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眠る赤ん坊
5.離別
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人類が生まれてからおおよそ一万年近く。連綿と続く歴史の中には、消失してしまったものも数多くある。争いに負けた歴史、日常の他愛もない一幕、伝えてはならぬとされたもの。
この世の全てを記録し、受け継いでゆくというのは不可能だ。
しかし、いつの時代であっても残るものは必ず存在する。だというのに、この世界に残る歴史は、ある一定の期間だけが大きく抜け落ちてしまっていた。
遥か昔、まだ人間が狩猟を行い生活をしていた時代の文化や出来事というのは、壁画であったり地層を調べることで判明している。問題は今から数千年ほど前。紙と電子によって全てが記録され、経年劣化によって失われてしまった時代だ。
データの復旧や、ごく一部の地中から採掘される品、古くから受け継がれてきた本などによってようやく紐解くことができる時代を人々は消失期、と呼んでいる。
「どの時点で人類はそれを必要としなくなったのかはわかっていません。
いいえ、そもそも、眠りなどいうものは空想上のものであり、実在はしていないと言う者もいる」
「それで、その眠りというのはいったい」
「まさにホーリーちゃんの身に起きていることそのまま、です」
そのまま、とマリーは小さく呟き、腕の中にいるホーリーを見た。
「目を閉じ、意識を失う状態。日に平均して七時間ほど、そういった状態に陥ることを眠り、といいます。
それにより、脳を含めた体の一部の機能を停止させ、休息を取っているのです。
彼女の場合、頻度が高く、一度に意識を失っている時間は短いですが、個人差や年齢によるものとも考えられるでしょう」
「では、これは病気ではない、と」
「はい。先祖がえり、とでも言えばいいのでしょうか。
自然界でもまれに起こる現象ではありますので、ありえない、と断じることはできません」
「昔の人は、皆、眠っていたんですよね。
それで、普通に生活して、生きて、いたんですよね」
「そうです」
医者の肯定を聞き、マリーはとうとう大粒の涙を零す。
「あぁ、良かった。
良かった……!
何か重大な病を抱えたわけでは、ないんですね!
この子は、問題なく生きることが、できるんですね!」
歓喜に彼女は震え、自身から零れた涙で濡れてしまったホーリーの髪を撫でる。
この腕の中にいる小さく暖かな生命が、わけもわからぬまま奪われてしまうことはなくなったのだ。今を生きる人間とは違えども、ホーリーは余命わずかというわけではない。苦労はあるだろうけれど、生きることができるのだ。
この事実を喜びとせずして何と言えばいいのか。
「ライトさん」
震えるマリーの肩へ医者が優しく触れる。
「これから、もう一度検査をしましょう。
そして、彼女の身におきていることが睡眠であれば、また新たに考えなければならないことがあります」
喜に満ちているマリーとは違い、彼の声はどこか固い。
告げることを躊躇しつつも、職務としてその言葉を口にしないわけにはいかない。その心苦しさが現れているようであった。
「今を生きる我々の感覚で彼女を育てることはできないでしょう」
沈黙を保っていたオスカーが重く言葉を吐く。
「眠る際に必要なものに寝具、というものがあります。
病人を寝かせるベッド等がそれに当たりますが、快適な眠りのために必要なクッション種類やシーツの材質とは違っているでしょう。
成長後も活動時間は日に十数時間程度。普通の学校へ行くことは難しい」
小学校は朝の八時から夕方の六時まで。登下校の時間をおおよそ一時間程度と仮定した場合、ホーリーに残された時間はわずか十三時間。他の子供達がその時間を遊びや宿題にあてている間、彼女は七時間を睡眠に費やすこととなる。
自由時間として残されるのは六時間程度。この中で食事も宿題も入浴も済ませてしまえと六歳から十二歳の子供に言いつけることは難しい。
まして、自身が気を失っている間に回りはどんどん進んでしまうのだ。混乱もするだろう。納得ができないと癇癪を起こすこともあるだろう。
親の愛が不要とは言わないけれど、ホーリーにはもっと現実的な知識や環境といったものが必要なのだ。
「そんな……」
「今生の別れをしろ、とは言いません。
我々としても、子と親を引き離したいわけではない。
