、まあ盗るような物は乗ってないからな。
一番端の馬車に狙いを定めたか。
面倒事になるのは嫌だけど、盗みをしてるのに気付いて見てるだけってのも……あ、誰か馬車の方に行った。
馬車置き場に向かった人物が、盗みしている二人を発見すると「誰だ! 何をしている!」と、大きな声を発した。
気付かれた二人は、慌てて馬車置き場から逃げた。
「朝から……なんなの?」
眠たそうに身体を起こすアレナリア。
「まだ暗いじゃない。あちしまだ眠いんだから静にして」
起こされたことを怒り、アレナリアの寝る布団に潜るレラ。
「どうかしたんですか?」
「それが…」
ベッドに座って話を聞こうとするが、アレナリアの目は虚ろで今にも倒れそう。
いつも早起きのビワも、まだ眠そうにしている。
「…いや、まだ暗いから寝てていいよ。俺ももう少し寝るから」
「そう…ですか」
アレナリアとビワは横になり寝直す。
カズは静かに部屋を出て、馬車置き場へと向かった。
そこにはさっき声を張り上げた人物、宿屋の主人が居た。
大きな声が聞こえて来たからと言い、知らないふりをして、何があったのか宿屋の主人から話を聞いた。
「ここは貧民地区が近いせいで、盗人が現れるんだ。ついさっきも二人来ていた」
「よく気付きましたね?」
「うちは侵入されてもわかるように、夜は警報のアイテムを使っているんです。ここらの宿じゃそうないですよ。お客さんも馬車持ちでしたね。何か盗られてないか、確認してください」
「分かりました(警報のアイテムか。俺が使ってるアラームと似た効果なのかな?)」
「どうでした?」
「大丈夫です。元々大した物は積んでなかったので」
「そうですか、それは良かったです。朝早くから起こしてしまい申し訳ない。そろそろ明るくなってきますが、もう少し部屋で休まれては?」
「昨日街に着いたばかりなので、周りを少し散歩してきます」
「そうですか。先程も言いましたが、スラムが近いのでお気を付けて」
「はい」
カズは宿屋の主人と別れ、明るくなりつつある街を少し歩いた。
薄暗い路地には、獲物を探すかのような人影がちらほらと。
スラム地区が街の三割もあるのを見る限りでは、貧富の格差が大きく治安も少し悪いようだった。
ここまでに通ってきた町の人々も質素な暮らしをしていたが、この街よりは治安が良かった。
安全性を考えると行動は四人一緒にして、情報収集と買い物を終わらせたら、長居をせずに街を出た方がいいか。
滞在しても、せいぜい三日ってとこだな。
二人…三人か、明るくなってきたのに、まだ尾行してくる。
まいてから宿に戻らないと。
人のいない路地に曲がると、カズは静かに屋根へと飛び上がり、尾行する三人をまいて宿屋に戻った。
部屋に戻ると起きていたのはビワだけ、アレナリアとレラはまだ夢の中。
朝食をビワと用意して二人を起こし、食べ終えると服を買いに出掛ける支度をする。
「レラこっち来て。イリュージョンをかけるから」
「ほ~い」
イリュージョンを使ってレラの姿を小人に見えるようにした。
「飛んじゃ駄目よ。レラは小人族に見えるんだから」
「分かってるって」
「あーその、なんだ。喜んでるとこ悪いが、レラはそっち」
カズは置いてある肩掛け鞄に顔を向ける。
「えぇー! アレナリアに見た目を変えてもらってるんだから、別に出てたっていいでしょ」
「小人族でも珍しいだろ」
「なら他の種族にすれば」
「……例えば?」
「エルフだとアレナリアより小さくなっちゃうし、獣人とかどう?」
「レラくらいの獣人族っている?」
「私は詳しくないので」
ビワは首を横に振り、アレナリアがカズの問に答える。
「獣人の中には小さな種族はいるわよ。でも、人口の多い街で見ないってことは、それこそ珍しい種族ってことになるでしょ」
「まあそうだな。でもそれを言ったら、小人族も珍しいんじゃないか?」
