【R18】性奴隷の憂鬱な夢

なみ

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救いの手

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ヨルが…、限界…?

『神』の不穏な言葉に僕は焦った。

「トマももう思い出したでしょ?君たちが嫌ってたオリバーのこと。」

「オリバー……。そう…だ。⦅神の加護⦆を持つ男。僕達の世界を歪めた男…。
………っ!!あ!!そうだ!なんであんなやつに⦅加護⦆なんて与えたの!?」

「それも気紛れってやつかなぁ?…あの一族に与えたのはボクじゃないけど。そもそもボクは誰にも⦅加護⦆なんて与えたことはないしね。

世界を創った時に魂が定着するように幾つかの一族に⦅神の加護⦆を与える。
それはこの世界に限ったことじゃない。他の世界にも何人もいる。…でも大抵は時代の流れと共に他の人々が立ち上がったり、時代の大きな流れに飲まれて失脚していくんだ。⦅加護⦆があったとしても失脚させる方法なんて幾らでもある。

君たちの世界の人間は臆病だ。
精霊の力にばかり頼って、虐げられることに慣れて諦めている。そうしている内にカリスの一族は【魔石】や【魔法具】で自分たちの力を強固にしてのし上がり、確立していった。神々ボクたちはそれがつまらなくて少し目を離しちゃったってのも実はあるんだよね~。さっき言った通り一応、他の神は『英雄』っていう救済の道は作ってたみたいなんだけど…ね。」

「……そんな…。僕達は…あと少し…、我慢していれば…、良かったの…?助かったの…?……ずっとヨルと一緒に…。ああ、でもそしたらリュカは……っ」

僕はショックで再び膝を抱えて顔を埋める。

「ふふ、トマ。そんな顔しないで。何度も言うよ。ボクは君がとても気に入ってるんだ。色々と大変だったけど、ボクはこの事件で君と出逢えた事を嬉しく思ってる。

だからこそ君を、君たちを助けたくてここにいるんだ。君たちの時間は今止まったまま酷く歪んでいるんだ。絶えず揺れて同じ時間を行ったり来たりして…。前に君にも見せたことがあるだろう?覚えてるかな?…ほら、ブラッド邸の屋上庭園でさ。

また話を本題に戻すけど、運命の糸が拗れてヨルは今オリバーに囚われているんだ。深い絶望の末、今は自らオリバーといることを選んでる。」

「………えっ!!!???」

「あぁ……んーーっと……、これは神々ボクたちの領域だから詳しくは説明出来ないんだけど…"発芽"しようとしているのは確かだ。あれ、これ言って良かったっけ?だめだっけ~?んーと、まぁ、いっか。」

「……"発芽"…?な、なに…それ…?いや、そんなことよりヨルは誰よりカリス一族を、オリバーを忌み嫌っていたのに。なのに自分からって…どうして…?」

どうしてそんなこと……。

「ん~~~…っと…。君が沈んでいる間にヨルは君の代わりにオリバーに捕まって陵辱されていたんだ。長くなるからそこら辺は割愛させてもらうけど、その間に色々とあってヨルの中にオリバーへの特別な感情が芽生え始めてる。本人もまだ気付いてないけど。君もリュカも失った孤独に押し潰されてヨルは自分を見失ってしまったんだ。」

僕が…目を離してるうちに…?
傍にいてあげられなかったから…?

僕の…、僕のせいだ……。

ああ、まただ。僕はまた……。

「もぉっ!とーまっ!だからボクはここにいるんだってば!!また落ち込んでどうするの?」

再び僕が絶望感に襲われそうになった時、『神』が声を荒げた。

僕はハッとして『神』を見る。

「トマ、大丈夫。がついてる。俺はずっとずっとトマの傍にいた。そしてそれはこれからも…。俺が二人を、この世界を導いてあげる。」

『俺』…?

突然、一人称が変わったかと思うと『神』の身体が少しずつ光って、その光はどんどん膨らんでいき、光の強さと共に子供のヨルの身体も大きくなって形を変えていく。

「トマ。お前は何を望む?」

「望む……?」

「これからどうしたい?どうなりたい?」

「僕…、僕は……ーーー。」

え、まって……この、…この声は……。

眩しい光の中、懐かしい声が聞こえる。

全身を包み込むこの温もり…、僕はこれを知ってる。

が君に救いを授ける。おれの真の名の元に……。」

目を凝らして見てみると、そこには信じられない人物が穏やかな光と微笑みを讃えて立っていた。

………そうか。そうだったんだね。


「我が名はクロノス。創造主より生み出された原初神が一柱ヒトリ時間トキの支配者。
時代の流れと共に全てのものに等しく破滅を与え、永遠の安らぎを齎す者なり。我の真の名の元に、此処に迷える一つの魂に救いを授けるーー……。」

優しい光……。そして懐かしい匂い。

疑問や戸惑いは沢山あるけれど、それ以上の強い安心感が僕の心を満たしていく。

ずっと、本当にずっと僕の傍で見守っていてくれてたんだね。

「さぁ、トマ。手を出して。君の願いを叶えてあげる。ヨルを迎えに行くんだ。そして止まった時間を取り戻そう。」

「本当に…、君が…。ありがとう…、クロノス様…。ううん、…悠太…。」


クロノスと名乗った悠太は、あの爽やかな笑顔で僕の差し出した手を取って運命を切り開く光の中へ導いた。


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