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一章 リアーデ編
13 再会 と クリスパの過去
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一階に下りクリスパがまだ来てないことを確認して、支度を手伝おうかと食堂にいった。
「女将さん、何か手伝いますか?」
「いや、もう支度は終わってるから、お連れさんが来るのを座って待ってな」
「そうですか。じゃあ、そうします」
適当な席に座り待っていたら、キッシュが話しかけてきた。
「ねぇねぇカズさん。訓練してくれた人って誰なんですか?」
「ああ、ギルドで受付をしてた女性だよ。結構な実力者みたいでね」
「女性! どんな感じの? 美人さんなんですか?」
「う~ん。見た目は、美人ではあるかな。でも怒ると怖そうな人でもあるな」
「美人だけど怒ると怖い人?」
「こんなこと言ってたてのは、ナイショだよ!」
「私だって初めての人に、怖そうとか言いませんよ」
「それはそうか。ならいいんだけど」
そのとき店の入口が開き、人が入って来た。
「こんばんは」
「! 来たかな。俺が行きます」
「あ、カズさんお待たせ。遅かった?」
「いえ、ちょうとです。こっちが食堂ですからどうぞ」
「久しぶりだなぁ。変わらないや」(ボソッ)
「何か言いましたか?」
「フフフっ」
「?」
俺は食堂に入って女将とキッシュに、連れがが来たことを伝えた。
「女将さんキッシュ、話してたお客さんが来たので、料理お願いします」
「あいよ。いらっしゃ……クリスパ!」
「え! クリ姉? クリ姉だ! クリ姉だ!!」
「久しぶり。義母さんキッシュ」
三人は涙目になり抱き合っていた。
「カズさんが連れて来る女性のお客さんて、クリ姉のことだったの!」
「二人はクリスパさんと知り合い? それにクリ姉に義母さん? 親子!?」
「知り合いも何も、クリ姉は私達の家族! クリ姉は私と同じで、栗色の髪をしてるからクリ姉。クリスパの『クリ』と『栗色のクリ』でクリ姉!」
それじゃ『クリクリ姉』になっちゃうぞって、キッシュに突っ込んでやりたい。
「キッシュしかそう呼んでないけどね」
「私が考えたんだもん」
こっちの世界にも栗はあるんだ。
って、今はそんなことどうでもいい。
「家族……クリスパさん、ココット亭の名前出しても、何にも言ってなかったじゃないですか?」
「どっちも驚かそうと思って、黙ってたの」
「クリスパ久しぶりだね。とりあえず座んな。料理出すから、皆で食事にしよう」
「うん。義母さんありがとう」
「クリスパさん。どういうことか説明してくれますか?」
「そうですね。カズさんの話を聞く前に、私達の話を聞かせましょうか。義母さん、キッシュ話して良い?」
「私はカズさんなら良いけど、お母さんは?」
「私もカズなら良いと思うよ。でも話は食事の後でいいだろう。せっかくの料理が冷めちまうからさ」
俺っていつの間にか、凄い信用されてる! まあ話も聞きたいが、とりあえず食べよう。
「義母さんの料理久しぶりだな。変わらずに美味しい」
「そうかい。こんなんで良ければ、いつでも食べに来れば良いさ」
「そうだよクリ姉。しかも今日は、カズさんから貰ったイノボアのお肉があるんだよ」
「キッシュは相変わらずの食いしん坊ね」
「クリ姉まで言うの。カズさんにも言われたし、もう少し食べるの我慢しようかな」
「何を言ってるの、キッシュはそのままで良いのよ。カズさんもそう思うでしょ」
「そうだね。キッシュはそのままの方が良いに決まってる。食いしん坊じゃなかったら、キッシュじゃない!」
「ちょっとカズさん、それ言い過ぎじゃないですか! そんなに私って食いしん坊かな?」
「そうだね!」
「そうよ!」
「そうさ!」
「皆してひど~い」
この後も皆で、楽しい食事をした。
今日は他のお客が来ないので、そのまま食堂で話をすることになった。
