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明治維新編13 維新の終わり
維新の終わり(5)
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もう一つの主戦場は熊本の北植木の田原坂だった。
乃木希典が連隊旗を奪われたこの戦いでは、当初薩摩軍が有利に進めていた。
陸軍の方は戦況の把握に失敗し、いくつかの作戦の失敗もしていた。陸軍の銃器を頼みにした火力による戦いに対して、薩摩は抜刀隊による白刃突撃を試みていた。
これには政府側も対抗して、抜刀隊を組織する。主力は鹿児島出身の巡査だった。主力の第一旅団も鹿児島出身者が多く、薩摩人によって薩摩の賊を討つ、と言う形相を帯びていた。
陸軍の兵力不足も顕著になってきており、追加の兵を送るため士族兵を巡査として募集したり、山口では旧近衛兵が、集められ送り込まれていった。
そうして、膠着していた戦線に穴が空いたのは3月20日のことだった。
不意打ちを受けた薩摩軍の防衛が崩れ、陸軍は突破を果たした。また山鹿も薩軍が敗退すると、政府陸軍は南下を目指すことになる。こうして、この戦の終局は決したようなものだった。
そんな戦況の中、人民の保護を求めていた木戸孝允が、行幸中の京で病に倒れ帰らぬ人となった。
だが、実際の戦いはまだ終わらなかった。
人吉でも戦闘が行われ、薩摩軍は敗退し、投降者が増えていく。そしていよいよ薩摩入りしていくことになった。
今度は鹿児島の錦江湾に海軍を差し向け鹿児島の制圧を狙った。同時に大分と宮崎でも戦闘が行われたが、薩摩軍は維持することができず、敗退していた。
宮崎にいた西郷隆盛は、宮崎が落ちる前に出ていて延岡にいた。が、そこも包囲され、脱出を果たしたところ、鹿児島に入り、城山に本営を置くことに成功する。
そうなると政府軍は、とどめをさすべく城山総攻撃を行い、西郷隆盛も最後を迎えた。
薩摩は名実ともに鹿児島県となり、木戸の懸念していた割拠状態はなくなった。
大久保はかねて予定されていたとおり、内国勧業博覧会を上野で行い、殖産興業の道をアピールすることを忘れなかった。
その後に博物館を作る計画をした。町田久成を掛におき進めていった。そして、大隈重信と伊藤博文とともに内治を整え民産を起こしていくための協力を申し出ていた。
しかし、博文は薩摩が薩摩を討つことの理不尽さに負けそうになった大久保が、自分を左遷させようとしたことも耳に入れていた。それは岩倉の意見によって中止されたことも知っており、今までのように大久保に頼ることの危険性もあわせて気付かされた。
そんな頃一通の文が博文のもとに届いた。そしてその返信は、イギリスに渡るある青年に託されていた。
馨はその日も日課である公使館への散歩をしていた。
「やぁ、おはよう諸君」
公使の上野景範の待っていたかの対応に、少し違和感を感じていた。最近は特に変わったことがなければ、末席あたりの書記官と、なにか面白いところはないかという、雑談をするようになっていた。
「井上さん、こちらへ」
「おう、そうか」
ふたりで椅子に座ると、上野が話を始めた。
「井上さん、木戸さんがお亡くなりになりました」
「えっ」
流石に馨は何も言えなかった。
バクバクする心臓に、ゆっくり息を吐き吸うことで、馨はどうにか落ち着きを取り戻させた。
「いつじゃ。いつどこで、病か」
「5月26日京でのことと。帝の行幸の随行員として、京におられたとのことです。病が重くなり、床につかれてたと。帝もお見舞いをされたとのことですが。残念なことに」
「そうか、戦も収まっとらんのにな」
「大丈夫ですか」
上野は大蔵省で馨の部下でもあった。木戸との関係はよく知っていた。
「……。また来る」
出された紅茶を飲み干し、一息ついて、来たときと同じように出ていった。
