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二章 アヴァランチェ編
90 試作品のソース と 重力魔法
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昼食を食べたので、伝言どおりシャルヴィネの店に向かった。
たぶん用事の内容は、マヨネーズのことだろう。
なので今回は、お店の入口ではなく、従業員用の裏口から訪ねて行く。
従業員に話が通っていたので、シャルヴィネの部屋に案内してくれた。
「こんにちは。シャルヴィネさん」
「カズさん。わざわざ来ていただき、ありがとう」
「いえ大丈夫です。シャルヴィネさんには、いつもお世話になっていますから。それで話とは、 マヨネーズのことですか?」
「はい。幾つか試作品を作ったので、カズさんに確かめてもらおうかと」
「分かりました」
商談に使っている机には、小ビンが並べられている。
「取りあえず、この都市で手に入る柑橘類を使って、作ってみた物です」
シャルヴィネに言われて、並べられている小ビンから、少しずつ出し味見をする。
作ってある中で良さそうなのは、三つだけで、より近い物は一つあるが、少し油が強い感じかする。
「どうでしたか?」
「こちらに分けた小ビンの物は、残念ながら油が分離していたり、味があまり良くない物です。そしてこちらの二つが、柔らか過ぎです。お店で食べるならいいですが、持ち帰りの料理には向かないですね。この一つだけが、俺が持ってきた物に、わりと近いと思います」
「なんほど、これ一つだけですか」
「こんなに作ってくれてのに、厳しくてすいません」
「いえとんでもない。こうハッキリと言ってもらった方が、改良点が分かりますので、助かります。それで、どうしたら良いと思いますか?」
「そうですね……この試作品を作った方は、料理人ですか?」
「ええ。私がオーナーをしている店で、厨房を仕切ってる者です。その彼を中心に、数人で色々と作ってみたんですが」
「シャルヴィネさん、これを味見してください」
キッシュとクリスパが作ったマヨネーズを出して、シャルヴィネに味見してもらう。
「どうですか?」
「なんと言うか、こちらの方が食べやすいです。私共のつくった方は、少し固いと言うか、出来たての熱い肉料理等に、合いそうな感じのソースです」
「シャルヴィネさんの話を聞くと、おそらくこれは、中心になって仕切っていた、料理人の方が作ったので、主に肉料理を得意としているとか?」
「そうです」
「今までの試作品も、それぞれ得意とする料理に、合わせる味のソースに、近づけてしまったんでしょう。サラサラしたソースを作っている方は、柔らか目のソースになったりと、自分の癖が、無意識に出たんでしょうね」
「なるほど。それはあるかも知れないですね。カズさんが持ってきたソースは、どうされたんですか?」
「これは女性が作ったんですよ。シャルヴィネさんのところは、女性はいましたか?」
「アヴァランチェに居るうちの料理人は、全員男性です」
「シャルヴィネさんがマヨネーズを、庶民の人達に広めてくれるのであれば、家庭料理を作ってる女性や、子供の意見を参考に、作っても良いと思いますが」
「家庭料理を作る女性や、子供の意見ですか……」
「俺が最初に持ってきたマヨネーズと、同じ物を作るのは難しいでしょう。ですが、その土地にあった物を、作れば良いと思います。マヨネーズの基本は『油 卵 酢』の三つですから、あとは試行錯誤して、より良い物を、安く買えるような物を作ってほしいです。そう言った意味では、作ってくれた試作品は、それぞれ個性があって、改良すれば、作った方(料理人)の料理に合うソースになると思いますよ。『酢』が無いので、柑橘類で試してもらってるんてすけど」
「長年やってる商売のことで、カズさんに言われてしまうとは、これは参りましたな」
「生意気なことを言って、すいません」
「いえいえそんな、そう言った意見は、良い品物を作るのに、大切なことですから、私共にとっても、ありがたいことです。それで、今お持ちいただいたソースは、いったい誰が作ったんですか?」
「リアーデの、ココット亭は分かりますよね」
「はい。カズさんに紹介したのは、私ですから」
