【R18】性奴隷の憂鬱な夢

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成し遂げたかったもの

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次の瞬間、俺はいつもの天井を見上げていた。いつものオリバーの部屋の天井。
そして、いつものオリバーのベッドの上。

調教部屋にいたはずだったのに…?

ふと夢で感じたねっとりとした感触がして足元を見るとオリバーが俺の足を掴んでじゅるじゅると足の指の間を必死にしゃぶっていた。

「……ひッッ!!?や、やめろっ…!!」

ガツッッッ!!!!

驚いた俺はもう片方の足でオリバーの顔を思い切り蹴飛ばした。

鈍い音が部屋中に響いて、オリバーの鼻から血が流れ出たけどオリバーはビクともせず俺の足から離れなかった。

「ああ…、ノア。ノア、愛しいノア。俺から離れないでくれ…。」

オリバーは鼻血を流したまま、ニンマリと笑って俺の足を無我夢中でベロベロと舐め続ける。その異様な姿に悪寒が走った。

「……はぁ。本当にやめて。」

俺は落ち着くために一つ大きな溜め息をついてオリバーに言い聞かせるようになるべく穏やかな声で言った。

「……ねぇ、お願い。本当にやめて?」

オリバーがゆっくりと足から離れて、代わりに俺の身体に抱きついてきた。

「ノア…、ノア。好きだ。ノア…、頼むから…、私から離れないでくれ……。」

宥めるようにオリバーの髪を撫でると、オリバーの髪の毛が大量に俺の指に絡みついて抜けた。

……え…っ!!?

声には出さなかったけど凄く驚いた。
オリバーの顔を見ると20代前半位だった見た目が30代後半か40代位に老けて見える。

「……オ…ッ、オリバー……っ!?」

「ああ、ノアが、ノアが私の名を呼んでくれた…!」

……こいつは自分の変化に気付いていないのか…!?

「ノア…、ノア。離れないで…。お前の為に…っ、私は……っ!!ノアの為なら何でも…っ、何でもするから…っ」

先程からずっと同じ言葉を繰り返している。会話もままならない。

……だめだ、こいつ…、狂ってる…。

オリバーは相変わらず俺をもの凄い力で抱き締めてきていて全く離れようとせず、とりあえず俺もオリバーを抱き締め返した。

「……オリバー、俺はここにいる。」

「ノア……、ノア……っ!!」

「ずっと傍に居るから。」

「ああ…っ、ノア…っ、愛しいノア…。私の…、私だけの…っ」

「オリバー、今日はもう寝よう…?」

子供を寝かしつける時のようにオリバーの背中をぽんぽんし続けると意外とすぐにオリバーは眠りに落ちた。

ふと隣を見るとグレタも俺の横ですやすやと深い眠りに落ちている。

オリバーと二人で俺をこの部屋へ運んで来たのだろうか?

まぁ、確かにあの不気味な調教部屋で目覚めても良い気はしないから良かったんだけど…。

俺が意識を失っている間…、二人で…。
想像するとまた胸にチクッと謎の痛みが走る。

……なんだ?これは…。

まぁいいや、とその痛みを無視して俺はオリバーが完全に眠ったのを確認すると、一度起き上がって指に絡まった深緑の髪の毛を取り除きながら色々と考えていた。

そういえばずっと悩みの種だった倦怠感がなくなっている。

暗闇の中でよく見るとグレタの髪の色はピンク色からリュカと同じ銀髪に色が抜けていた。

『私の全てをあげる。』

『全て』とは魔力の事で間違いない。

酷い倦怠感がなくなったのもグレタのくれた魔力のおかげかもしれない。

膨大な魔力があの時、俺の中に一気に流れ込んできた。このグレタの髪の色は魔力を失ったから、精霊との繋がりが途絶えて色が抜けたのだと思う。

多分この鳥籠に閉じ込められてからずっと使わずに溜め込まれていたからだろう。
俺は元々最高位精霊で器が大きいから受け止められたけど、そうでない者が受ければ間違いなく心身を破壊されてしまう程の凄い魔力量だった。

グレタ自身もそこまで濃縮されていたとは思っていなかったんだろうな…。

一気に全ての魔力を失えばグレタは死んでしまうかもしれない。実際、今のグレタはいつ死んでもおかしくない程弱っている。

オリバーの髪を全て取り除いた後、俺はグレタの髪を撫でながら貰った魔力を少しだけグレタに還元した。

俺に全てを与えたいと言ってくれたグレタの意思を尊重して少しだけ…。

魔力をグレタに還元した後、俺はバスルームから濡らしたタオルを持ってきて起こさぬよう優しくオリバーの顔にべったり付いた鼻血を拭った。

今度はオリバーの顔を見ながら考える。

この急な老化。

オリバーが衰える理由は俺の知る限り一つしかない。

やっぱり俺は妊娠してるのか…?

不安が確信に変わっていくけど、俺はそれを認めたくなかった。

でも自分に自信が持てない。
また不安が大きくのし掛かる。


ねぇ、トマ。

トマは俺を妊娠した時、どんな気持ちだった……?

またいつかと同じ疑問が浮かんでくる。

トマ……。そうだ…、あの夢……。

トマ、トマ、やっと会えた。俺のトマ。

最後の方は確実にトマだった。

もう一人は…、何者だったんだろう。
俺の心が具現化したものなのか…?

あの時、投げられた言葉を思い出す。

俺の…『自分の心』?

『目的』?『生きる意味』?

俺が『成し遂げたかったこと』は何?

自問自答しながら、昔自分が思い描き続けたことを確認するように何度も反芻する。

交流会を兼ねた俺の正妃発表会まで、数えてみるともうあと僅かしかなかったのに気付く。

もう認めたくないとも言っていられない。

鼻血が綺麗に拭えたか確認する為にオリバーの顔に触れて上を向かせて、拭き残していた血を拭うと無垢な寝顔でむにゃっと顔を歪ませた。

「ふふ…っ」

その顔を見てると無意識に笑みが溢れる。

「ん……、の……ぁ……。」

オリバーが寝言で俺を呼ぶ。

頑なに冷たく接していてもなお俺だけをずっと一途に求め続けているオリバー。

不思議と先程感じた胸の小さな痛みが安心へと変わっていく。

もしかして俺、グレタに少し嫉妬していたのかな。自分で『グレタを愛せ』なんて言ったくせに馬鹿みたい。

…まぁ、そんなことあるはずないけどね。

でもそんなあり得ない事を考えていると何故か急に堪らなくなってきて、綺麗になった頬を撫でてその額と唇にそっとキスを落とした。

相変わらず不安でいっぱいだけど、きっと…、きっと大丈夫。

俺、トマがいればきっとまた強くなるよ。

タオルを片付けてベッドへ戻り、オリバーの横に寝転ぶとオリバーが眠ったまま俺を抱き寄せてきた。

再びオリバーの顔や首元に起こさぬように優しく触れるだけのキスの雨を降らせる。

「……おやすみ。オリバー……。」

少しだけ膨らんだお腹に手を当てながら決意を胸に秘め、オリバーの腕の中で俺もまた深い眠りに堕ちていく。
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