帰り道、公園のベンチに腰を掛けた。泣くのならここで泣くだけ泣いて、気分を取り繕って帰宅しようと思ったのだ。だが、頭も心も動かないらしく、涙は出てこなかった。その日は誰にも、木戸のことを言えず床についた。
木戸が、怒っていた。
「聞多、何のための詔勅だ。立憲政体の確立は……」
「木戸さん、待ってくれ!」
自分の声で目が覚めた。武子が心配そうに覗き込んでいた。
馨はとりあえず起き上がった。
「馨さん、大丈夫ですか。うなされていたようですが」
「大丈夫じゃ。なんでも無い。いや、大変なことがあったんじゃ」
「どうなさったのですか」
「木戸さんが亡うなってしまった」
武子は思わず、幼子をあやすように馨を抱きしめていた。
背中を撫でられると、心と体の緊張が溶けていった。馨は武子の胸の中でやっと泣けた。
「武さん、大丈夫じゃ。後悔していても始まらん。やらにゃいけんことをやるだけじゃ」
「それでこそ、井上聞多。でございましょう」
武子は馨に笑いかけていた。その笑顔は馨の心を動かしていた。
次の朝、馨は博文に文を書いた。木戸の死を知ったこと、三年の遊学といったが復命あれば帰国する準備でいること、共に力を合わせてやっていこうと記した。
そして、いつでも帰国できるよう、準備をしようと心に決めた。
馨は、この平安がもう終わりを告げているのに、残念な気持ちがない事に気がついた。これからの時間は緩んだ頭を締め直し、こちらでやり残したことはなくすよう努めようと考えた。
まずは密航のときの恩人ウィリアムソン教授に会いに行こう。住所は家主のエミリーさんが調べてくれて、教えてくれた。英語のレターは緊張するが、書けなくてどうする。
ディナーをともにした客人達が帰ったあと、馨は武子と未子に話を切り出した。
「事情が変わってきたようじゃ。多分丸々三年ここにおるということは無理かもしれん。再び来られるかわからん所じゃ。心残りの無いようにして欲しい。武さんもお末も行きたい所があれば教えて欲しいの。わしはオーストリアのウィーンは、行こうと思うとる」
「私はもう一度パリでオペラが見たいですね」
「末はどこでもいいです。せっかくフランス語を学んでいるので、フランスに少し長くおられたらうれしいです」
「よう分かった」
寝室で二人きりになった時、馨は武子に尋ねた。
「帰国が早まるかもしれんと言った時、理由を聞かなかったな」
「そうでしたね。お国に重大事が起きていることは存じてます。いよいよ井上馨の出番が来た、ということでございましょう。嬉しく思います」
「さすがは武さんだ。心強いの」
そう言って、馨は武子に口づけをした。その唇が首筋を伝って居りてくるのを感じながら、武子はこのように、夫を自分だけのものにしている時間が、終わりを告げているのだと思った。
そういえばこちらでは、女遊びをしている様子はなかった。誰かが馨は会話を楽しみ、女を会話で落とすのだと言っていた。この人にも言葉の壁があったのだと思うと、何故か楽しかった。
ウィリアムソン教授から返事が来て、ぜひ会いたいと招待を受けた。こんなときのためにと、日本から持ってきた工芸品を持って、訪ねていった。
「志道聞多です。今は井上馨と言う名前になりました。本当にお久しぶりです。お招きありがとうございます」
「聞多。よく来てくれました。エマもエミリーもこうして元気です」
「エミリーは覚えていないね。まだ小さかったからな。エマさん、忘れないでいてくれて、とても嬉しいです」
「あなた達の頑張りは、本当に尊敬しています。ご活躍ぶりは私達の誇りです」
「みんな立派におとなになってます。仕事だけでなく家庭も。一番下の弥吉、今は井上勝というのですが、勝も父親になっていますしね」
「弥吉に子供が」
ウィリアムソンはそう言うと娘のエミリーと顔を見合わせた。
「弥吉はエミリーと結婚の約束をしていたのですが」
