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夢が叶う日(4)
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「こんなところに呼び出してどうした。」
どうしよう……憧れの人と1年以上ぶりに話してる……チャラ男のままで…!チャラ男のままで…!
「えっと~、この人、見覚えあります~?」
僕は過去の僕の写真を見せた。
先輩は一瞬目を見開いたが、考え込んでしまった。
やっぱり一年以上も前の、しかもただ校門まで送っただけの中学生なんて覚えてないよね……。
「見覚えはある。去年の1月頃、校門まで送った子だ。どうしてお前がその写真を持ってる。」
先輩が覚えてくれた…!僕は嬉しくてしょうがなかった。素が出ないように気をつけなきゃ……!
「えっと~あの~、わかりません??これ、おれですよ~」
「は?」
「いや、見てくださいよ~!この碧眼!それにここ、首のところに~、ほくろ、ふたつ並んでるでしょ~?」
僕は目を指でさし、首元のほくろを見せた。
どうしよう………!これで分かってもらえなかったら僕……僕……
「あー、たしかに碧眼で、ほくろがふたつ並んでるな。とりあえずわかった。」
よかった………!とりあえず首の皮が繋がった……!
「探しても見つからなかったのはその格好のせいか。どうしてそんな格好をしている。」
え、先輩探しててくれたの!?え、ほんとに!?
「先輩がぁ、慣れてそうな子が好みだって言うからぁ……」
「あぁ、確かにそう言ったな。」
僕はその後どうしたらいいのか分からなくなり、黙ってしまった。
しばらく沈黙が続いた。
その時、先輩が目を細めて唇を舐めて言った。
「で………?
童貞処女、捨てたのか?」
「いや…!まだ怖くて…!」
僕は思わず口走ってしまった。
どうしよう……見かけだけの慣れてる子じゃだめだったんだ……。
僕は1年間何度も誘われたけど、怖くて誤魔化し続けた。
親衛隊の隊長が親友なのもあって、なんとか誤魔化してきた。
でもやっぱり先輩の好みには届かなかったんだ……
僕は涙目になってしまった。
それを隠すためにも俯いた。
「騙すようなことしてごめんなさい……!本当に慣れてからまた先輩のところに来ます……。」
素の口調のままだったけど、先輩に謝った。
そしたらふと、頭を撫でられた。
反射的に前を向くと、先輩が綺麗な笑顔で笑っていた。
「ふっ……捨てなくていい。」
先輩は僕の頭を撫でながらそう言った。
捨てなくていいって、捨てても無駄だってこと……??
やっぱり僕に可能性はないんだ……。
涙がこぼれ落ちてしまった。
「やっぱり、僕じゃだめなんですね…。迷惑かけてごめんなさい…」
右頬を先輩の手に包まれ、指で涙を拭われた。
僕はびっくりして、先輩を見つめてしまった。
先輩は甘やかすような目をしていた。
「そうじゃないよ。いい子だね。俺のためにがんばったんだ。
その努力は認めるよ。でも、これからは俺の前では素の葵でいて。」
え…………僕、褒められた……?認められた……?
素のままでいてってどういうこと…?
褒められて、名前呼び捨てにされた嬉しさと、困惑とでいっぱいいっぱいになった。
「先輩は、チャラ男が好きなんじゃないんですか…?」
「いや、あれは葵を試しただけ。素の葵の方が好ましいよ。」
どうしよう……!嬉しくてしょうがない…!
「俺のことは、奏汰先輩、ね?」
そう言って僕を一撫でしてから先輩は去っていった。
「奏汰先輩………」
僕はその後ろ姿を見つめ続けた。
どうしよう……憧れの人と1年以上ぶりに話してる……チャラ男のままで…!チャラ男のままで…!
「えっと~、この人、見覚えあります~?」
僕は過去の僕の写真を見せた。
先輩は一瞬目を見開いたが、考え込んでしまった。
やっぱり一年以上も前の、しかもただ校門まで送っただけの中学生なんて覚えてないよね……。
「見覚えはある。去年の1月頃、校門まで送った子だ。どうしてお前がその写真を持ってる。」
先輩が覚えてくれた…!僕は嬉しくてしょうがなかった。素が出ないように気をつけなきゃ……!
「えっと~あの~、わかりません??これ、おれですよ~」
「は?」
「いや、見てくださいよ~!この碧眼!それにここ、首のところに~、ほくろ、ふたつ並んでるでしょ~?」
僕は目を指でさし、首元のほくろを見せた。
どうしよう………!これで分かってもらえなかったら僕……僕……
「あー、たしかに碧眼で、ほくろがふたつ並んでるな。とりあえずわかった。」
よかった………!とりあえず首の皮が繋がった……!
「探しても見つからなかったのはその格好のせいか。どうしてそんな格好をしている。」
え、先輩探しててくれたの!?え、ほんとに!?
「先輩がぁ、慣れてそうな子が好みだって言うからぁ……」
「あぁ、確かにそう言ったな。」
僕はその後どうしたらいいのか分からなくなり、黙ってしまった。
しばらく沈黙が続いた。
その時、先輩が目を細めて唇を舐めて言った。
「で………?
童貞処女、捨てたのか?」
「いや…!まだ怖くて…!」
僕は思わず口走ってしまった。
どうしよう……見かけだけの慣れてる子じゃだめだったんだ……。
僕は1年間何度も誘われたけど、怖くて誤魔化し続けた。
親衛隊の隊長が親友なのもあって、なんとか誤魔化してきた。
でもやっぱり先輩の好みには届かなかったんだ……
僕は涙目になってしまった。
それを隠すためにも俯いた。
「騙すようなことしてごめんなさい……!本当に慣れてからまた先輩のところに来ます……。」
素の口調のままだったけど、先輩に謝った。
そしたらふと、頭を撫でられた。
反射的に前を向くと、先輩が綺麗な笑顔で笑っていた。
「ふっ……捨てなくていい。」
先輩は僕の頭を撫でながらそう言った。
捨てなくていいって、捨てても無駄だってこと……??
やっぱり僕に可能性はないんだ……。
涙がこぼれ落ちてしまった。
「やっぱり、僕じゃだめなんですね…。迷惑かけてごめんなさい…」
右頬を先輩の手に包まれ、指で涙を拭われた。
僕はびっくりして、先輩を見つめてしまった。
先輩は甘やかすような目をしていた。
「そうじゃないよ。いい子だね。俺のためにがんばったんだ。
その努力は認めるよ。でも、これからは俺の前では素の葵でいて。」
え…………僕、褒められた……?認められた……?
素のままでいてってどういうこと…?
褒められて、名前呼び捨てにされた嬉しさと、困惑とでいっぱいいっぱいになった。
「先輩は、チャラ男が好きなんじゃないんですか…?」
「いや、あれは葵を試しただけ。素の葵の方が好ましいよ。」
どうしよう……!嬉しくてしょうがない…!
「俺のことは、奏汰先輩、ね?」
そう言って僕を一撫でしてから先輩は去っていった。
「奏汰先輩………」
僕はその後ろ姿を見つめ続けた。
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