「ご馳走さま。料理もお酒も美味しかった!」
「そりゃ良かったよ。話があるんだろ、私は後片付けをするから、キッシュも休んでな」
「は~い。ありがとうお母さん」
「それじゃあ、私達の話からしましょうか」
クリスパが自分とココット亭の経緯を話しだす。
「結論から言うと、私達は本当の親姉妹じゃないのよ。それに私は、もともと孤児だったの」
ーーーーーーーーーーーーーーー
十年ほど前まで、私はある小さな町の教会に居たの。
そこは戦争や捨子で親を失った子供達を、とても優しい年配の夫婦が二人だけで、小さな子供を十数人も育てていたわ。
覚えてる限りでは、その数年前まで私も各地を転々とし、その日を生きて行くだけで精一杯で、悪いこともした。
そしてまた盗みをしようと、入った所が教会だったの。
私はいつものように、部屋を物色していたら、教会に居た子供達に見つかりそうになって、外に出て身を潜めていた。
そこを教会に住んでる夫婦に、見つかってしまったの。
だけど夫婦は、私を咎めもせず教会に招き入れて『お腹空いたろ子供達と一緒に食事をしよう』と言ってきて、料理を振る舞ってくれた。
最初は私を油断させて捕まえるつもりだと思ったけど、とてもお腹が空いて仕方がなく、教会に入って食事をしたわ。
教会の中にはいろいろな子供がいたわ。
『戦争で親と足を失った少年』『森に捨てられてた少女』は獣に襲われ、逃げて逃げてなんとか森から出たところに、夫婦が通りかかり、助けてくれたと言っていたわ。
そこで私は『ここに居る子供達と同じなのかも』と思ってしまった。
でも気付いたの、悪いことをして私は汚(けが)れてる、この子達とは違うと。
食事を振る舞ってくれたお礼を言って、盗みに入ったことを謝り出て行こうとしたら『住む所がないならここに居るかい』なんてことを言ってきたの。
それで私は言った『私は悪いこともいっぱいして汚(けが)れてる』そんな私を誘うの? おかしいよ! って。
でも夫婦は言ったの『そんなことはない、君は汚(けが)れてなんてない。生きるために一生懸命だった、ただそれだけだからここに居て良いんだよ』って。
盗み入ったのに、おかしいと思った。
でも行く宛もないし、危ないと思ったらすぐに逃げればと……いつもそうしていたから。
そして私は教会に住むことにしたわ。
長居はしないと思ってたし、私のことを子供が怖がれば、出て行く理由にもなる。
その方が気が楽だから。
それが逆に、こんな私を怖がるどころか、しつこく付きまとってくるの、しかも『皆がいっつも笑って』こんな境遇で、なんで笑ってられるのか、私は苛立ちを覚えたわ。
それからというもの、私は子供達と向き合うことはせず、常に一人で居たわ。
でも教会を出て行こうとはしなかった。
打ち解けようと正面切って向かって来る子供達を見ていたら、私は自分よりも小さい子供達からも逃げようとするのって、思ってしまった。
このまま逃げ続ければ、私はもう人ではなくなってしまう、心がなくなってしまうと……。
当時の私は、いったい何を考えていたのか。
そんな生活をして、二十日ほどが経ったある日、盗賊が町に侵入して潜伏してると、町人が話していたわ。
そんなことを知らない教会の子供達は、近くに傷付いて隠れていた人を助けるため、教会に招き入れてしまったの。
盗賊とは知らずにね。
近所の人が気付き、すぐに町に在中している衛兵を呼びに言ったわ。
衛兵達がすぐに駆けつけたけど、盗賊は子供を人質に取り逃げようとした。
人質になったのは、毎日笑顔で私に話し掛けてきた男の子だった。
なんとも思ってなかった私だけど『助けてあげないと』なぜかそう思った。
でも怖くて体か動かなかった、泣いている子供を見ているだけで、自分には力がない、衛兵に任せるしかないと。
でも教会に居るのは身寄りのない孤児達、衛兵は構わずに盗賊を捕らえようとした。
そのすぐあとに起きたことは、あまり思い出したくもないわ……。
衛兵が取り押さえようと槍で攻撃したの、すると盗賊は迫り来る槍を、子供で受けて逃げようとした。