「えっ、結婚の約束ですか」
「本当です。私は弥吉のお嫁さんになると言ったら。弥吉はイエスと言ったのです。ずっと待っていたのに」
「弥吉は娘の心を傷つけた。訴えます」
そう言いながら目は笑っていたので、馨は冗談だと受け止めていた。でも、本当にエミリーに恋心はあったのかもしれない。そんな気はしていたので、話に乗ってみることにした。
「それは重大な約束違反ですね。私が代わりに弥吉を懲らしめておきます。それで、ご勘弁ください」
「エミリーそれでいいかい」
「はい、仕方ないです」
「そうでした。これ、日本から持ってきたお土産です。開けてみてください」
蒔絵の文箱だった。二重になっていて、中に少し小さいものが入っていた。
「きれいなものですね」
「日本の工芸品で、蒔絵といいます。大小2つありますから、お二人でお使いください」
「私がもらってもいい、パパ」
「どうぞ使ったらいい、エミリー。聞多にお礼を言いなさい」
「ありがとうございます。大事に使います」
「どういたしまして。機嫌が治ってくれて嬉しいです」
「教授、どうですか。日本人留学生は頑張っているでしょうか」
「最近は、以前ほど皆がという感じではないかもしれないです。頑張っている学生とそうでない学生もいるというところですね」
「そうですか、皆に頑張るよう尻を叩かなくてはいけないようですね。貴重なお話ありがとうございました。日本に帰りましたら、このこと仲間たちに伝えます。本当に知り合えて、幸せなことです。改めてお礼を申し上げます」
「弥吉にぜひともよろしくおねがいします」
「ふははは、大丈夫です。それでは失礼いたします」
ウィリアムソン家をあとにした馨は変わらず温かいもてなしにホッとした。
それにしても勝の話は面白いと思った。からかってやろうという悪戯心もあって、ウィリアムソンさんとエミリーが非常に怒っている、どうするつもりかと文を書いた。
これに勝は馨がよくわからないことで怒っていると、博文にとりなしを頼むというちょっとした騒ぎになっていた。
乃木希典が連隊旗を奪われたこの戦いでは、当初薩摩軍が有利に進めていた。
陸軍の方は戦況の把握に失敗し、いくつかの作戦の失敗もしていた。陸軍の銃器を頼みにした火力による戦いに対して、薩摩は抜刀隊による白刃突撃を試みていた。
これには政府側も対抗して、抜刀隊を組織する。主力は鹿児島出身の巡査だった。主力の第一旅団も鹿児島出身者が多く、薩摩人によって薩摩の賊を討つ、と言う形相を帯びていた。
陸軍の兵力不足も顕著になってきており、追加の兵を送るため士族兵を巡査として募集したり、山口では旧近衛兵が、集められ送り込まれていった。
そうして、膠着していた戦線に穴が空いたのは3月20日のことだった。
不意打ちを受けた薩摩軍の防衛が崩れ、陸軍は突破を果たした。また山鹿も薩軍が敗退すると、政府陸軍は南下を目指すことになる。こうして、この戦の終局は決したようなものだった。
そんな戦況の中、人民の保護を求めていた木戸孝允が、行幸中の京で病に倒れ帰らぬ人となった。
だが、実際の戦いはまだ終わらなかった。
人吉でも戦闘が行われ、薩摩軍は敗退し、投降者が増えていく。そしていよいよ薩摩入りしていくことになった。
今度は鹿児島の錦江湾に海軍を差し向け鹿児島の制圧を狙った。同時に大分と宮崎でも戦闘が行われたが、薩摩軍は維持することができず、敗退していた。
宮崎にいた西郷隆盛は、宮崎が落ちる前に出ていて延岡にいた。が、そこも包囲され、脱出を果たしたところ、鹿児島に入り、城山に本営を置くことに成功する。
そうなると政府軍は、とどめをさすべく城山総攻撃を行い、西郷隆盛も最後を迎えた。
薩摩は名実ともに鹿児島県となり、木戸の懸念していた割拠状態はなくなった。
大久保はかねて予定されていたとおり、内国勧業博覧会を上野で行い、殖産興業の道をアピールすることを忘れなかった。