ただ、ほんの少し、ご辛抱していただきたいのです」
ホーリーが本当に寝ているのであれば、それは単純な医療の分野だけでは収まらない。歴史人類学を学んできた者と医者が二人三脚で彼女の成育について考えなければならない案件だ。
悲しいかな、ホーリーが適切な環境を得るためには、母の傍ではなく知識のある者達の傍であるほうが効率的だった。
「詳しいことは追って報告します。
ですので今一度、我々に娘さんをお預けください」
「……わかり、ました。
仕方ないです、よね。この子のためですから」
マリーは医者の目を見なかった。
彼女の青い瞳は、真っ直ぐ娘の寝顔を映す。
心は痛みを訴えるが、このまま娘を傍に置いていたとして、自分にできることは何もない、とマリーは知っていたのだ。
眠りのねの字も知らず、何を与えてやればいいのか、何をしてやればいいのか。何もわからず、今を生きる人間と同じように接してしまう。
自己満足で娘の一生を壊してしまいかねない。
一時、手を離すこともまた、親の愛なのだ。
「お願いします」
「お任せください」
眠った赤ん坊は医者の手に渡り、マリーはたった一人で家路につく。
来るときはあったはずの重みがなくなった体に、また少し、涙が零れた。
「あなた」
「ホーリーは……」
「病院に。
聞いて。あの子は病気じゃなかったの」
「そうか! なら――」
「でも、私達とは違う」
何もする気が起きず、部屋の中でじっと夫を待っていたマリーは、彼の帰宅後すぐにホーリーについて話した。彼女自身、医者やオスカーの言葉の全てを理解できていたわけではなかったため、たどたどしい説明にはなってしまったが、ボリスは急かすことなく彼女の言葉を全て聞き、不明点について尋ね、自身の中で意味を消化した。
「キミは正しいことをした。
間違っていない。それは私が保証するよ」
悲しみに打ちひしがれる妻の肩を優しく撫で、そっと寄り添う。
自分達はこれから先、仕事の時間が来るまで言葉を交わし続けることも、暖かなコーヒーを入れてやることもできる。ホーリーにはそれができない。
ボリスは口に出さぬまま、病院にいるであろう娘へと思いを馳せた。
数日後、再び病院に呼び出されたマリーは、ホーリーが眠っているということが確定したという報告を受ける。
それに伴い、彼女を病院預かりとすること。一ヶ月ほど様子を見た後、ホーリーの起床時間を調査。その時間帯であれば面会を許可する、とのことであった。
「自由に会うことはできないんですか」
「少なくとも現段階では難しいかと。
過去の人類にとって睡眠というものは必要不可欠であり、不足することで身体に様々な悪影響が出たという報告があります。
彼女がゆっくりと眠りにつくためには、静かで暗い空間が必要なのです」
二十四時間、常に人間が活動している現代では、静けさも暗闇も得ることが難しいものだ。今までホーリーがいた環境も、常に太陽光か室内の光に包まれており、生活音がやむこともなかった。
そのため、彼女は寝不足、と呼ばれる状態に陥っていたらしい。
マリーは寝不足という言葉を理解することはできなかったが、不足という言葉がついている以上、良い意味ではないだろうことくらいはわかった。
自分達は懸命に娘を育てていたつもりであったが、彼女にとっての最良には至っていなかったのだ、ということも。
「便宜上、面会という言葉を用いておりますが、ホーリーさんが起きているときであれば、外出をしていただいても問題はありません。
絵本や玩具の類も我々の検査なしに彼女へ与えていただいて大丈夫です」
彼女を病院に置くのは実験の対象とするためではない。身体機能の検査、睡眠パターンの計測。その他多くの観察と計測によって、ホーリーを今の世界でも健やかに成長させるためのものだ。
なかったとさえ言われていた睡眠の発見に、沸き立つ研究者が少なかったわけではない。彼女を知ることで現在と過去の人間の違いを調べることも可能だ、という意見も出ている。
しかし、それらはあくまでも副次的なものでしかなかった。
「部外者が何を、と思われるかもしれませんが、私達もこの病院で生まれた子供が元気に育ってくれることを望んでいます。
どうか、私達も子育てのお手伝いをさせていただきたい」
ホーリーに専門の知識や施設が必要であることは明白だ。
それでも、許可なく彼女を病院内に留めておくことはできない。
母親の許可が下りなければ、それはただの誘拐だ。