子供は突き出された槍に刺されたわ。
衛兵は気にもせずに槍を抜き、盗賊を捕らえた。
私は刺された子供に駆け寄り、傷口を押さえ血を止めようとした、辺りが血で真赤になり、だんだんと冷たくなる身体……私は自分の力のなさを恨んだ。
その子は言ったの『お姉ちゃん。いつも笑顔でいれば、きっと幸せになれるから皆と笑っていて』って……それが最後の言葉だったわ。
盗賊が捕らえられてから数日後、衛兵が教会にやって来てこう言ったの。
『ここのガキ共が盗賊を匿った。だがここでガキ共を捕らえても面倒なだけだから、この教会居る者全て町から追放と決定した。明日までに町から出ていってもらおう。これは慈悲だ。もし町に残っていたら殺処分する』と。
同じ人とは思えなかったわ。
私達は家畜かっての。
人質になった子供を助けようともしないで、何が慈悲よ! 衛兵が憎かった。
それと同じく、私自身も憎かった。
なんであの時こんな奴等に任せたんだ、なぜあの時に体が動かなかったんだ、所詮私も自分の身が大事なだけの、グズなんだって。
でもあの子が言ったから、せめて皆だけは。
その夜に私は、教会の夫婦と相談した。
私も皆の手助けをするから、どこか安全な場所で皆で暮らそう『あの子が最後に言った言葉を、皆の笑顔をなくさない』って 。
夫婦は言うには、大人が歩いて五日はかかるけど、前に知り合いが住んでた小さな村に行けば、なんとか暮らして行けるかも。
小さな子供も居るけど、皆ここに居たら殺されてしまうから、選択の余地はなかった。
翌日その村を目指して、出発することに決まった。
でもそうことはうまくいかなかったの。
そのとき私が居た国で政権争いが起きて、国が半分に割れ戦いが起きようとしていたの。
私達が居た側は、今までの政権派で、一般兵を集めるために、成人している人々が強制的に連れて行かれた。
その国で『成人は16歳』『当時の私は14歳』でも町の記録では、私は16歳ということにされたの。
盗賊の事件のときに、教会の皆は衛兵に質問されたわ。
私は歳を聞かれて14歳と答えた、でも記録は16歳…改竄されたの。
身分証なんて商人でもないと、持ってないからね……最低の国。
夫婦の二人は足が少し不自由だったために、足手まといになると連れて行かれることはなく、子供達をそのまま育てることができたわ。
だけど私はこの国に居ると、戦い駆り出されてしまう、だから私は国を出て行きなさいって言われた。
今なら山中を越えて行けば、国を出られる。
私は言った『一人で行くことなんてできない、行くなら皆で一緒に国を出よう』って。
でも小さな子供と、足が不自由な二人が山を越えられるわけがない。
私は分かっていた……でもまた一人になってしまうのが怖かった、皆と居たかった。
それを分かってたのか二人はこう言ったの『この争いも長くは続かないさ、国が落ち着いたら戻って来れば良い。だから今は国を出て冒険者になりなさい。そうすれば大変だが暮らして行けるし、いろいろなスキルや知識も覚えられる。強くなれば、辛い思いもしなくなって来るだろう。だから今は一人で行きなさい。私達はいつもクリスパのことを思ってるよ』
私は辛かった悲しかった、でも強くなればいつか会える…そう思い国を出た。
走って走り続けて山を越え、国を出て強くなるために旅をした。
行き着いた街で私は冒険者になった。
それがこの街『リアーデ』だったの。
最初は女だと笑う冒険者もいた、でも私はずっと一人で生きていたから、Dランク冒険者にも引けを取らないほどの身体能力はあったわ。
だけど他のことに関しては、何も知らなかった。
魔力のことに魔法やスキル、剣の使い方や他者に対しての言葉遣い…私は無知だった。
そんな私を鍛えて、知識を与えてくれた師匠が、この街の冒険者ギルド『現ギルドマスター』なの。
当時は街でも有数のBランク冒険者だったけど、お陰さまで、私も直ぐにDランクまで上がることができたわ。