その後に博物館を作る計画をした。町田久成を掛におき進めていった。そして、大隈重信と伊藤博文とともに内治を整え民産を起こしていくための協力を申し出ていた。
しかし、博文は薩摩が薩摩を討つことの理不尽さに負けそうになった大久保が、自分を左遷させようとしたことも耳に入れていた。それは岩倉の意見によって中止されたことも知っており、今までのように大久保に頼ることの危険性もあわせて気付かされた。
そんな頃一通の文が博文のもとに届いた。そしてその返信は、イギリスに渡るある青年に託されていた。
馨はその日も日課である公使館への散歩をしていた。
「やぁ、おはよう諸君」
公使の上野景範の待っていたかの対応に、少し違和感を感じていた。最近は特に変わったことがなければ、末席あたりの書記官と、なにか面白いところはないかという、雑談をするようになっていた。
「井上さん、こちらへ」
「おう、そうか」
ふたりで椅子に座ると、上野が話を始めた。
「井上さん、木戸さんがお亡くなりになりました」
「えっ」
流石に馨は何も言えなかった。
バクバクする心臓に、ゆっくり息を吐き吸うことで、馨はどうにか落ち着きを取り戻させた。
「いつじゃ。いつどこで、病か」
「5月26日京でのことと。帝の行幸の随行員として、京におられたとのことです。病が重くなり、床につかれてたと。帝もお見舞いをされたとのことですが。残念なことに」
「そうか、戦も収まっとらんのにな」
「大丈夫ですか」
上野は大蔵省で馨の部下でもあった。木戸との関係はよく知っていた。
「……。また来る」
出された紅茶を飲み干し、一息ついて、来たときと同じように出ていった。
帰り道、公園のベンチに腰を掛けた。泣くのならここで泣くだけ泣いて、気分を取り繕って帰宅しようと思ったのだ。だが、頭も心も動かないらしく、涙は出てこなかった。その日は誰にも、木戸のことを言えず床についた。
木戸が、怒っていた。
「聞多、何のための詔勅だ。立憲政体の確立は……」
「木戸さん、待ってくれ!」
自分の声で目が覚めた。武子が心配そうに覗き込んでいた。
馨はとりあえず起き上がった。
「馨さん、大丈夫ですか。うなされていたようですが」
「大丈夫じゃ。なんでも無い。いや、大変なことがあったんじゃ」
「どうなさったのですか」
「木戸さんが亡うなってしまった」
武子は思わず、幼子をあやすように馨を抱きしめていた。
背中を撫でられると、心と体の緊張が溶けていった。馨は武子の胸の中でやっと泣けた。
「武さん、大丈夫じゃ。後悔していても始まらん。やらにゃいけんことをやるだけじゃ」
「それでこそ、井上聞多。でございましょう」
武子は馨に笑いかけていた。その笑顔は馨の心を動かしていた。
次の朝、馨は博文に文を書いた。木戸の死を知ったこと、三年の遊学といったが復命あれば帰国する準備でいること、共に力を合わせてやっていこうと記した。
そして、いつでも帰国できるよう、準備をしようと心に決めた。
馨は、この平安がもう終わりを告げているのに、残念な気持ちがない事に気がついた。これからの時間は緩んだ頭を締め直し、こちらでやり残したことはなくすよう努めようと考えた。
まずは密航のときの恩人ウィリアムソン教授に会いに行こう。住所は家主のエミリーさんが調べてくれて、教えてくれた。英語のレターは緊張するが、書けなくてどうする。
ディナーをともにした客人達が帰ったあと、馨は武子と未子に話を切り出した。
「事情が変わってきたようじゃ。多分丸々三年ここにおるということは無理かもしれん。再び来られるかわからん所じゃ。心残りの無いようにして欲しい。武さんもお末も行きたい所があれば教えて欲しいの。わしはオーストリアのウィーンは、行こうと思うとる」
「私はもう一度パリでオペラが見たいですね」
