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6章 光に背いた聖者達
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傭兵の隠れ家に戻ってみると、そこにはラリマーがいた。フェルドやシリカ達はいないようだ。
「ほーら、当たったでしょ? オンナのカン!」
「あぁ、さすがだな、ラリマーよ! 君のおかげで仲間を無事取り戻せた!」
「フン。偶然当たっただけだろ」
ソファに寝そべって悪態を吐くコーネルの腕をジストは抓る。
「……悪い、外の空気吸ってくるわ……」
メノウがそう呟いてフラフラと外へ出ていく。やはり様子がおかしい。彼の古い馴染みのラリマーなら事情を知っているかと、ジストは要塞での彼の様子を告げてみた。すると、今度はラリマーがみるみる顔色を変える。
「……見なかった事にしてあげて。あいつ、ちょっと変わった人種なのよ。あいつは自分で扱い切れない量の魔力を持ってて……感情が高ぶると、制御できなくて、勝手に溢れてきちゃうわけ。だからね、あいつは昔から、あんまり感情を表に出さないのよ――」
それだけ答えると、ラリマーは部屋を出ていった。メノウを追いかけていったのだろうか。取り残されたジストとコーネルは顔を見合わせる。
隠れ家への扉から少し離れたところにメノウはしゃがみ込んでいた。目の前を流れていく小川の小さな流れをぼんやり見つめている。
「メノウ。聞いたわよ。あの力、使ったのね?」
返事より先に彼は咳込む。ぽつぽつと赤い雫が口元から流れ落ちた。
「……ちょっと、大丈夫……?」
「……アホやんなぁ。たかがあいつの名前を聞いたくらいで、訳わからんくらいに憎くなってな」
「仕方ないわよ……。むしろよく耐えたわ。あの王子様達を巻き込んでたら大変な事になってたでしょうよ。あんた、強すぎるもの。あの子達じゃ止められないわ」
ラリマーはそっと彼の背をさする。
「ジストって子に聞かれて、ほんのちょっとだけ事情を説明したわ。もっと聞きたそうだったけど、その先はあんたから話した方がいい」
そうか、と彼は呟くと、そのまま目を逸らす。
「……リマ。すまん、独りになりたい……」
石の壁に身を預け、彼は目を閉じた。彼の気持ちを汲んだラリマーは、わかった、と頷くと背を向ける。
「落ち着くまで、しっかり休むのよ。あんた、すぐ無茶するから……」
カツカツと彼女の甲高い足音が部屋の向こうに消えると、その場は静けさに満ちた。
「ほーら、当たったでしょ? オンナのカン!」
「あぁ、さすがだな、ラリマーよ! 君のおかげで仲間を無事取り戻せた!」
「フン。偶然当たっただけだろ」
ソファに寝そべって悪態を吐くコーネルの腕をジストは抓る。
「……悪い、外の空気吸ってくるわ……」
メノウがそう呟いてフラフラと外へ出ていく。やはり様子がおかしい。彼の古い馴染みのラリマーなら事情を知っているかと、ジストは要塞での彼の様子を告げてみた。すると、今度はラリマーがみるみる顔色を変える。
「……見なかった事にしてあげて。あいつ、ちょっと変わった人種なのよ。あいつは自分で扱い切れない量の魔力を持ってて……感情が高ぶると、制御できなくて、勝手に溢れてきちゃうわけ。だからね、あいつは昔から、あんまり感情を表に出さないのよ――」
それだけ答えると、ラリマーは部屋を出ていった。メノウを追いかけていったのだろうか。取り残されたジストとコーネルは顔を見合わせる。
隠れ家への扉から少し離れたところにメノウはしゃがみ込んでいた。目の前を流れていく小川の小さな流れをぼんやり見つめている。
「メノウ。聞いたわよ。あの力、使ったのね?」
返事より先に彼は咳込む。ぽつぽつと赤い雫が口元から流れ落ちた。
「……ちょっと、大丈夫……?」
「……アホやんなぁ。たかがあいつの名前を聞いたくらいで、訳わからんくらいに憎くなってな」
「仕方ないわよ……。むしろよく耐えたわ。あの王子様達を巻き込んでたら大変な事になってたでしょうよ。あんた、強すぎるもの。あの子達じゃ止められないわ」
ラリマーはそっと彼の背をさする。
「ジストって子に聞かれて、ほんのちょっとだけ事情を説明したわ。もっと聞きたそうだったけど、その先はあんたから話した方がいい」
そうか、と彼は呟くと、そのまま目を逸らす。
「……リマ。すまん、独りになりたい……」
石の壁に身を預け、彼は目を閉じた。彼の気持ちを汲んだラリマーは、わかった、と頷くと背を向ける。
「落ち着くまで、しっかり休むのよ。あんた、すぐ無茶するから……」
カツカツと彼女の甲高い足音が部屋の向こうに消えると、その場は静けさに満ちた。
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