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一章 リアーデ編

16 依頼をこなしてランクを上げよう 2 魔法 と イメージ

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 草を刈る魔法……風で切り裂けばいのか!
 風で切り裂くから……ウィンドカッターかな? やってみるか。
 まず【マップ】の範囲を広げてと、他に人は居ないようだから、魔法使っても見れることはそうだな。
 草が切れるイメージで、右手を前に出し、ゲームで出てきた魔法名を唱える!
 これで何も起こらなかったら、みっともねないな。

「ウィンドカッター……何も起きない(恥ずい。誰も居なくて良かった。ただの痛い人にだよ)」

 失敗することを、考えてしまったからダメなのか!?
 もっとしっかり想像して、イメージを固めて風の刃を出す。
 魔力を押さえる、威力を押さえる……よし!

「〈ウィンドカッター〉」

 カズが右手を前に出し、想像した魔法名を唱えると、三日月状のうっすらした白い物が真っ直ぐ飛び出した!
 すると正面にある長い草が、一気に切り裂かれた。(約 幅1m 距離15m程)


 成功だ! 威力に射程も、この程度なら問題ないだろう。
 発音はさっぱりダメだろうけど。
 あとは『術』みたいな『技』とかでも使えるかな?
 無理か魔法じゃないし……でもやってみるか! いろいろ試さないと。
 今度はアニメで見たのを、確かこんな風にやってたっけな。
 右手の人差し指と中指だけを揃えて立てて、左から右に払う動作をして、技名を唱える。

「《風刃斬(ふうじんざん)》」

 右手から放たれた風の刃は、先程のウィンドカッターとは違い、正面に見える草を扇状に大幅に切り裂いていた。(約 幅最大10m 距離25m程)

 うぉ! なんだこれ!? 危ない…誰も居なくて良かったけど、そうじゃなかったら……。
 しかしどうなってるんだ? 魔法と技で、こうも威力が変わるものなのか? それとも魔法は発音が悪いから低威力なのか? 『技』は動作付きでやったことで変わったのか?
 これも調べる必要があるけど、どこで試すかだよな……。
 切り裂かれた草原を見まわし、どうしたもんかと悩んでしまう。
 考えてたら、腹がへった。


 片寄った知識にある魔法を使えたのが分かったので、カズは少し休憩をすることにした。
 出発する前に、街の露店で買っておいた焼き鳥を【アイテムボックス】から出し、食べてからジャンピングラビットを、探すことにした。


 草が短くなって、多少は見やすいから、これでジャンピングラビットを探しやすくなったな。


 【マップ】を見ると、近くに一つだけ黒い点があるので、その近くまで行って、様子を見る。
 すると気付かれたのか、何かが飛び出してきた。
 よく見ると、見た目はウサギに似てるが、後ろ足だけ異常に発達している。

「バッタかよ!(思わずツッコンでしまった)」

 依頼書では、毛皮が必要だと書いてあったから、どう捕らえるか?
 また石を投げて倒すか……いや、せっかくだから、魔法の練習がてらやってみるか。
 ウィンドカッターだと切ってしまうからダメだし、電撃と出せないかな?
 ライトニングボルトは威力が大きそうだからもっと弱い攻撃の……ライトニングショットでどうだ?
 スタンガン程度の電撃と思えばいけるか。(スタンガン使ったことないけど)
 威力を押さえて、風刃斬の二の舞にならないようにしてイメージ……目標定めて放つ!

「〈ライトニングショット〉」

 右手から青白い電撃が出て、目標に直撃した。
 ジャンピングラビットは、その場で痺れて動かなくなった。

「良い感じに成功じゃないか! ここの調子でどんどん行こう!」

 【マップ】で見つけて近づけく。
 そして飛び出てきたところを〈ライトニングショット〉で撃つ、うまくいってるぞ。
 そうしている間に、八匹ものジャンピングラビットを倒したか。
 中には一撃で倒せない個体もいたから、威力的には問題なさそうだな。


 カズは倒したジャンピングラビットを、全てを【アイテムボックス】に入れた。

 五匹で良かったんだっけ。
 まぁいいかアイテムボックスに入れて置けば、邪魔にもならないしな。
 最後にライトニングボルトも、最小限の威力で使ってみるか!
 さっきまでと同じように、目標を定めて放つ。(最小限の威力で)

