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最終決戦と行こうか!
しおりを挟む謁見の広間には、例の件で呼び出された数人の人物が王族の前で神妙な顔で跪いていた。
婚約破棄騒動を起こしたダグラス。
王太子問題のクリス。
それに絡んでいたと思われるリム男爵。
側室を寝取った罪に問われているアルバ伯爵。
そして―――
何の関係もないと思われている人物
ナロン侯爵だった。
「面を上げよ・・」
国王の言葉にみんなは慎重に顔を上げる。その顔色と表情から何を考えているのか探ると、ダグラスは己の立ち位置を思い知らされて絶望的な顔を。またクリスはというと何か思いつめたような表情。リム男爵とアルバ伯爵の顔色は悪くオドオドしていた。
そして、ナロン侯爵はというと堂々としていた。
なぜ自分が呼ばれたのか、わからないといったところかもしれない。現にあの騒動では名前が上がらなかった人物だ。
だがしかし、彼はこの騒動の中心人物で重要な役割を果たしていた首謀者だと国王は睨んでした。
「これより、先日の騒動の件について取り調べを行う。聞かれたことに対して正直に述べよ。嘘偽りは許さぬ。」
先日の騒ぎ?一体何のことだ?
忘却の魔法のおかげで外に漏れることがなかったことからナロン侯爵はダグラスが起こした婚約破棄騒動のことを全く知らなかった。
そして―――クリスの『ルーベルト様・・』発言の件も。
知っていればのこのこ登城はしなかっただろう。
「まずは、ダグラス様の婚約破棄騒動から・・」
「婚約破棄騒動ですとっ!」
驚いて思わず大声を出してしまったことで宰相の発言を遮ってしまい睨まれた。
「どうしました?・・ああ、貴殿はあの場に居なかったのですね」
にっこり笑って見せたがその目は笑っていなかった。
「は、はい。申し訳ございません。私用で欠席しておりまして、その騒動についてご説明していただけませんか?」
頭を下げながら、なぜこの私が宰相などに説明を頼まなければならないのかと腹を立て視線をリム男爵とアルバ伯爵に向けるが罪悪感からか視線を合わそうとしない。
あやつめっ!なぜこんな重要なことを知らせなかったのだ!
無視されたことも腹が立つが報告がなかったことにもっと腹が立った。
「説明・・ですか?・・・・・これから事実確認をしていくのでそれで理解してください。私も暇ではなにので・・」
「・・・・はい。わかりました」
宰相の塩対応にムッとしたものの騒ぎを起こすつもりはないのでおとなしく頷くしかなかった。
クソッ!バカにしやがって!
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