訓練の間は、寝る所もギルドの訓練場に泊めてもらってたし、稼ぎの少ない私に食事を与えてくれたのも師匠だった。
それから、お金にも余裕ができた私は、街で滞在する宿を探して歩いていた、そのとき大荷物を持ったキッシュに出会ったの。
教会の子供達を思い出した私は、荷物を運ぶのを手伝うと言って、着いた先がこの宿だったわ。
これが初めてココット亭に来たときのこと。
私はそのままココット亭に、泊まることにしたの。
最初は二日だけと思ってたけど、そかれが五日十日と泊まり続けている内に、親子三人で営んでたこの宿がとても居心地が良くなって、かつての住んでた教会の皆を思い出したわ。
三人ともいつも明るくて優しくて、心休まる場所だった。
自分の帰る場所ができたと思ったわ。
旦那さんの『アルザス』さんと、奥さんであり、宿の女将でもあるココットさんも、私を本当の子供のように可愛がってくれて、キッシュも私を姉と慕ってくれた。
いつしか私も、義父さん義母さんと呼ぶようになり、キッシュと一緒の部屋で寝るようになったわ。
毎日がとても楽しい日々だった。
それから二年ほどしたある日、西の村で病が発生して、街との行き来が禁止されそうになったの。
病が広がらないためにね。
薬も薬になる素材も、この近辺にはなく危険な状態だった。
ところが義父さんが西の村に行くと、当然義母さんもキッシュも、もちろん私も止めた、なんで今行かなければならないのって?
そうしたら『あそこには、俺の大事な友人が宿をやっている。こんなときこそ助けに行かなければ。行き来が禁止されたらもう……せめて食料をだけでも届けに行かないと』そう言っていた。
義母さんはそんな思いを受け取って、最後は笑顔で義父さんを見送ったわ。
そのあとすぐに、西の村との行き来が禁止された。
それでも私は止めたかった、でも止めることができなかった。
今義父さんを止めたら『あのとき子供を助けられずにいた私と同じで、悔いが残るかも知れない』と……私は笑って見送ることができなかった。
それから十日ほど過ぎたある日、Bランク以上の冒険者が『ダンジョン』から秘薬を採取してきたお蔭で、薬が出来て西の村との行き来も再開されて、義父さんは帰ってきたの。
少し痩せていたけど、元気で戻ってきた。
これでまた幸せな日々が、また戻るとそう思った。
でも義父さんが帰って来た五日後、体内に潜伏していた病が発症した。
義父さんは隔離されて、治療を受けたけど薬は僅かしか残ってなく、秘薬を採取に行くにしても日数が足りず、しかもダンジョンはBランク以上でしか行けない険しい場所にあると。
ここでも私は力のなさを恨んだ。
その二日後、懸命の介護もなく義父さんは息を引き取った。
私もキッシュも一晩中泣いていた。
義母さんも強がってはいたけど、キッシュが寝たあと一人になったときに泣いていたわ。
無力…私は無力……Cランクに上がったばかりの私では、どうにもできなかった、助けられなかった。
私がもっと強ければ…知識があれば助けられたかもって。
それから一年、私はがむしゃらに依頼をこなし無茶をしていた。
伸び悩んでいた私は、もっと力を付けるために街を出ることにした。
義母さんに話してはしていたけど、キッシュには内緒にして、書き置きを残し街を出た。
王都のギルドで高ランク冒険者とパーティーを組んで、自分の足りないものを探し力を付け、Bランクになってこの街に戻って来たの。
街を出てから五年以上経っていたわ。
それがほんの十日前。
それでギルドに行った私を『サブ・ギルドマスター』にしたのが、今のギルマスで私の師匠。
なんでも前のサブマスが、急に辞めて街を出て行っちゃったって。
他に誰もいなく困っていたら、王都で私の働きを知っていて、ちょうど良いから決めた! だって。
『そんな簡単に決めて良いの!』って聞いたら『俺ギルマスだから良いの!』だって。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「これが私の過去。長くてごめんなさい。つまらない話聞かせて、せっかく義母さん達と再会したのに暗くなっちゃたわね」
