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第4話
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しばらく丘の上で日向ぼっこをしていた2人ですが、リンはハルのことが気になって仕方がありませんでした。家族のことや、これからのことを、彼は真剣に考えているのでしょうか?それだけでなく、この丘はリンのお気に入りの場所だというのに、お構いなしにのんびりとされるのも、なんだか面白くありません。モヤモヤする気持ちを落ち着けようと、リンがこんぺいとうの入った小ビンのふたを開けようとした時、ハルは目を輝かせて小ビンに顔を近づけました。
「わぁ!なぁにそれ?とってもキレイだね!」
「これ?これは、こんぺいとうっていうお菓子よ。」
リンはハルの勢いに少しびっくりしながら答えました。
「すごい!これがお菓子なの?どんな味がするんだろう?きっと素敵な味がするんだろうね!」
なんだか、ハルと話していると知らず知らずのうちに冷静になれる気がするな、とリンは思いました。
「これは、わたしが5歳の誕生日の時におばあちゃんがプレゼントでくれた、大切なものなのよ。この丘と同じくらいにお気に入りのものなの。」
「そうなんだ!でもぼくもこんぺいとうが、すっごく気になるよ。ねぇ、1つでいいから食べてみたい!」
「えぇ!?こんぺいとうが欲しいの?」
リンはびっくりしました。先程からこの丘も、こんぺいとうも、自分にとって、ものすごく大切なものだと話しているのに、欲しいと言われるなんて思わなかったからです。
特に、こんぺいとうはおばあちゃんと食べて以来、誰にもあげたことがなく、ユキさんとも一緒に食べたことが無いくらいです。
「だめよ。これはわたしとおばあちゃんが食べるものなんだもの。」
「でも、ビンにはまだたくさんこんぺいとうが入ってるよ?1つだけでもだめなの?」
確かに、小ビンの中にはまだ、3分の1くらいのこんぺいとうが入っています。それでもリンは譲りませんでした。
「絶対にだめ!これは、おばあちゃんがわたしにくれた物だもん!」
リンがきつく言うと、ハルはたちまち、しょんぼりとしてしまいました。だけど、このかけら達をおばあちゃん以外の人と食べるなんて、リンには想像できなかったのです。ただ、ハルが落ち込んでいるのを見ると、こんぺいとうをあげなかった自分が悪者みたいに思えたので、家で一緒にサンドイッチを作って食べるのはどうか、とリンは提案しました。ハルはちょっとの間落ち込んだままでしたが、だんだんお腹が減ってきたのか、コクン、と小さくうなずくきました。それを見てリンは、やれやれと呆れつつ、少しホッとしたのでした。
「わぁ!なぁにそれ?とってもキレイだね!」
「これ?これは、こんぺいとうっていうお菓子よ。」
リンはハルの勢いに少しびっくりしながら答えました。
「すごい!これがお菓子なの?どんな味がするんだろう?きっと素敵な味がするんだろうね!」
なんだか、ハルと話していると知らず知らずのうちに冷静になれる気がするな、とリンは思いました。
「これは、わたしが5歳の誕生日の時におばあちゃんがプレゼントでくれた、大切なものなのよ。この丘と同じくらいにお気に入りのものなの。」
「そうなんだ!でもぼくもこんぺいとうが、すっごく気になるよ。ねぇ、1つでいいから食べてみたい!」
「えぇ!?こんぺいとうが欲しいの?」
リンはびっくりしました。先程からこの丘も、こんぺいとうも、自分にとって、ものすごく大切なものだと話しているのに、欲しいと言われるなんて思わなかったからです。
特に、こんぺいとうはおばあちゃんと食べて以来、誰にもあげたことがなく、ユキさんとも一緒に食べたことが無いくらいです。
「だめよ。これはわたしとおばあちゃんが食べるものなんだもの。」
「でも、ビンにはまだたくさんこんぺいとうが入ってるよ?1つだけでもだめなの?」
確かに、小ビンの中にはまだ、3分の1くらいのこんぺいとうが入っています。それでもリンは譲りませんでした。
「絶対にだめ!これは、おばあちゃんがわたしにくれた物だもん!」
リンがきつく言うと、ハルはたちまち、しょんぼりとしてしまいました。だけど、このかけら達をおばあちゃん以外の人と食べるなんて、リンには想像できなかったのです。ただ、ハルが落ち込んでいるのを見ると、こんぺいとうをあげなかった自分が悪者みたいに思えたので、家で一緒にサンドイッチを作って食べるのはどうか、とリンは提案しました。ハルはちょっとの間落ち込んだままでしたが、だんだんお腹が減ってきたのか、コクン、と小さくうなずくきました。それを見てリンは、やれやれと呆れつつ、少しホッとしたのでした。
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