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側室クリスの闇

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クリスは愛しの陛下に呼ばれたことに喜びを感じていた。急いで、身支度をして広間へと急いだ。



「陛下、クリス様をお連れしました」

「うむ、クリスよ久しぶりじゃのう」

「はい、七日ぶりでございます・・」


頬を赤く染め頭を下げて敬意を示すクリスだが、国王の顔は笑ってはいなかった。




「クリスよ、なぜ呼ばれたかわかるか?」


「え・・いえ?」



茶色い髪に黒い瞳、整った顔は美しく凛とした姿勢は国民でも憧れる者は多い。

だが、中身は違っていた。

ダグラスと同じで傲慢でわがままで使用人をいつも振り回し、国民の血税を湯水のように使い最悪な側室と認識されていた。

そして、彼を利用する悪い貴族も当然いて被害を受ける平民や低級貴族が大勢いた。

訴えようにも相手が王族ならどうすることも出来ず泣き寝入りするしかなかった。



だが、それも今日で終わりだ。




「そなたのこれまでの言動や行いについて詳しく調べさせた。」


「・・・・・」


「まずは、アルバ伯爵とリム男爵と共謀して、低級貴族や国民を騙して借金をさせ高額の利子を取り、返せないとなると子息を連れ去り他国に売りさばく。中にはやむを得ず自身を売り奴隷落ちした者もおるとあるが、どう申し訳をする?」


「は、一体何のことですか?身に覚えがありませんが・・」



苦笑しながらとぼけるクリスに国王は憤る。



「とぼける気か・・まあ、いい。次はダグラスについてだ」

「・・・ダグラスについて、とは?」


自身のことより息子のことが気になるのか国王の話に食いついた。


これはこっちにとっては有利な反応だ。



「クリスよ、なぜダグラスに王位継承権のことを伝えなかった?」

「―――っ!」



話題にしたくない話だったようでクリスの顔が歪む。



「答えよっ!」



「フン!ただ忘れていただけですよっ」



こんな重要なことを忘れてたなんてあるはずがない。

何か企てがあったと疑われてもしかたがないことなのに、クリスは余裕の笑みを浮かべていた。



「忘れていた、か・・・」


クリスの言い訳に国王は呆れて大きなため息を吐いた。


「そのせいで、大罪を犯したとしても平然としていられるのか?」



『大罪』と聞いてクリスは驚き目を大きく見開いた。



「大罪って何ですか?あの子は何を?」



目の色を変えて国王に迫るクリスにカインは苛立ちを覚えた。

クリスがちゃんと伝えていればダグラスは罪を犯さずにすんだからだ。


「ダグラスに恋人ができたのは知っていたか?」

「恋人・・?」

「その様子だと知らなかったようだな」

「は、はい・・知りませんでした。それでダグラスは何を?」


「王太子だと思い込み、婚約者のエレンを殺害しようとした」

「―――なっ!」


驚いて口をわなわなと震わせ両手をギュッと握りしめた。





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