「〈ライトニングボルト〉」

 放たれた魔法は、バリバリと音を立ててジャンピングラビットを貫通して、地面に深さ30㎝ほどの穴をあけた。


 おいおい威力ありすぎたろ! ジャンピングラビットを貫通した所が、大きく焦げてるよ。
 もしこれで『技名』で、電撃や雷撃なんて言ったら……今日はもう終了して帰ろう。
 なかなか上手くいかないもんだないかんな。
 一人だと、どうも独り言が出てしまう、最近はなかったんだけど、気を付けないとな。
 あ、また言ってる。


 カズは焦げたジャンピングラビットも【アイテムボックス】に入れて、街に戻ることにした。


 ウサギすまん。
 どうかこの痕跡が見つかっても、変に思われませんように。
 クリスパさんには、伝わりませんように……は! 絶対ダメだ!
 ここで祈っても、願いの先はあれ(チャラ神)だよ。
 神様が存在するのに『神頼み』に、全然まったく期待できない。


 カズはそそくさと逃げるように、その場を後にして街へ戻って行く。
 幸いなことに、誰にも会うことはなかった。
 街に近付き、さっきのことが気になって思い返す。


 ジャンピングラビットは、なんでマップに黒く表示されたんだろう?
 今夜寝る前に、ステータスを確認してみるかな。


 西門から入り街へと戻ったが、まだ日が高いので、ギルドへは行かず買い物に行くことにした。


 冒険者になったのに、なんにも装備してないんだよな。
 何か武器ぐらいは持っていたい。
 ドワーフの鍛冶屋に行ってみるか。
 西門の近くだからすぐそこだし、武器置いてあるかな?


 カズは昨日キッシュと来た鍛冶屋に着いたので、中に入る。

「ごめんください」

「誰じゃ謝ってるのは、何かしたのか?」

「いえ、そういう訳じゃなくて、お邪魔しますと」

「なんだ客かい。おや! あんた昨日、鍋持ってきた嬢ちゃんの連れじゃないか」

「あ、はい。昨日はどうも」

「で、今日はどうしたんじゃ? また何か修理するのか?」

「修理ではないんですけど、ここ鍛冶屋なので、何か武器は置いてあるかと」

「武器? 壊したか無くしたのか?」

「いえ、俺冒険者になったばかりなので、武器も装備品も持って無いので、そろそろ武器ぐらは持っておかないと、と思って来たんですが」

「それなら、街の装備屋に行けば良いじゃろ」

「この街にも来たばかりで、店も知らないので、鍛冶屋に来ればあるかと思いまして」

「店の場所なんか、その辺で聞けば良いじゃろ。まぁええ、ちょっと待っとれ」

 店主のドワーフが店の奥に入って行き、幾つかの剣や槍などを持ってきた。

「ほれ。このならどれでも、金貨一枚(10,000GL)でええぞ」

「金貨一枚? やけに安くないですか?」

「わしが試しに作った物じゃから、もともと売り物ではないんじゃよ『見習い冒険者』にはちょうどええじゃろ」

「そうですね『見習い冒険者』には、ありがたいです。金銭的にもありがたいですよ」

「ガッハッハッハ正直な奴じゃ。そんなんで良ければ、いつでも来ればええさ」

 ドワーフが持ってきた物をよく見て、確めてから選らぶことにする。
 大きさ長さもまちまちで、大き過ぎても小さ過ぎても使いづらい、どうしようかな……あれ? これはまさか!

「お! あんたその剣を選んだのか」

「これも作ったんですか?」

「ああ。昔見た遺物(アーティファクト)を真似て作った物の一本さ」

「これにします。あと、このナイフも下さい」

「まいどあり。そのナイフは銀貨四枚(4,000GL)でええぞ」

「ありがとうございます」

 カズは買った武器を【アイテムボックス】に入れ、鍛冶屋を出てギルドへと向かう。
 ギルドに着き中へ入ると、カズは寒気を感じたので、受付のクリスパを見ると、笑顔でじっとカズを見る。


 嫌な予感しかしない。
 こんな時に限って、受付にはクリスパさん一人だけ。
 行きたくないが、すでに見つかってるから行くしかないか。

「ど、どうも。依頼が終わったので報告を…」

「お疲れ様です。素材の採取でしたね。でしたら、あちらの部屋で素材を渡してください。その後で、依頼書を持って再度こちらへ来てください」

 ギルドに入って右奥の階段の下にある扉には、素材受取場と書いてある。

「はい。分かりました」

 あれ? さっきの寒気と視線は、気のせいだったのかな??
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