「気付かなかったの? 数は少ないけど、この街に小人族は居るわよ」
「……気付かなかったなぁ。居るんだ、小人」
「私も気付きませんでした!」
この街に小人族が居たことに、ビワも驚いていた。
「パッと見ただけだと、子供と間違えるわね。あ、子供と見間違えると言っても、大人の小人族よ。小人族の子供だったら、レラと同じくらいのも居るわね」
「そうなんだ。だから小人族に見えるようにしたんだ」
「場所にもよるけどね。幸いここは小人族が居るから。でも気を付けないと、愛玩ものとして拐われる危険はあるわ。フェアリーと比べれは、狙われる危険は少ないわ」
「どっちみち狙われるってことか」
三人は肩掛け鞄とレラを見る。
「分かったもん! 入ってればいいんでしょ」
ぷりぷりとしながら、肩掛け鞄に入るレラ。
「もっと快適に移動したいんだけど! 買い物に行くんだから、あちしの可愛い新しい鞄も探してよ!」
「ああ、分かった。と言っても、可愛いのを俺が持つのはさすがに。そこはアレナリアとビワに任せるよ」
「しょうがないわね」
「可愛いの見つかるといいね」
「買い物終わったら、この街のギルドに行ってみよう」
「そうね。この街での冒険者がどの程度のランクか分かれば、うまくすれば護衛としてトンネルを通れるかも知れないわよ」
「おお! それは確か、いや無理だろ」
「元々フギ国に入って山脈を迂回するつもりだったんだから、駄目元で依頼を見てみましょうよ」
「駄目元でな(ギルドに行けば、トンネルの通行料が分かるだろう。全員で金貨二十から三十枚程度なら、トンネルを通って行こう)」
「ええ。駄目元で」
「とりあえず先に買い物だ(アレナリアの提案はいいんけど、四人パーティーの内二人が戦闘ができないから、護衛としてトンネルを行くのは無理だろ)」
この日やることが決まり、先ずは服を買いに大通りへと足を進めた。
聞いてた通り、北上するほど高く南下すれば低くなっていた。
ツチ町のギルドに預かった荷物を渡し、国境の街への道を聞き翌日出発。
道幅も広くなり、すれ違う人や馬車も増えてきた。
キ町の辺りは暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい陽気だったが、山脈に近付くにつれて吹き下ろす風が冷たく、夜になると息が白くなるくらい寒くなった。
「国境の街に着いたら着るものを買おう」
「それほど寒くはないわよ」
「これのお陰では?」
ビワがアレナリアに指輪を見せて答える。
「そういえばこの指輪、寒冷耐性の付与がしてあったわね」
「山に近付けばもっと寒くなるだろうし、薄着だと目立つからね」
「いつもみたいにマントで隠せば」
「大きな街に着けば品揃えの良い服屋もあるでしょ。それに冒険者用の無地のマントより、二人は女性用のコートとか服を買った方がいい」
「あちしは?」
「レラの分か……」
「それなら私が作ります。レラ一人分なら、私でもなんとか」
「大変じゃない?」
「大丈夫です。レラの服は私が作るから。それで良い?」
「いいよ」
「なら決まりだ。レラはビワと相談して、どんな服を作ってもらうか決めるといい。必要な生地と道具は街で買い揃えよう」
コケ町を出てから五日後の昼前、トカ国とフギ国の国境の街『ホタテ』に到着。
今まで通ってきた町と比べてもかなり大きい。
山に向かっている道の先には、山の斜面へと入って行く大きなトンネルが見えた。
高い場所に掘られたトンネルは、街の至る所から見え、両国の観光名所になっていた。
トンネルを通るのは貴族や豪商とばかりだと聞いていた通り、街の高台にある一等地には、見るからに高級な宿屋が多く建ち並んでいた。
カズ達一行は街に入ると、冒険者ギルドに近い宿屋を場所を聞き、そこに向かった。
観光地ということもあり宿屋は多かったが、馬車を停めることのできる宿屋は中々見つからない。
