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第4章 生きるために紐解く

42話 新たな殺人事件

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洞窟は思っていたものとは大きさが違った。穴の大きさは縦横15mを超えており、どこまで続いているのかもわからない。

「中にたくさんの気配がある。慎重に…」

グハァッ!!!

中から大きな叫び声が上がる。僕達は驚き、走る。

「私は、負けるわけにはいかないんだ!絶対に負けるわけにはいかないんだっその子達を離せぇ!」

「愚かな人間よ、この私に勝てる訳がないだろう。」

「待っている人がいるんだ。こんな所で、負けるわけには行かないんだぁ
!!!」

「笑わせてくれる。お前は泣き叫び、滅びる運命なのだ。クズ人間め!」

巨大な魔法が、土色のドラゴンを襲っている。なんなんだこれは!?

「あれは守り神様!クズデッス!」

「えっあれが?」

「そう、人語を喋る純血のドラゴン。リュウ様です」

「そっち!?えっそっちなの?あの勇者みたいな台詞吐いてる方が敵!?」

「私は負けるわけには行かないんだ。子供達を全部奴隷にして豪遊するまで、負けるわけには行かないんだぁ!!」

うん。間違いない。人の方が悪役だ!

「本当に愚かな人間よ。邪な考えを持つお前が、信念を持って子供たちを守る私に勝てる訳がないだろう」

何あのドラゴン格好良すぎる!

「子供たちを大金払ってでも買いたいと、待ってる人がいるんだ。離せぇ!私の商売道具を離せぇ!」

大事な所をはしょらないと、もうクズ過ぎるね。クズデッスだねほんと。

「人の命を道具扱いとは笑わせてくれる。同族にすら優しさを持てないお前は泣き叫び、その人生を悔いて、滅びる運命なのだ。このクズ人間め!」

もうヒーローです。リュウさん。惚れてまいます。

「灼熱の業火!」「ドラゴニック障壁!」

炎がリュウさんを襲うが、魔法の壁がそれを通さない!

「何度やっても無駄だ人間め!私が許すうちに立ち去るのだ。無駄に命を奪うのは私の道に反する」

「だまれぇ!竜ごときが私を、私を舐めるなぁぁぁぁぁ!破滅への誘い!!!」

クズデッスの魔法が暴走する。洞窟全体に魔法を乱射して洞窟が崩れる

「この魔法を使うことになるとはなぁ、これは全てを破壊する。どっかの隠れ里のようになぁ」

「忌々しい人間め、里を壊した時、私がすぐに気付けば、ワースを救う事も出来たかもしれぬのに…」

「ワース、はっあのコソ泥か!馬鹿な奴だ。奴隷の為に死ぬなんてなぁ!!!」

「もはやお前を許すことはできん!」

「うるせぇ!この洞窟は破壊される。子供達を全員守りながら、生きていられるかなぁ!」

ドガッガララッ

洞窟内に岩が降り注ぐ。リュウは子供たちを包むように障壁を発生させる。自分に降り注ぐ岩も、魔法もお構いなしだ。土煙が巻かれ視界も悪くなる

「ははっ死ねぇ!死ねぇ!!!」

「くっこのままではまずい」

「ヨーコ、僕達も行こう」
「ダメ、あの魔法、最上位レベルの魔法よ!ショウが行っても死ぬ!私も一発でも当たれば…」
「くそぅここまで来て僕は何もできないのかっ、せめてスライムがあれば」
「私が魔力開放して隙を作ればチャンスはある。やってみるわ。はぁぁっ!」

ガララッ

「ヨーコ!危ない!」

ヨーコを思い切り突き飛ばす。落石が僕の右足に覆いかぶさる。

「あぁぁあぁぁぁぁぁ!」

「ショウ!あぁ、また私を庇って!」

「僕は良い!魔力を解放して!リュウさんを助けないと」

「でもっでもっ足が、血もすごく!」

「気にするな、子供達を救ってくれ!」

「ギャァァぁあぁぁぁぁあぁ!」

洞窟内に悲鳴が響く。そして魔法が止まる。落石の勢いも弱まる。どちらかが負けたのか。
土煙が収まっていく。僕は痛みに耐えながら洞窟の中を見る。

倒れているドラゴンと仁王立ちするクズデッス。そして、

その脇腹にナイフを突き立てるリュネの姿だった。

「何故!何故お前がぁぁぁ!!!!!!」

襲いかかるクズデッスにリュネはナイフを更に押し当てた

「そんなっ…馬鹿な…」

クズデッスが倒れた。血塗れで震えるリュネだけが、そこに立っていた。

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