「……ありがとうございます。
是非、是非、お願いします」
マリーは頭を下げた。
「信じてくださり、ありがとうございます」
医者も目を細め、感謝の言葉を告げる。
この世の全てを記録し、受け継いでゆくというのは不可能だ。
しかし、いつの時代であっても残るものは必ず存在する。だというのに、この世界に残る歴史は、ある一定の期間だけが大きく抜け落ちてしまっていた。
遥か昔、まだ人間が狩猟を行い生活をしていた時代の文化や出来事というのは、壁画であったり地層を調べることで判明している。問題は今から数千年ほど前。紙と電子によって全てが記録され、経年劣化によって失われてしまった時代だ。
データの復旧や、ごく一部の地中から採掘される品、古くから受け継がれてきた本などによってようやく紐解くことができる時代を人々は消失期、と呼んでいる。
「どの時点で人類はそれを必要としなくなったのかはわかっていません。
いいえ、そもそも、眠りなどいうものは空想上のものであり、実在はしていないと言う者もいる」
「それで、その眠りというのはいったい」
「まさにホーリーちゃんの身に起きていることそのまま、です」
そのまま、とマリーは小さく呟き、腕の中にいるホーリーを見た。
「目を閉じ、意識を失う状態。日に平均して七時間ほど、そういった状態に陥ることを眠り、といいます。
それにより、脳を含めた体の一部の機能を停止させ、休息を取っているのです。
彼女の場合、頻度が高く、一度に意識を失っている時間は短いですが、個人差や年齢によるものとも考えられるでしょう」
「では、これは病気ではない、と」
「はい。先祖がえり、とでも言えばいいのでしょうか。
自然界でもまれに起こる現象ではありますので、ありえない、と断じることはできません」
「昔の人は、皆、眠っていたんですよね。
それで、普通に生活して、生きて、いたんですよね」
「そうです」
医者の肯定を聞き、マリーはとうとう大粒の涙を零す。
「あぁ、良かった。
良かった……!
何か重大な病を抱えたわけでは、ないんですね!
この子は、問題なく生きることが、できるんですね!」
歓喜に彼女は震え、自身から零れた涙で濡れてしまったホーリーの髪を撫でる。
この腕の中にいる小さく暖かな生命が、わけもわからぬまま奪われてしまうことはなくなったのだ。今を生きる人間とは違えども、ホーリーは余命わずかというわけではない。苦労はあるだろうけれど、生きることができるのだ。
この事実を喜びとせずして何と言えばいいのか。
「ライトさん」
震えるマリーの肩へ医者が優しく触れる。
「これから、もう一度検査をしましょう。
そして、彼女の身におきていることが睡眠であれば、また新たに考えなければならないことがあります」
喜に満ちているマリーとは違い、彼の声はどこか固い。
告げることを躊躇しつつも、職務としてその言葉を口にしないわけにはいかない。その心苦しさが現れているようであった。
「今を生きる我々の感覚で彼女を育てることはできないでしょう」
沈黙を保っていたオスカーが重く言葉を吐く。
「眠る際に必要なものに寝具、というものがあります。
病人を寝かせるベッド等がそれに当たりますが、快適な眠りのために必要なクッション種類やシーツの材質とは違っているでしょう。
成長後も活動時間は日に十数時間程度。普通の学校へ行くことは難しい」
小学校は朝の八時から夕方の六時まで。登下校の時間をおおよそ一時間程度と仮定した場合、ホーリーに残された時間はわずか十三時間。他の子供達がその時間を遊びや宿題にあてている間、彼女は七時間を睡眠に費やすこととなる。
自由時間として残されるのは六時間程度。この中で食事も宿題も入浴も済ませてしまえと六歳から十二歳の子供に言いつけることは難しい。
まして、自身が気を失っている間に回りはどんどん進んでしまうのだ。混乱もするだろう。納得ができないと癇癪を起こすこともあるだろう。
親の愛が不要とは言わないけれど、ホーリーにはもっと現実的な知識や環境といったものが必要なのだ。
「そんな……」
「今生の別れをしろ、とは言いません。
我々としても、子と親を引き離したいわけではない。
ただ、ほんの少し、ご辛抱していただきたいのです」
ホーリーが本当に寝ているのであれば、それは単純な医療の分野だけでは収まらない。歴史人類学を学んできた者と医者が二人三脚で彼女の成育について考えなければならない案件だ。
