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夢か記憶か
しおりを挟む目を覚ますと、あのベッドの中にいた。
『ご主人様』に抱かれたあの部屋。
今のは……夢………?
肩までかけられた布団に顔を埋める。
うぅっ、身体がだるい。
どれだけ眠っていたのかな。
身体がベタベタして気持ち悪い。
意を決して身体を起こすとお尻がヌルヌルしていて、恐る恐る触ってみるとアナルからあのおじさんに出された精液が流れ出ていた。
鉄の扉が開いて、あのおじさんが入ってきた。『ご主人様』だ。緊張して身体が強張る。
「おはよう。起きたなら、お風呂に入ろうか」
おじさんは僕の首に首輪を着け、足枷を外した。昨日のセックスの最中とはまるで別人のように紳士的だ。
おじさん……。
ふと昨夜の事が思い出される。
僕…の………「ご主人様」
そう、だ。「ご主人様」だ。
ご主人様に促されガラス戸を開けると、中は外から見るよりスペースが広く、清潔感があった。
水洗の洋式トイレと大きな鏡の付いた洗面所、その間に扉があった。
その反対側の奥には身体を洗うスペースとシャワー、大人が4人くらい入れそうな大きなバスタブがあり、既にお湯が張られていた。
そのままご主人様とお風呂に入った。
身体やお尻の中まで念入りに洗ってもらってもの凄く恥ずかしかった。
恥ずかしかったけど、嫌悪感はなかったし、怖くも感じなかった。
いつの間にか『ご主人様』と呼ぶのも違和感がなくなっている。
とても不思議な感覚だった。
お風呂上がりにご主人様の股間が目に入って、あんなに大きいものが僕の中に……という驚きと共に、また恥ずかしさに襲われて赤くなった顔を誤魔化そうとタオルで髪を拭きながらふと鏡を見た瞬間。
僕の身体は凍り付いた。
息が止まる。
鏡に映った僕は『××くん』だった。
夢の中の僕。
でも鏡の中の僕はあの姿のまま、首輪を着けている。
『人形』と形容されたあの姿で。
細い革の首輪には銀色の小さな丸いプレートと真紅の丸くて赤い宝石のチャームが小さく揺れている。
頬に手を添えると、鏡の中の僕もそうした。
ゴクリと息を呑んだ。
夢なんかじゃない。
『僕』だ。
「××くん……」
あの声が聞こえる。
あの………、
「どうした?」
白いバスローブを羽織ったご主人様が後ろから抱きしめてきて、僕はハッと我に返った。
僕は今なにを………?
「なんでも…、ありません。」
ご主人様とサイズ違いの同じデザインの白いタオル地のバスローブを着せてくれて、その大きな手を僕の頭の上の方にかざすとブワッと温かい風に包まれてあっという間に髪を乾かしてしまった。
そのままお姫様抱っこで再びベッドに運んでくれた。
ベッドはいつの間にかシーツが取り替えられて綺麗になっていて、ベッドの脇にテーブルが置かれていた。
そのテーブルには見たことのない赤やオレンジのフルーツやサンドイッチ等が並んだお皿やホットコーヒー、ジュースが乗っている。
不思議に思っていると「風呂に入っている間に使用人に片付けと食事の用意をさせたんだよ」と教えてくれた。
人がいた気配なんて全くなかったのに。
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