「そこのキッシュと、リアーデの冒険者ギルドで、サブマスをしている、クリスパさんと二人で作ったんですよ。今アヴァランチェに来ていて、食べたいと言ったので、作り方を教えたら」
「そうですか。私どもより良い物を、先に作られてしまうとは」
「そのことでシャルヴィネさんに、ご相談なんですが」
「なんでしょう?」
「もしキッシュ達が作ったマヨネーズを改良して、売るのであれば、今回のレシピ等の代金は、ココット亭のキッシュと、クリスパさんに渡してもらえますか? それと作った物を、ココット亭で使う許可も」
「私は構いませんが、よろしいのですか? レシピとアイデア料だけでも、結構な額になりますが」
「お願いします。それに、この都市に居る間だけなら、二人に意見を聞いてもらっては? それに味見をさせるなら、ここの冒険者ギルドのサブマスも、良いかも知れませんよ。マヨネーズがお気に入りですから」
「それは願ったり叶ったりです。そうすれば、より良い品物が、早く出来そうです」
「では三人には、話しておきますので、冒険者ギルドのサブマスに、伝言を言ってもらえれば」
「分かりました」
「急にこんなことを言って、申し訳ないです。俺は明日か明後日にでも、アヴァランチェを離れると思うので」
「そうなんですか! 失礼ですがどちらへ?」
「王都に行くことになりまして」
「王都まで……そうですか。実は私も、このソースが出来たら、王都の店で売ろうかと思ってまして」
「王都にも、お店をお持ちなんですか!」
「数件ですがありますので、その内に、また会うかもですね」
「その時は、またシャルヴィネさんを訪ねて行きますので、よろしくお願いします」
「はい。お待ちしてます。今回も、貴重なご意見ありがとうございました」
「お役に立てたなら、良かったです」
シャルヴィネとの商談の話は終わり、店を出で行く。
夕方までは時間があるので、魔法を試そうかと思い、人目を避けて誰も居ない路地裏で〈ゲート〉を使って、最初にこの世界に来た森へ移動する。
森に移動したら【マップ】を見て、人が居ないことを確認したら、森の中にある少し開けた場所で【アイテムボックス】から、魔法の本を取り出し、飛翔と重力の魔法を試してみる。
先ずは『重力魔法』を試してみることにするが、この本には説明が曖昧な部分もあり、少し解りにくい。
使用する空間又は物体を認識し、一定方向へと引っ張られるマナを発生させる。
地の方向へ向けると重力となり、空へと向けると反転した重力となると、書いてある。
う~ん……空へ向ける重力って……
俺にも分かるように、訳してくれないかな?
結局は『想像して創造する』ってことになるのか!?
取りあえず実際にやってみるかな。
飛翔や重力の、魔法や能力なんかは、漫画やアニメで見たことあるから、それを思い出せば、イメージしやすいしな。
魔法の試す為の対象を、近くにあった枯れ木にする。
枯れ木から5mぐらい離れて、重力魔法を使ってみる。
枯れ木を中心に周囲1mを対象とし、地面に引き寄せられることをイメージして、魔力を込めて、魔法名を唱える。(ありがちな感じの)
「〈グラヴィティ〉」
すると、対象となった枯れ木は、枝が折れ、音をたてて崩れた。
この時【万物ノ眼】で、重力の強さと、枯れ木の状態を確認した。
重力事態は、二倍にもならない程度で、枯れ木は、大人の男性が力を込めれば、へし折れる程度の強度しかなかった。
これを踏まえて考えると、体重が60㎏の人が、100㎏ぐらいになる程度の、重力が掛かったことが分かった。
いつも使う魔法のように、魔力を少し加減して、この程度の威力なので、少し練習をすれば、人相手にも使えそうだ。
この重力魔法を、ある程度使えるようになってから、飛翔魔法を試すことにする。
それから暫く重力魔法を練習した。
地面に引き寄せられる『重力(引力)』だけではなく、地面に引き寄せられるとは反対の『反重力(斥力)』も試した。
反重力(アンチグラヴィティ)は、 魔力の加減を気を付けないと、軽くなり過ぎて、風が吹いただけで飛ばされてしまう。
しかも反重力を使用中に、急に魔法を解除したり魔法の効果が切れたりすると、身体に一気に重みが掛かるで注意だ。
自分や味方を対象に使う場合は、徐々に重力魔法の効果が弱まるように、使用した方が良さそうだ。