「女将さん、何か手伝いますか?」
「いや、もう支度は終わってるから、お連れさんが来るのを座って待ってな」
「そうですか。じゃあ、そうします」
適当な席に座り待っていたら、キッシュが話しかけてきた。
「ねぇねぇカズさん。訓練してくれた人って誰なんですか?」
「ああ、ギルドで受付をしてた女性だよ。結構な実力者みたいでね」
「女性! どんな感じの? 美人さんなんですか?」
「う~ん。見た目は、美人ではあるかな。でも怒ると怖そうな人でもあるな」
「美人だけど怒ると怖い人?」
「こんなこと言ってたてのは、ナイショだよ!」
「私だって初めての人に、怖そうとか言いませんよ」
「それはそうか。ならいいんだけど」
そのとき店の入口が開き、人が入って来た。
「こんばんは」
「! 来たかな。俺が行きます」
「あ、カズさんお待たせ。遅かった?」
「いえ、ちょうとです。こっちが食堂ですからどうぞ」
「久しぶりだなぁ。変わらないや」(ボソッ)
「何か言いましたか?」
「フフフっ」
「?」
俺は食堂に入って女将とキッシュに、連れがが来たことを伝えた。
「女将さんキッシュ、話してたお客さんが来たので、料理お願いします」
「あいよ。いらっしゃ……クリスパ!」
「え! クリ姉? クリ姉だ! クリ姉だ!!」
「久しぶり。義母さんキッシュ」
三人は涙目になり抱き合っていた。
「カズさんが連れて来る女性のお客さんて、クリ姉のことだったの!」
「二人はクリスパさんと知り合い? それにクリ姉に義母さん? 親子!?」
「知り合いも何も、クリ姉は私達の家族! クリ姉は私と同じで、栗色の髪をしてるからクリ姉。クリスパの『クリ』と『栗色のクリ』でクリ姉!」
それじゃ『クリクリ姉』になっちゃうぞって、キッシュに突っ込んでやりたい。
「キッシュしかそう呼んでないけどね」
「私が考えたんだもん」
こっちの世界にも栗はあるんだ。
って、今はそんなことどうでもいい。
「家族……クリスパさん、ココット亭の名前出しても、何にも言ってなかったじゃないですか?」
「どっちも驚かそうと思って、黙ってたの」
「クリスパ久しぶりだね。とりあえず座んな。料理出すから、皆で食事にしよう」
「うん。義母さんありがとう」
「クリスパさん。どういうことか説明してくれますか?」
「そうですね。カズさんの話を聞く前に、私達の話を聞かせましょうか。義母さん、キッシュ話して良い?」
「私はカズさんなら良いけど、お母さんは?」
「私もカズなら良いと思うよ。でも話は食事の後でいいだろう。せっかくの料理が冷めちまうからさ」
俺っていつの間にか、凄い信用されてる! まあ話も聞きたいが、とりあえず食べよう。
「義母さんの料理久しぶりだな。変わらずに美味しい」
「そうかい。こんなんで良ければ、いつでも食べに来れば良いさ」
「そうだよクリ姉。しかも今日は、カズさんから貰ったイノボアのお肉があるんだよ」
「キッシュは相変わらずの食いしん坊ね」
「クリ姉まで言うの。カズさんにも言われたし、もう少し食べるの我慢しようかな」
「何を言ってるの、キッシュはそのままで良いのよ。カズさんもそう思うでしょ」
「そうだね。キッシュはそのままの方が良いに決まってる。食いしん坊じゃなかったら、キッシュじゃない!」
「ちょっとカズさん、それ言い過ぎじゃないですか! そんなに私って食いしん坊かな?」
「そうだね!」
「そうよ!」
「そうさ!」
「皆してひど~い」
この後も皆で、楽しい食事をした。
今日は他のお客が来ないので、そのまま食堂で話をすることになった。
「ご馳走さま。料理もお酒も美味しかった!」
「そりゃ良かったよ。話があるんだろ、私は後片付けをするから、キッシュも休んでな」
「は~い。ありがとうお母さん」
「それじゃあ、私達の話からしましょうか」
クリスパが自分とココット亭の経緯を話しだす。
