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夕陽の中で
しおりを挟むヨルと入れ替わった後、僕は影の中で眠りに落ちた。
そしてまた、不思議な夢を見る。
その日の夢はいつものとは大きく違っていた。
⦅僕⦆とヨルが空と大地が燃えるように赤く染まる夕陽を大きな樹の枝の上に座っていて、僕はその2人を上から見ている。
今までの視点と変わっていて戸惑ったけど、とりあえず静かに2人を見守ることにした。
「また…、だめだった。」
⦅僕⦆が眉をひそめて言った。
「この世界は神から見放された。」
少しの沈黙の後で真剣な表情でヨルが口を開く。
ヨル………?何の話をしているの…?
「それでも生きていくしかない」
ヨルの言葉に⦅僕⦆が悲痛な表情で答えた。
…なに、これ……?
これは過去なの?…こんなの知らない。
それとも僕が創り出したただの夢…?
⦅僕⦆とヨルは真剣な顔で話を続ける。
「神々は他の…。このちっぽけな魔法世界よりもっと大きな魔法世界や文明の発達した世界…変わった理を持つ世界にそれぞれ夢中だ。…もうこの世界は崩壊している。あいつのせいで…。ここ数年、女性は殆ど生まれてこない。神々は俺達を見放したんだ。」
「…それでも、まだ命は廻っている。」
「もう殆ど残っていない。」
「…っ、それでも僕は君といたい…。」
「……何が⦅神の加護⦆だ。あんなやつに何故神は⦅加護⦆を与えた?」
「………それは…。」
「……もう、やるしかない…。」
「…あれを?」
「俺達はいつまでここに囚われている?
この世界が完全に破滅してしまったら俺達は一体どうなる?その先も俺達がまたずっと一緒にいれるかどうかの確証はないままだ…。いや、それより…。俺はずっと…ずっと前から君と…っ」
ヨルの顔が歪んで言葉を詰まらせながら、その金色の瞳から涙が溢れる。
どうして……?
ヨルの涙を見て僕の胸がズキンと痛んだ。
⦅僕⦆は暫く考えて、意を決したように立ち上がりヨルに手を差し伸べた。
「僕は君の涙はもう見たくない…。」
その言葉にヨルが⦅僕⦆を見上げる。
⦅僕⦆は笑顔で今度は両腕を広げた。
「さぁ、おいで」
⦅僕⦆は泣きながら微笑んでいる。
ヨルが立ち上がり⦅僕⦆の腕に吸い寄せられるように、ゆっくりと近づいていく。まるでスローモーションみたいに。
「はじめよう…僕たちの……」
⦅僕⦆の声が掠れていく。
…え?…なに?聞こえない………。
そこから急に強い光が辺りを包んで、轟音と共に爆発したかと思うと、今度は真っ暗な闇に包み込まれた。
僕はその激しい爆風に飛ばされた。
風に吹かれた木の葉のようにフワリと舞い上がり、抗えない程の強い力で闇の中に吸い込まれていく。
前が全く見えない。
何が起きてるのー…!?
目を開けると樹々に囲まれたベッドの上でご主人様が横でイビキをかいて寝ていた。
目を覚ました僕の目には涙が溢れていた。
……な…んなの、あれ……。
僕と…ヨル?
時々ヨルが不思議なことを言ったりするけど…。僕にはまだ知らない過去が、思い出せていない過去があるってこと?
2人からは強い覚悟が感じられた。
一体、何があったんだろう…?
ヨルは既に魔石を元に戻して、影の中で眠ってしまっているみたいだし…。
後で聞いてみようかな……。
自分でもよくわからない涙を拭って僕が考え込んでいると目を覚ましたご主人様に後ろから抱き締められた。
「おはよう、ルーシェ…。」
僕はご主人様の方へ向き直し、ご主人様の首に腕を回して唇を重ねた。
「……ん、おはよ…、…っあん…っ」
いつもの朝の目覚めのキス。
ご主人様が少し眠そうにしながらも僕の身体を撫でてきて、敏感な胸の突起を擦ってくる。
「んっ♡う…、んんっ♡…あっ♡」
僕がピクピクと反応すると、ご主人様はとても嬉しそうに擦っていたそこに舌を這わせた。
寝起きの熱い舌が僕の乳首を転がしている。クニクニと弄ばれる感覚が気持ち良くて思わずご主人様の頭を掴んで押し付けるようにぎゅっと抱き締めた。
「乳首…っ、あっん♡はぁ、気持ちいい…っ、もっと…っ♡」
「もっと、どうして欲しいんだ?」
「あっ♡あっ♡もっと、もっといっぱい乳首コリコリして…っ♡いっぱいちゅうちゅうして欲しいの…っ♡」
「ふふ…っ、いい子だ」
僕の"おねだり"をご主人様が叶えてくれる。グリグリと強く乳首を弄られながら僕は身体を震わせながら軽くイッてしまった。
「ルーシェ、今朝はどっちに欲しい?」
「……んっ♡」
ご主人様が女性器の割れ目からアナルまで指先で何度も往復しながらくすぐっていく。
「どっちも、んっ♡欲しい…っ♡」
僕が言うとご主人様がふふっと意地悪な顔で笑う。
「こんなにいやらしくて可愛い嫁を持って、私は本当に幸せ者だな…。」
僕の大好きなご主人様の表情。
身体の奥底から熱が溢れ出てくる。
とても幸せな日常。
ヨルも僕とご主人様みたいにリュカと幸せになれたらいいな。
僕はこんな日がずっと続くと信じて疑っていなかった。
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