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第4章

70.火炎の洞窟その2(新章16話)

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当たり1面に敷き詰められたスライムは、若干気持ちが悪い。

どこまでも続くブルースライムに僕は唖然としている。

「気持ち悪い・・・吐瀉しそうです。レン様の第一印象と同じですね。」

ユリアさんの言葉は元引きこもりの僕には強すぎる。

「レン様、夜伽の時にスライムを使うと言うのはいかかでしょうか?」

リリィ。良いね。発想が僕に似てる。

「最低でも1000は超えるよね。端から倒していってもいつ終わるか」

地下ダンジョンでなければクリーンで一気に切り刻めそうだけど、洞窟の中での本気のクリーンは崩落とかが起こりそうで危険すぎる。となるとアイスピローとかが良さそうだけど、今回は規模がでか過ぎてMP切れは必死。クックは単体専、ドレスは意味ないし・・・

「少しでも数を減らすしかなさそうですね。レン様、物想いに耽る顔が画的に持つのは容姿が整っている方だけですよ?あっ違っとっ・・・とりあえず潰すぞぉ!」

僕にダメージを与えつつユリアさんが勝手に飛び出した。

「てめぇユリア、チームワーク無視かこの野郎!暴言吐かれる度に泣いてやろうか!」

ユリアは薙刀に近い武器を使ってスライムを蹴散らしていく。突然見えた人間の姿に驚いたスライムが飛び掛かったり逃げたりで大混雑している。

「あの、リリィ?質問があるんだけど」

「レン様のお顔立ちは整っておりますぅ!なので物思いに耽ってるお顔で3回はイケますよ!」

「うん。そうじゃない。このダンジョンって頑丈かな、いざとなったら洞窟潰したいんだけど?」

「頑丈かは分かりませんが、リリィのパンチでは何一つ傷つきませんね」

そりゃそうだ。まあ解んないよね。とりあえず数を減らすか。

僕は魔剣を手に取りMPを吸わせる。剣の刀身が伸びていく。

「伸ばして~重力!」

伸びた剣が自重に耐え切れず地面に叩きつけられる。数百メートルにわたりスライムが切り刻まれて消えていく。倒した感覚が無いほどあっけない。これを後何回すれば全部排除できるのだろうか。

僕は途方に暮れていた。

体感で9時間くらいだろうか。粗方スライムを叩き潰した僕とユリアは疲れ果てて倒れている。大掃除の感覚に近い。全部倒したと思ったら、次から次に湧いて出てくる。

「ユリア、レン様から出た甘いお水ですよ~」

語弊のある言い方が気に食わないものの、リリィが僕とユリアを解放して回ってくれている。ただ傷も無いのに体にまかれた包帯が邪魔でしょうがない。

「しかし、なんとか倒せたけど。MPほぼ無いよな。これ」

「体力が切れました。もうレン様のちんカス程度の体力も残っていません」

1階でこの量の魔物。しかもブルースライムではたぶんレベル上げにもならない。

「んーと、一回出ようか」

僕たちは洞窟を出て外でキャンプをすることになった。

空が黒ずんできている。あたりはすっかり夜で、星が綺麗だ。皆で火を囲み、ご飯を食べる。

「まさか1日かけて、地下一階とは、」

まずい。もし7日以内にダンジョンを討伐できなければ、ママが帰ってくる。ママを心配される事だけは不味い。前述のとおり、この国の全員の命より、ママの笑顔は重いのだ。

僕たちはMP回復の為に早々に眠りに着く。朝一番で、2日目の討伐がはじまった。


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