「結論から言うと、私達は本当の親姉妹じゃないのよ。それに私は、もともと孤児だったの」
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十年ほど前まで、私はある小さな町の教会に居たの。
そこは戦争や捨子で親を失った子供達を、とても優しい年配の夫婦が二人だけで、小さな子供を十数人も育てていたわ。
覚えてる限りでは、その数年前まで私も各地を転々とし、その日を生きて行くだけで精一杯で、悪いこともした。
そしてまた盗みをしようと、入った所が教会だったの。
私はいつものように、部屋を物色していたら、教会に居た子供達に見つかりそうになって、外に出て身を潜めていた。
そこを教会に住んでる夫婦に、見つかってしまったの。
だけど夫婦は、私を咎めもせず教会に招き入れて『お腹空いたろ子供達と一緒に食事をしよう』と言ってきて、料理を振る舞ってくれた。
最初は私を油断させて捕まえるつもりだと思ったけど、とてもお腹が空いて仕方がなく、教会に入って食事をしたわ。
教会の中にはいろいろな子供がいたわ。
『戦争で親と足を失った少年』『森に捨てられてた少女』は獣に襲われ、逃げて逃げてなんとか森から出たところに、夫婦が通りかかり、助けてくれたと言っていたわ。
そこで私は『ここに居る子供達と同じなのかも』と思ってしまった。
でも気付いたの、悪いことをして私は汚(けが)れてる、この子達とは違うと。
食事を振る舞ってくれたお礼を言って、盗みに入ったことを謝り出て行こうとしたら『住む所がないならここに居るかい』なんてことを言ってきたの。
それで私は言った『私は悪いこともいっぱいして汚(けが)れてる』そんな私を誘うの? おかしいよ! って。
でも夫婦は言ったの『そんなことはない、君は汚(けが)れてなんてない。生きるために一生懸命だった、ただそれだけだからここに居て良いんだよ』って。
盗み入ったのに、おかしいと思った。
でも行く宛もないし、危ないと思ったらすぐに逃げればと……いつもそうしていたから。
そして私は教会に住むことにしたわ。
長居はしないと思ってたし、私のことを子供が怖がれば、出て行く理由にもなる。
その方が気が楽だから。
それが逆に、こんな私を怖がるどころか、しつこく付きまとってくるの、しかも『皆がいっつも笑って』こんな境遇で、なんで笑ってられるのか、私は苛立ちを覚えたわ。
それからというもの、私は子供達と向き合うことはせず、常に一人で居たわ。
でも教会を出て行こうとはしなかった。
打ち解けようと正面切って向かって来る子供達を見ていたら、私は自分よりも小さい子供達からも逃げようとするのって、思ってしまった。
このまま逃げ続ければ、私はもう人ではなくなってしまう、心がなくなってしまうと……。
当時の私は、いったい何を考えていたのか。
そんな生活をして、二十日ほどが経ったある日、盗賊が町に侵入して潜伏してると、町人が話していたわ。
そんなことを知らない教会の子供達は、近くに傷付いて隠れていた人を助けるため、教会に招き入れてしまったの。
盗賊とは知らずにね。
近所の人が気付き、すぐに町に在中している衛兵を呼びに言ったわ。
衛兵達がすぐに駆けつけたけど、盗賊は子供を人質に取り逃げようとした。
人質になったのは、毎日笑顔で私に話し掛けてきた男の子だった。
なんとも思ってなかった私だけど『助けてあげないと』なぜかそう思った。
でも怖くて体か動かなかった、泣いている子供を見ているだけで、自分には力がない、衛兵に任せるしかないと。
でも教会に居るのは身寄りのない孤児達、衛兵は構わずに盗賊を捕らえようとした。
そのすぐあとに起きたことは、あまり思い出したくもないわ……。
衛兵が取り押さえようと槍で攻撃したの、すると盗賊は迫り来る槍を、子供で受けて逃げようとした。
子供は突き出された槍に刺されたわ。
衛兵は気にもせずに槍を抜き、盗賊を捕らえた。
私は刺された子供に駆け寄り、傷口を押さえ血を止めようとした、辺りが血で真赤になり、だんだんと冷たくなる身体……私は自分の力のなさを恨んだ。