たぶん用事の内容は、マヨネーズのことだろう。
なので今回は、お店の入口ではなく、従業員用の裏口から訪ねて行く。
従業員に話が通っていたので、シャルヴィネの部屋に案内してくれた。
「こんにちは。シャルヴィネさん」
「カズさん。わざわざ来ていただき、ありがとう」
「いえ大丈夫です。シャルヴィネさんには、いつもお世話になっていますから。それで話とは、 マヨネーズのことですか?」
「はい。幾つか試作品を作ったので、カズさんに確かめてもらおうかと」
「分かりました」
商談に使っている机には、小ビンが並べられている。
「取りあえず、この都市で手に入る柑橘類を使って、作ってみた物です」
シャルヴィネに言われて、並べられている小ビンから、少しずつ出し味見をする。
作ってある中で良さそうなのは、三つだけで、より近い物は一つあるが、少し油が強い感じかする。
「どうでしたか?」
「こちらに分けた小ビンの物は、残念ながら油が分離していたり、味があまり良くない物です。そしてこちらの二つが、柔らか過ぎです。お店で食べるならいいですが、持ち帰りの料理には向かないですね。この一つだけが、俺が持ってきた物に、わりと近いと思います」
「なんほど、これ一つだけですか」
「こんなに作ってくれてのに、厳しくてすいません」
「いえとんでもない。こうハッキリと言ってもらった方が、改良点が分かりますので、助かります。それで、どうしたら良いと思いますか?」
「そうですね……この試作品を作った方は、料理人ですか?」
「ええ。私がオーナーをしている店で、厨房を仕切ってる者です。その彼を中心に、数人で色々と作ってみたんですが」
「シャルヴィネさん、これを味見してください」
キッシュとクリスパが作ったマヨネーズを出して、シャルヴィネに味見してもらう。
「どうですか?」
「なんと言うか、こちらの方が食べやすいです。私共のつくった方は、少し固いと言うか、出来たての熱い肉料理等に、合いそうな感じのソースです」
「シャルヴィネさんの話を聞くと、おそらくこれは、中心になって仕切っていた、料理人の方が作ったので、主に肉料理を得意としているとか?」
「そうです」
「今までの試作品も、それぞれ得意とする料理に、合わせる味のソースに、近づけてしまったんでしょう。サラサラしたソースを作っている方は、柔らか目のソースになったりと、自分の癖が、無意識に出たんでしょうね」
「なるほど。それはあるかも知れないですね。カズさんが持ってきたソースは、どうされたんですか?」
「これは女性が作ったんですよ。シャルヴィネさんのところは、女性はいましたか?」
「アヴァランチェに居るうちの料理人は、全員男性です」
「シャルヴィネさんがマヨネーズを、庶民の人達に広めてくれるのであれば、家庭料理を作ってる女性や、子供の意見を参考に、作っても良いと思いますが」
「家庭料理を作る女性や、子供の意見ですか……」
「俺が最初に持ってきたマヨネーズと、同じ物を作るのは難しいでしょう。ですが、その土地にあった物を、作れば良いと思います。マヨネーズの基本は『油 卵 酢』の三つですから、あとは試行錯誤して、より良い物を、安く買えるような物を作ってほしいです。そう言った意味では、作ってくれた試作品は、それぞれ個性があって、改良すれば、作った方(料理人)の料理に合うソースになると思いますよ。『酢』が無いので、柑橘類で試してもらってるんてすけど」
「長年やってる商売のことで、カズさんに言われてしまうとは、これは参りましたな」
「生意気なことを言って、すいません」
「いえいえそんな、そう言った意見は、良い品物を作るのに、大切なことですから、私共にとっても、ありがたいことです。それで、今お持ちいただいたソースは、いったい誰が作ったんですか?」
「リアーデの、ココット亭は分かりますよね」
「はい。カズさんに紹介したのは、私ですから」
「そこのキッシュと、リアーデの冒険者ギルドで、サブマスをしている、クリスパさんと二人で作ったんですよ。今アヴァランチェに来ていて、食べたいと言ったので、作り方を教えたら」
「そうですか。私どもより良い物を、先に作られてしまうとは」
「そのことでシャルヴィネさんに、ご相談なんですが」
「なんでしょう?」