馬車が停められる宿屋を見つけても、商店や大通りに行きやすい場所だと、どこも満室。
宿屋を決めるだけで時間が掛かり、見つかった頃にはすっかり暗くなっていた。
馬車を停められる宿屋を確保できたが、一部屋しか空いてなかった。
しかも冒険者ギルドや商店が並ぶ通りからはかなり離れてしまい、街の端にある貧困層が住む場所が近くにあった。
「必要最低限の物だけ出しておいて、他は俺が預かるよ。レラのギルドカードはもちろん預かるが、ビワはどうする?」
「預かってもらいなさい。すられたら大変だから」
「そうします」
ビワのギルドカードを預かったカズは、レラのギルドカードと一緒に【アイテムボックス】にしまい入れた。
宿屋探しで遅くなってしまったため、夕食はあるもので済ませた。
二台しかないベッドは、アレナリアとビワに使わせ、カズは硬い椅子で。
申し訳なさそうにするビワと、布団をめくり隣が空いてるとアレナリア誘う。
当然そんな誘いには乗らず無視。
いくらアレナリアが小さかろうと、一人用の狭いベッドに二人は無理。
本来は二人部屋だが、他に空いていなかったので仕方なかった。
カズは椅子に座って腕を組み〈アラーム〉を使用してから寝た。
◇◆◇◆◇
夜が明ける少し前、アラームが起動したわけではなかったが、カズは不意に目を覚ました。
特に何かあるというわけではなかったが、常時表示させているマップに目を向けると、馬車を停めてある場所に向かう二つの動くマークがあった。
カズはそのまま様子を伺うことにした。
動きを見る限り、馬車の持ち主ではないことは明らか。
停めてある馬車の数は四台、狙いは馬車に置いてある荷物か、あるいは馬車そのものか?
カズは荷物の殆どを持って来ていたので、馬車以外に盗られて困る物は特になかった。
一通り物色してるみたいだけど、うちの馬車はほぼスルーか、まあ盗るような物は乗ってないからな。
一番端の馬車に狙いを定めたか。
面倒事になるのは嫌だけど、盗みをしてるのに気付いて見てるだけってのも……あ、誰か馬車の方に行った。
馬車置き場に向かった人物が、盗みしている二人を発見すると「誰だ! 何をしている!」と、大きな声を発した。
気付かれた二人は、慌てて馬車置き場から逃げた。
「朝から……なんなの?」
眠たそうに身体を起こすアレナリア。
「まだ暗いじゃない。あちしまだ眠いんだから静にして」
起こされたことを怒り、アレナリアの寝る布団に潜るレラ。
「どうかしたんですか?」
「それが…」
ベッドに座って話を聞こうとするが、アレナリアの目は虚ろで今にも倒れそう。
いつも早起きのビワも、まだ眠そうにしている。
「…いや、まだ暗いから寝てていいよ。俺ももう少し寝るから」
「そう…ですか」
アレナリアとビワは横になり寝直す。
カズは静かに部屋を出て、馬車置き場へと向かった。
そこにはさっき声を張り上げた人物、宿屋の主人が居た。
大きな声が聞こえて来たからと言い、知らないふりをして、何があったのか宿屋の主人から話を聞いた。
「ここは貧民地区が近いせいで、盗人が現れるんだ。ついさっきも二人来ていた」
「よく気付きましたね?」
「うちは侵入されてもわかるように、夜は警報のアイテムを使っているんです。ここらの宿じゃそうないですよ。お客さんも馬車持ちでしたね。何か盗られてないか、確認してください」
「分かりました(警報のアイテムか。俺が使ってるアラームと似た効果なのかな?)」
「どうでした?」
「大丈夫です。元々大した物は積んでなかったので」
「そうですか、それは良かったです。朝早くから起こしてしまい申し訳ない。そろそろ明るくなってきますが、もう少し部屋で休まれては?」
「昨日街に着いたばかりなので、周りを少し散歩してきます」
「そうですか。先程も言いましたが、スラムが近いのでお気を付けて」
「はい」