その子は言ったの『お姉ちゃん。いつも笑顔でいれば、きっと幸せになれるから皆と笑っていて』って……それが最後の言葉だったわ。
盗賊が捕らえられてから数日後、衛兵が教会にやって来てこう言ったの。
『ここのガキ共が盗賊を匿った。だがここでガキ共を捕らえても面倒なだけだから、この教会居る者全て町から追放と決定した。明日までに町から出ていってもらおう。これは慈悲だ。もし町に残っていたら殺処分する』と。
同じ人とは思えなかったわ。
私達は家畜かっての。
人質になった子供を助けようともしないで、何が慈悲よ! 衛兵が憎かった。
それと同じく、私自身も憎かった。
なんであの時こんな奴等に任せたんだ、なぜあの時に体が動かなかったんだ、所詮私も自分の身が大事なだけの、グズなんだって。
でもあの子が言ったから、せめて皆だけは。
その夜に私は、教会の夫婦と相談した。
私も皆の手助けをするから、どこか安全な場所で皆で暮らそう『あの子が最後に言った言葉を、皆の笑顔をなくさない』って 。
夫婦は言うには、大人が歩いて五日はかかるけど、前に知り合いが住んでた小さな村に行けば、なんとか暮らして行けるかも。
小さな子供も居るけど、皆ここに居たら殺されてしまうから、選択の余地はなかった。
翌日その村を目指して、出発することに決まった。
でもそうことはうまくいかなかったの。
そのとき私が居た国で政権争いが起きて、国が半分に割れ戦いが起きようとしていたの。
私達が居た側は、今までの政権派で、一般兵を集めるために、成人している人々が強制的に連れて行かれた。
その国で『成人は16歳』『当時の私は14歳』でも町の記録では、私は16歳ということにされたの。
盗賊の事件のときに、教会の皆は衛兵に質問されたわ。
私は歳を聞かれて14歳と答えた、でも記録は16歳…改竄されたの。
身分証なんて商人でもないと、持ってないからね……最低の国。
夫婦の二人は足が少し不自由だったために、足手まといになると連れて行かれることはなく、子供達をそのまま育てることができたわ。
だけど私はこの国に居ると、戦い駆り出されてしまう、だから私は国を出て行きなさいって言われた。
今なら山中を越えて行けば、国を出られる。
私は言った『一人で行くことなんてできない、行くなら皆で一緒に国を出よう』って。
でも小さな子供と、足が不自由な二人が山を越えられるわけがない。
私は分かっていた……でもまた一人になってしまうのが怖かった、皆と居たかった。
それを分かってたのか二人はこう言ったの『この争いも長くは続かないさ、国が落ち着いたら戻って来れば良い。だから今は国を出て冒険者になりなさい。そうすれば大変だが暮らして行けるし、いろいろなスキルや知識も覚えられる。強くなれば、辛い思いもしなくなって来るだろう。だから今は一人で行きなさい。私達はいつもクリスパのことを思ってるよ』
私は辛かった悲しかった、でも強くなればいつか会える…そう思い国を出た。
走って走り続けて山を越え、国を出て強くなるために旅をした。
行き着いた街で私は冒険者になった。
それがこの街『リアーデ』だったの。
最初は女だと笑う冒険者もいた、でも私はずっと一人で生きていたから、Dランク冒険者にも引けを取らないほどの身体能力はあったわ。
だけど他のことに関しては、何も知らなかった。
魔力のことに魔法やスキル、剣の使い方や他者に対しての言葉遣い…私は無知だった。
そんな私を鍛えて、知識を与えてくれた師匠が、この街の冒険者ギルド『現ギルドマスター』なの。
当時は街でも有数のBランク冒険者だったけど、お陰さまで、私も直ぐにDランクまで上がることができたわ。
訓練の間は、寝る所もギルドの訓練場に泊めてもらってたし、稼ぎの少ない私に食事を与えてくれたのも師匠だった。
それから、お金にも余裕ができた私は、街で滞在する宿を探して歩いていた、そのとき大荷物を持ったキッシュに出会ったの。