悲しいかな、ホーリーが適切な環境を得るためには、母の傍ではなく知識のある者達の傍であるほうが効率的だった。
「詳しいことは追って報告します。
ですので今一度、我々に娘さんをお預けください」
「……わかり、ました。
仕方ないです、よね。この子のためですから」
マリーは医者の目を見なかった。
彼女の青い瞳は、真っ直ぐ娘の寝顔を映す。
心は痛みを訴えるが、このまま娘を傍に置いていたとして、自分にできることは何もない、とマリーは知っていたのだ。
眠りのねの字も知らず、何を与えてやればいいのか、何をしてやればいいのか。何もわからず、今を生きる人間と同じように接してしまう。
自己満足で娘の一生を壊してしまいかねない。
一時、手を離すこともまた、親の愛なのだ。
「お願いします」
「お任せください」
眠った赤ん坊は医者の手に渡り、マリーはたった一人で家路につく。
来るときはあったはずの重みがなくなった体に、また少し、涙が零れた。
「あなた」
「ホーリーは……」
「病院に。
聞いて。あの子は病気じゃなかったの」
「そうか! なら――」
「でも、私達とは違う」
何もする気が起きず、部屋の中でじっと夫を待っていたマリーは、彼の帰宅後すぐにホーリーについて話した。彼女自身、医者やオスカーの言葉の全てを理解できていたわけではなかったため、たどたどしい説明にはなってしまったが、ボリスは急かすことなく彼女の言葉を全て聞き、不明点について尋ね、自身の中で意味を消化した。
「キミは正しいことをした。
間違っていない。それは私が保証するよ」
悲しみに打ちひしがれる妻の肩を優しく撫で、そっと寄り添う。
自分達はこれから先、仕事の時間が来るまで言葉を交わし続けることも、暖かなコーヒーを入れてやることもできる。ホーリーにはそれができない。
ボリスは口に出さぬまま、病院にいるであろう娘へと思いを馳せた。
数日後、再び病院に呼び出されたマリーは、ホーリーが眠っているということが確定したという報告を受ける。
それに伴い、彼女を病院預かりとすること。一ヶ月ほど様子を見た後、ホーリーの起床時間を調査。その時間帯であれば面会を許可する、とのことであった。
「自由に会うことはできないんですか」
「少なくとも現段階では難しいかと。
過去の人類にとって睡眠というものは必要不可欠であり、不足することで身体に様々な悪影響が出たという報告があります。
彼女がゆっくりと眠りにつくためには、静かで暗い空間が必要なのです」
二十四時間、常に人間が活動している現代では、静けさも暗闇も得ることが難しいものだ。今までホーリーがいた環境も、常に太陽光か室内の光に包まれており、生活音がやむこともなかった。
そのため、彼女は寝不足、と呼ばれる状態に陥っていたらしい。
マリーは寝不足という言葉を理解することはできなかったが、不足という言葉がついている以上、良い意味ではないだろうことくらいはわかった。
自分達は懸命に娘を育てていたつもりであったが、彼女にとっての最良には至っていなかったのだ、ということも。
「便宜上、面会という言葉を用いておりますが、ホーリーさんが起きているときであれば、外出をしていただいても問題はありません。
絵本や玩具の類も我々の検査なしに彼女へ与えていただいて大丈夫です」
彼女を病院に置くのは実験の対象とするためではない。身体機能の検査、睡眠パターンの計測。その他多くの観察と計測によって、ホーリーを今の世界でも健やかに成長させるためのものだ。
なかったとさえ言われていた睡眠の発見に、沸き立つ研究者が少なかったわけではない。彼女を知ることで現在と過去の人間の違いを調べることも可能だ、という意見も出ている。
しかし、それらはあくまでも副次的なものでしかなかった。
「部外者が何を、と思われるかもしれませんが、私達もこの病院で生まれた子供が元気に育ってくれることを望んでいます。
どうか、私達も子育てのお手伝いをさせていただきたい」
ホーリーに専門の知識や施設が必要であることは明白だ。
それでも、許可なく彼女を病院内に留めておくことはできない。
母親の許可が下りなければ、それはただの誘拐だ。
「……ありがとうございます。
是非、是非、お願いします」
マリーは頭を下げた。
「信じてくださり、ありがとうございます」
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