「もしキッシュ達が作ったマヨネーズを改良して、売るのであれば、今回のレシピ等の代金は、ココット亭のキッシュと、クリスパさんに渡してもらえますか? それと作った物を、ココット亭で使う許可も」
「私は構いませんが、よろしいのですか? レシピとアイデア料だけでも、結構な額になりますが」
「お願いします。それに、この都市に居る間だけなら、二人に意見を聞いてもらっては? それに味見をさせるなら、ここの冒険者ギルドのサブマスも、良いかも知れませんよ。マヨネーズがお気に入りですから」
「それは願ったり叶ったりです。そうすれば、より良い品物が、早く出来そうです」
「では三人には、話しておきますので、冒険者ギルドのサブマスに、伝言を言ってもらえれば」
「分かりました」
「急にこんなことを言って、申し訳ないです。俺は明日か明後日にでも、アヴァランチェを離れると思うので」
「そうなんですか! 失礼ですがどちらへ?」
「王都に行くことになりまして」
「王都まで……そうですか。実は私も、このソースが出来たら、王都の店で売ろうかと思ってまして」
「王都にも、お店をお持ちなんですか!」
「数件ですがありますので、その内に、また会うかもですね」
「その時は、またシャルヴィネさんを訪ねて行きますので、よろしくお願いします」
「はい。お待ちしてます。今回も、貴重なご意見ありがとうございました」
「お役に立てたなら、良かったです」
シャルヴィネとの商談の話は終わり、店を出で行く。
夕方までは時間があるので、魔法を試そうかと思い、人目を避けて誰も居ない路地裏で〈ゲート〉を使って、最初にこの世界に来た森へ移動する。
森に移動したら【マップ】を見て、人が居ないことを確認したら、森の中にある少し開けた場所で【アイテムボックス】から、魔法の本を取り出し、飛翔と重力の魔法を試してみる。
先ずは『重力魔法』を試してみることにするが、この本には説明が曖昧な部分もあり、少し解りにくい。
使用する空間又は物体を認識し、一定方向へと引っ張られるマナを発生させる。
地の方向へ向けると重力となり、空へと向けると反転した重力となると、書いてある。
う~ん……空へ向ける重力って……
俺にも分かるように、訳してくれないかな?
結局は『想像して創造する』ってことになるのか!?
取りあえず実際にやってみるかな。
飛翔や重力の、魔法や能力なんかは、漫画やアニメで見たことあるから、それを思い出せば、イメージしやすいしな。
魔法の試す為の対象を、近くにあった枯れ木にする。
枯れ木から5mぐらい離れて、重力魔法を使ってみる。
枯れ木を中心に周囲1mを対象とし、地面に引き寄せられることをイメージして、魔力を込めて、魔法名を唱える。(ありがちな感じの)
「〈グラヴィティ〉」
すると、対象となった枯れ木は、枝が折れ、音をたてて崩れた。
この時【万物ノ眼】で、重力の強さと、枯れ木の状態を確認した。
重力事態は、二倍にもならない程度で、枯れ木は、大人の男性が力を込めれば、へし折れる程度の強度しかなかった。
これを踏まえて考えると、体重が60㎏の人が、100㎏ぐらいになる程度の、重力が掛かったことが分かった。
いつも使う魔法のように、魔力を少し加減して、この程度の威力なので、少し練習をすれば、人相手にも使えそうだ。
この重力魔法を、ある程度使えるようになってから、飛翔魔法を試すことにする。
それから暫く重力魔法を練習した。
地面に引き寄せられる『重力(引力)』だけではなく、地面に引き寄せられるとは反対の『反重力(斥力)』も試した。
反重力(アンチグラヴィティ)は、 魔力の加減を気を付けないと、軽くなり過ぎて、風が吹いただけで飛ばされてしまう。
しかも反重力を使用中に、急に魔法を解除したり魔法の効果が切れたりすると、身体に一気に重みが掛かるで注意だ。
自分や味方を対象に使う場合は、徐々に重力魔法の効果が弱まるように、使用した方が良さそうだ。
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相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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