教会の子供達を思い出した私は、荷物を運ぶのを手伝うと言って、着いた先がこの宿だったわ。
これが初めてココット亭に来たときのこと。
私はそのままココット亭に、泊まることにしたの。
最初は二日だけと思ってたけど、そかれが五日十日と泊まり続けている内に、親子三人で営んでたこの宿がとても居心地が良くなって、かつての住んでた教会の皆を思い出したわ。
三人ともいつも明るくて優しくて、心休まる場所だった。
自分の帰る場所ができたと思ったわ。
旦那さんの『アルザス』さんと、奥さんであり、宿の女将でもあるココットさんも、私を本当の子供のように可愛がってくれて、キッシュも私を姉と慕ってくれた。
いつしか私も、義父さん義母さんと呼ぶようになり、キッシュと一緒の部屋で寝るようになったわ。
毎日がとても楽しい日々だった。
それから二年ほどしたある日、西の村で病が発生して、街との行き来が禁止されそうになったの。
病が広がらないためにね。
薬も薬になる素材も、この近辺にはなく危険な状態だった。
ところが義父さんが西の村に行くと、当然義母さんもキッシュも、もちろん私も止めた、なんで今行かなければならないのって?
そうしたら『あそこには、俺の大事な友人が宿をやっている。こんなときこそ助けに行かなければ。行き来が禁止されたらもう……せめて食料をだけでも届けに行かないと』そう言っていた。
義母さんはそんな思いを受け取って、最後は笑顔で義父さんを見送ったわ。
そのあとすぐに、西の村との行き来が禁止された。
それでも私は止めたかった、でも止めることができなかった。
今義父さんを止めたら『あのとき子供を助けられずにいた私と同じで、悔いが残るかも知れない』と……私は笑って見送ることができなかった。
それから十日ほど過ぎたある日、Bランク以上の冒険者が『ダンジョン』から秘薬を採取してきたお蔭で、薬が出来て西の村との行き来も再開されて、義父さんは帰ってきたの。
少し痩せていたけど、元気で戻ってきた。
これでまた幸せな日々が、また戻るとそう思った。
でも義父さんが帰って来た五日後、体内に潜伏していた病が発症した。
義父さんは隔離されて、治療を受けたけど薬は僅かしか残ってなく、秘薬を採取に行くにしても日数が足りず、しかもダンジョンはBランク以上でしか行けない険しい場所にあると。
ここでも私は力のなさを恨んだ。
その二日後、懸命の介護もなく義父さんは息を引き取った。
私もキッシュも一晩中泣いていた。
義母さんも強がってはいたけど、キッシュが寝たあと一人になったときに泣いていたわ。
無力…私は無力……Cランクに上がったばかりの私では、どうにもできなかった、助けられなかった。
私がもっと強ければ…知識があれば助けられたかもって。
それから一年、私はがむしゃらに依頼をこなし無茶をしていた。
伸び悩んでいた私は、もっと力を付けるために街を出ることにした。
義母さんに話してはしていたけど、キッシュには内緒にして、書き置きを残し街を出た。
王都のギルドで高ランク冒険者とパーティーを組んで、自分の足りないものを探し力を付け、Bランクになってこの街に戻って来たの。
街を出てから五年以上経っていたわ。
それがほんの十日前。
それでギルドに行った私を『サブ・ギルドマスター』にしたのが、今のギルマスで私の師匠。
なんでも前のサブマスが、急に辞めて街を出て行っちゃったって。
他に誰もいなく困っていたら、王都で私の働きを知っていて、ちょうど良いから決めた! だって。
『そんな簡単に決めて良いの!』って聞いたら『俺ギルマスだから良いの!』だって。
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「これが私の過去。長くてごめんなさい。つまらない話聞かせて、せっかく義母さん達と再会したのに暗くなっちゃたわね」
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