カズは宿屋の主人と別れ、明るくなりつつある街を少し歩いた。
薄暗い路地には、獲物を探すかのような人影がちらほらと。
スラム地区が街の三割もあるのを見る限りでは、貧富の格差が大きく治安も少し悪いようだった。
ここまでに通ってきた町の人々も質素な暮らしをしていたが、この街よりは治安が良かった。
安全性を考えると行動は四人一緒にして、情報収集と買い物を終わらせたら、長居をせずに街を出た方がいいか。
滞在しても、せいぜい三日ってとこだな。
二人…三人か、明るくなってきたのに、まだ尾行してくる。
まいてから宿に戻らないと。
人のいない路地に曲がると、カズは静かに屋根へと飛び上がり、尾行する三人をまいて宿屋に戻った。
部屋に戻ると起きていたのはビワだけ、アレナリアとレラはまだ夢の中。
朝食をビワと用意して二人を起こし、食べ終えると服を買いに出掛ける支度をする。
「レラこっち来て。イリュージョンをかけるから」
「ほ~い」
イリュージョンを使ってレラの姿を小人に見えるようにした。
「飛んじゃ駄目よ。レラは小人族に見えるんだから」
「分かってるって」
「あーその、なんだ。喜んでるとこ悪いが、レラはそっち」
カズは置いてある肩掛け鞄に顔を向ける。
「えぇー! アレナリアに見た目を変えてもらってるんだから、別に出てたっていいでしょ」
「小人族でも珍しいだろ」
「なら他の種族にすれば」
「……例えば?」
「エルフだとアレナリアより小さくなっちゃうし、獣人とかどう?」
「レラくらいの獣人族っている?」
「私は詳しくないので」
ビワは首を横に振り、アレナリアがカズの問に答える。
「獣人の中には小さな種族はいるわよ。でも、人口の多い街で見ないってことは、それこそ珍しい種族ってことになるでしょ」
「まあそうだな。でもそれを言ったら、小人族も珍しいんじゃないか?」
「気付かなかったの? 数は少ないけど、この街に小人族は居るわよ」
「……気付かなかったなぁ。居るんだ、小人」
「私も気付きませんでした!」
この街に小人族が居たことに、ビワも驚いていた。
「パッと見ただけだと、子供と間違えるわね。あ、子供と見間違えると言っても、大人の小人族よ。小人族の子供だったら、レラと同じくらいのも居るわね」
「そうなんだ。だから小人族に見えるようにしたんだ」
「場所にもよるけどね。幸いここは小人族が居るから。でも気を付けないと、愛玩ものとして拐われる危険はあるわ。フェアリーと比べれは、狙われる危険は少ないわ」
「どっちみち狙われるってことか」
三人は肩掛け鞄とレラを見る。
「分かったもん! 入ってればいいんでしょ」
ぷりぷりとしながら、肩掛け鞄に入るレラ。
「もっと快適に移動したいんだけど! 買い物に行くんだから、あちしの可愛い新しい鞄も探してよ!」
「ああ、分かった。と言っても、可愛いのを俺が持つのはさすがに。そこはアレナリアとビワに任せるよ」
「しょうがないわね」
「可愛いの見つかるといいね」
「買い物終わったら、この街のギルドに行ってみよう」
「そうね。この街での冒険者がどの程度のランクか分かれば、うまくすれば護衛としてトンネルを通れるかも知れないわよ」
「おお! それは確か、いや無理だろ」
「元々フギ国に入って山脈を迂回するつもりだったんだから、駄目元で依頼を見てみましょうよ」
「駄目元でな(ギルドに行けば、トンネルの通行料が分かるだろう。全員で金貨二十から三十枚程度なら、トンネルを通って行こう)」
「ええ。駄目元で」
「とりあえず先に買い物だ(アレナリアの提案はいいんけど、四人パーティーの内二人が戦闘ができないから、護衛としてトンネルを行くのは無理だろ)」
この日やることが決まり、先ずは服を買いに大通りへと足を進めた。
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