「末はどこでもいいです。せっかくフランス語を学んでいるので、フランスに少し長くおられたらうれしいです」
「よう分かった」
寝室で二人きりになった時、馨は武子に尋ねた。
「帰国が早まるかもしれんと言った時、理由を聞かなかったな」
「そうでしたね。お国に重大事が起きていることは存じてます。いよいよ井上馨の出番が来た、ということでございましょう。嬉しく思います」
「さすがは武さんだ。心強いの」
そう言って、馨は武子に口づけをした。その唇が首筋を伝って居りてくるのを感じながら、武子はこのように、夫を自分だけのものにしている時間が、終わりを告げているのだと思った。
そういえばこちらでは、女遊びをしている様子はなかった。誰かが馨は会話を楽しみ、女を会話で落とすのだと言っていた。この人にも言葉の壁があったのだと思うと、何故か楽しかった。
ウィリアムソン教授から返事が来て、ぜひ会いたいと招待を受けた。こんなときのためにと、日本から持ってきた工芸品を持って、訪ねていった。
「志道聞多です。今は井上馨と言う名前になりました。本当にお久しぶりです。お招きありがとうございます」
「聞多。よく来てくれました。エマもエミリーもこうして元気です」
「エミリーは覚えていないね。まだ小さかったからな。エマさん、忘れないでいてくれて、とても嬉しいです」
「あなた達の頑張りは、本当に尊敬しています。ご活躍ぶりは私達の誇りです」
「みんな立派におとなになってます。仕事だけでなく家庭も。一番下の弥吉、今は井上勝というのですが、勝も父親になっていますしね」
「弥吉に子供が」
ウィリアムソンはそう言うと娘のエミリーと顔を見合わせた。
「弥吉はエミリーと結婚の約束をしていたのですが」
「えっ、結婚の約束ですか」
「本当です。私は弥吉のお嫁さんになると言ったら。弥吉はイエスと言ったのです。ずっと待っていたのに」
「弥吉は娘の心を傷つけた。訴えます」
そう言いながら目は笑っていたので、馨は冗談だと受け止めていた。でも、本当にエミリーに恋心はあったのかもしれない。そんな気はしていたので、話に乗ってみることにした。
「それは重大な約束違反ですね。私が代わりに弥吉を懲らしめておきます。それで、ご勘弁ください」
「エミリーそれでいいかい」
「はい、仕方ないです」
「そうでした。これ、日本から持ってきたお土産です。開けてみてください」
蒔絵の文箱だった。二重になっていて、中に少し小さいものが入っていた。
「きれいなものですね」
「日本の工芸品で、蒔絵といいます。大小2つありますから、お二人でお使いください」
「私がもらってもいい、パパ」
「どうぞ使ったらいい、エミリー。聞多にお礼を言いなさい」
「ありがとうございます。大事に使います」
「どういたしまして。機嫌が治ってくれて嬉しいです」
「教授、どうですか。日本人留学生は頑張っているでしょうか」
「最近は、以前ほど皆がという感じではないかもしれないです。頑張っている学生とそうでない学生もいるというところですね」
「そうですか、皆に頑張るよう尻を叩かなくてはいけないようですね。貴重なお話ありがとうございました。日本に帰りましたら、このこと仲間たちに伝えます。本当に知り合えて、幸せなことです。改めてお礼を申し上げます」
「弥吉にぜひともよろしくおねがいします」
「ふははは、大丈夫です。それでは失礼いたします」
ウィリアムソン家をあとにした馨は変わらず温かいもてなしにホッとした。
それにしても勝の話は面白いと思った。からかってやろうという悪戯心もあって、ウィリアムソンさんとエミリーが非常に怒っている、どうするつもりかと文を書いた。
これに勝は馨がよくわからないことで怒っていると、博文にとりなしを頼むというちょっとした騒ぎになっていた。
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