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指輪の秘密
しおりを挟む予定されていた儀式を終えるとオレは王宮の自室に戻った。宰相のユリアスはこの婚約破棄騒動の調査をするため執務室への騎士団長のラルクは男爵の屋敷へと向かった。息子の不敬だけでは済まされない事態に調査へと向かったのだ。
そして一人残されたオレはベッドに倒れこんだ。
「つ、疲れた・・・」
三男だったオレが皇太子に指名されるとは夢にも思っていなかったので心構えもなにもできていなかった。
学園を卒業したら公務をしながら結婚相手を探そうと思ったいたのに
「何で、こんなことに・・・」
オレが子を孕むことができるとわかった途端父上の態度が急変した。元々可愛がってくれてはいたが、執務室に籠って出てこなくなった。それがついこの間で成人の儀の一週間前だ。
そして呼ばれて会いに行って言われたのだ。
「ルーク、そなたを王太子に指名する・・」
と――――・・・
「は・・・?父上、今なんと・・?」
聞き違いだと思った
「そなたを王太子に指名すると言ったのだ・・」
「―――――っ」
「なぜという顔だな」
「ええ・・だって兄上たちがおられますし、オレでなくても」
「何を言っておる。王太子になるには子を孕むことが条件だ。それをあやつらは持っておらぬ」
「でも・・」
「いいかルークよ。昔女という者がいて男と交わり子を産んでいたが、今はそれは存在しておらぬ。そなたはそれが可能なのだぞ・・・」
「・・・でも、兄上たちは一生懸命努力されていました。それを差し置いてオレが王太子だなんて・・・」
「二人とも承知しておる。それに仮にあやつらのどちらかが王位につけばこのシャンデラ王国は滅びることになる」
「え?それはどういうことですか?」
「この国は指輪に宿された加護がなければ他国に攻められ滅びの道を辿るだろう・・」
「指輪・・?」
「この国が神の加護を受けているのは知っておろう?」
「はい。緑園の神グランディール様と光の神クリスティーナ様、そして創造新のアティシエール様ですよね」
「ああ、緑園の神グランディール様のご加護は豊かな緑の大地を、光の神のクリスティーナ様のご加護で穏やかな四季を、創造紳のアティシエール様の魔道具などの物づくりを・・この三神の加護があるから我が国は豊かなのだが、その契約は指輪にある」
「・・・・」
「成人の儀の後、王太子の儀を行う。その時に指輪の試練を受け認められれば正式に王太子と認めてもらえる。だが、それ以外の者が試練を受ければ魔力を吸収され消えてしまうのだ」
え・・?何それ、怖いんだけど・・
そんな厄介な試練をオレは受けなきゃならないってこと?
試練に耐えられなきゃ・・・死ぬってことだよな?
顔面蒼白になっているオレに父上は優しく微笑み元気ずけようと頭を撫でてくれた。
「大丈夫だ。お前は誰よりも魔力が多い。消えてなくなるなんてことは絶対にないから安心しろっ!」
「・・・はい」
そう聞いてオレが安心してたのを納得していると、
「それと、喜べそなたの婚約者が決定したぞ・・」
「え・・?」
婚約者って・・そんな、オレは自分で決めたかったのに・・
まあ、王子だから政略結婚が当たり前だけどせめて決める前にひと言いって欲しかった。
「・・・・相手は誰ですか?」
出来れば気心の知れた相手の方がいい。抱く側じゃなくて受ける方だからな・・。
しかし、オレが子を産むなんて想像できないな。
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